料理一家・平野レミさんと和田明日香さん 3世代の料理教育術とは?

平野レミさんと和田明日香さんの明るい嫁姑“食育”対談 #3

平野レミさん(左)、和田明日香さん(右)。食卓を頻繁に一緒に囲んでいるおふたりからは、日常の出来事の会話がたくさん。
撮影:森﨑一寿美
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平野レミさんと和田明日香さんは、3世代で食卓を囲むことがよくあるそうです。

そこではどんな料理が出されているのでしょう。料理を通したコミュニケーションについてお話いただきました。

レミさんのお料理は人気がない!?

平野レミさん(以下レミさん):あーちゃん(和田明日香さん)、昨日はお邪魔して、たくさんご馳走になっちゃったもんね。全部美味しかった!

おかひじきと豚肉の一皿、あれ、特によかったね。おかひじきと豚肉の合体なんて、初めて食べたけど。とても良かった! 

和田明日香さん(以下明日香さん):それはよかった! ごまダレをかけて食べたんだよね。あのタレはもう、何度も作っていて、子どもたちにも人気で。最初は、おかひじきをナムルにして、豚肉は他の何かにしようと思っていたの。

だから、最初に鍋でおかひじきを茹でて、その余熱で豚肉を茹でて、ザルに一緒にあげておいたんだけど、「あ、一緒でもいいか」と思って。お肉と一緒に口にすると、おかひじきがシャキシャキして面白そうだなぁって。

レミさん:良かった、とっても良かった! 3世代で食べるときは、料理を持ち寄ることが多いけれど、昨日は私のものはあまり食べなかったのよね。

明日香さん:あはは。たまたま、昨日はね(笑)。私がいっぱいおかずを作っちゃったし、子どもたちが食べ終わりに近くて、私たち夫婦もお腹がいっぱいになった時に、レミさんが茹でたわらびを持ってきてくれたからね。

鰹節とお醤油をかけて食べたら、すごく美味しかった​んだけど、もうお腹がいっぱいのタイミングで。ちょっとしか食べられなかったの。

レミさん:そうしたらね、「もう、うちはいっぱいですから、持って帰っていいですよ」って言われちゃって。私、持って帰ったのを、今朝ちゃんと食べたからね。

明日香:エライ!

子どもが食べるものより、自分が今食べたいものを作る

レミさん:料理を持ち寄って、集まって食べるとき、あーちゃんも私も、子どもたちに寄せたものは作らないわよね。例えば、唐揚げみたいなものとか。

明日香さん:全然ない。普段の夕食も、仕事の後にスーパーに行って、食材を目で見ながら自分がその時に食べたいものを作っているし、家族にもそれを食べさせるようにしているので。子どもの好みはほとんど考えていないですね。

「自分が食べたいものを作ればいいのよ~」と、平野レミさん。
撮影:森﨑一寿美

レミさん:それでいいと思う。例えば、カレーを作るときに子ども用に甘くするとか、インドでやりゃあしないでしょ。

みんな、子どものため、ってやるけれど、どこかで切り替わる時、かえって大変じゃない? 最初から大人と同じ味にして「食べないんだったら食べないでいい」って言っていた方がいいと思うわ。

私はそうしてたし。最初からスパイスをたくさん入れていたけれど、全然平気だったしね。なんでもかんでも子どもに合わせることなんてないわよね。

明日香さん:私もそう思います。ただ、レミさんのお料理なんか特にそうですけど、素材をどう活かすか、それがつまり美味しさ​なんですよね。あとから味をつけるよりも、ささっと作って素材の味を生かす。それが子どもにとっても理想的だと思うし、自然と薄味にもなるし。

レミさん:そうそう、そうなのよ。自分が食べたいものを作って食べさせていれば、家の味っていうものもできていくし。

明日香さん:私、いわゆる「離乳食」っていうのもほとんど作っていないんです。家族のおかずをそのまま柔らかくして出汁でのばして出していました。だから赤ちゃんの時から、うちの味っていうのが子ども達に叩き込まれていると思うな。

レミさん:いいことじゃないの~。いいおヨメよ~。

平野レミさん(左)、和田明日香さん(右)。
撮影:森﨑一寿美

明日香さん:レミさんは、息子さんたちが小さい時、おやつのお菓子なんかも手作りだったんですか?

レミさん:私、お菓子大っ嫌い。あんな面倒くさいもの。お菓子は大変よ。そもそも、私が甘いものが嫌いだったから、子どもたちにも食べさせなかったわね。だから息子2人とも、虫歯ないでしょう?

明日香さん:ありますよ。

レミさん:えっ、ある? りっちゃん(次男:和田明日香さんの夫・和田率さん)、虫歯ある?

明日香さん:一本ある、銀歯が奥に。

レミさん:あら〜〜。私と一緒に生活している時はなかったのに~。

明日香さん:私と出会った時にはもうありましたよ(笑)

レミさん:そんなの初めて聞いた! 私、一度も歯医者さんに連れて行った覚えがないもの。

明日香さん:今度、聞いてみてください。ちなみに夫は、料理上手ですよ。レミさんは夫たちが小さい頃、一緒にキッチンに立って料理をしこともあったんですか?

レミさん:ないないない、一度もない。でもね、私の後ろ姿はずっと見ていたと思う。あの子たちが小さい時、宿題はキッチンでやりなさいって言って、私のエプロン姿は見せていたから。

それでね、チャッチャッって水の音や、トントン刻んでいる音とか、ジージージーって炒めている音とか。宿題やりながら、それを全部聞かせてね。

「お母さんまだ?」とか「お腹空いてきちゃったよ」とか、言われながら。
私も「もうちょっとよ」とか、「待っててね~」って、フライパン振って、やっと「はい、できたわよ!」って。

その時の喜びっていうのは、出来上がるのを待つ楽しみやワクワク感、匂いがあるでしょ。私が、作っているプロセスを見ているから、「できたわよ」って言った時は、多分とっても喜んだと思うのよね。

明日香さん:作る姿をずっと見ていたから、作る楽しさも喜びも、それから大変さもわかる。だから自分でも美味しく作れるんですね。

レミさん:今は、息子2人とも料理をやるのよね。樹里ちゃん(長男の妻:上野樹里さん)も、息子の料理を褒めてくれた。すごく上手ですよって。

明日香さん:2人とも、食べることが好きだし、外のものより自分の家の味が美味しいってわかっているしね。

食育って、特に料理を教えなくても、こちらが料理する姿を見せたり、一緒に食卓を囲んでいれば自然とできることだと思うんです。
もちろん、もし興味があって、子どもがキッチンに来たらお迎えして、何かしら携わってもらったりして。

私は、そういうときは、手伝ってもらうというよりも、「この作業任せた」と、まるごとお願いしています。

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