子どもごはんの悩み 成長して生活習慣病で困らない「カルシウムの食習慣」

人気料理研究家・浜内千波の「子どもを育てるごはんレッスン!」(第2回 カルシウム編)

料理研究家・栄養士:浜内 千波

幼児期の食事は、食生活の基礎を作るとても重要な期間です。けれど、好き嫌いがあったり、食べる量に個人差があったりと大変な時期でもあります。

また、子どもの肥満も心配。ほうっておくと大人になって生活習慣病になるリスクが高くなる可能性も指摘されています。

幼児期に必要な栄養素とそのレシピ、苦手なものへの対応、そして大人になっても生活習慣病にならないための方法などを料理研究家の浜内千波さんに6回に渡って伝授していただきます。

第2回目のレシピは幼児期に丈夫な骨を作り、骨量の増加に欠かせないカルシウムがメインのメニューの紹介です。

幼児の2人に1人はカルシウムが不足!

幼児期の子どもは身長が伸び、体重も増加し、日々に成長が楽しみな時期ですが、この時期には骨や歯を作るために欠かせないのがカルシウム。

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』によると、3~5歳までの1日の男児のカルシウム推奨量は600mg、女児では550mgとなっています。乳幼児時期では大人の3分の2、体の成長に大きく関わる中学生にもなると、大人の約1.5倍も必要です。幼児の2人に1人はカルシウムが不足しているのだとか。

骨密度が増えるのは思春期くらいまでだと言われているので、幼児期から不足しないようにカルシムをしっかり取り入れた食事を心がけましょう。

カルシウム不足は骨や歯の成長の妨げに

カルシウムは丈夫な骨や歯を作るだけでなく、体の機能の維持や調節には欠かせない栄養素です。体内に入ると、腸で吸収された後に血液に入り、骨まで運ばれて骨に蓄積されます。骨は体を支えるだけでなく、内臓の保護や運動機能を助ける働きをもっています。

体内のカルシウムの99%が骨に行き、残りの1%が血液中に残りますが、血中のカルシウム濃度が低下すると、骨からカルシウムを補給します。

「丈夫な骨や歯を作るカルシウムは幼児期には特に重要な栄養素です。筋肉の動きを助ける働きがあるほか、乳歯20本が揃うのもこの時期なので、炭水化物同じように優先的に摂ってほしい栄養なんです。

幼児期にカルシウムが不足すると、骨の発育に支障をきたし、不足の状態が長く続くと、丈夫な骨が作られなくなる可能性もあります。また、高齢になったときに骨粗しょう症になるリスクも否定できません。幼児期からしっかりとカルシウムを摂取することは成長のためだけでなく、将来の健康を守るためにも大切なことなんですね」(浜内千波さん)

乳製品はカルシウムの吸収率が高い

小魚や大豆製品、海藻類にもカルシウムが含まれていますが、これらの食品に比べて乳製品はカルシウムの吸収率がいいのです。

「小魚や納豆、豆腐なども大事なカルシウム摂取源ですが、乳製品は吸収率も高く、またチーズやヨーグルトなど子どもたちが食べやすい食材も多くありますので、食事はもちろん、おやつにも取り入れて積極的に食べさせるといいですね」(浜内さん)

カルシウムの吸収率を上げるにはビタミンDの摂取が必要ですが、どんな食品に含まれているのでしょうか?

「ビタミンDは、さけやいわし、さんまなどの魚やきのこ類に多く含まれていますが、これらの食品も幼児期には、ちょっとハードルが高いですよね。魚は切り身ではなく、缶詰もおすすめ。骨までやわらかく、カルシウムも無理なく一緒に食べられます。きのこ類は細かく切って肉に混ぜるなど切り方と調理法などを工夫してくださいね」(浜内さん)

ビタミンDは日光を浴びることで体内で生み出されますし、カルシウムは運動をして刺激をすることで骨への沈着を促します。外で遊ぶこともカルシウムの吸収率をアップさせる秘訣です。

鶏肉とほうれん草のグラタン 

【材料】(2~3人分)
※分量は大人の分量。幼児の場合は大人の半量~多くても2/3程度。

鶏もも肉…200g
ほうれん草…100g
ひじき(乾燥)…5g
じゃがいも(中)…3個(350g)
とうもろこし(ホール缶)…100g
バター…大さじ2
小麦粉…大さじ2
牛乳…300㏄
塩…小さじ1/2
こしょう…少々
チーズ(ピザ用)…50g

作り方

1 ほうれん草は3㎝長さに切り、鶏肉は小さめの一口大に切り、塩小さじ1/3(分量外)をふる。ボウルにひじきを入れ、熱湯を注ぎ、ラップをし、5分おき、ざるにあげる。

ほうれん草は調理前に根元をしばらく水につけておくと、泥やゴミが取れる。
ひじきは熱湯を注いでラップをしておくと5分もあれば戻る。

2 じゃがいもは皮ごと電子レンジ(600W)で6~7分加熱し、熱いうちに皮をむき、ボウルに入れ、フォークでつぶし、塩小さじ1/3(分量外)、こしょう少々(分量外)をふり、耐熱皿に盛る。

じゃがいもはレンジにかけた後だと、皮がきれいに薄くむける。
じゃがいもは熱いうちのほうがつぶしやすい。

3 フライパンに中火でバターを溶かし、鶏肉を色がつくまで炒め、ほうれん草を入れてさっと炒める。小麦粉を加え、混ぜ合わせる。

鶏肉はしっかり炒め、うまみを引き出す。

4 牛乳を注ぎ入れ、ひと煮立ちさせ、少しとろみがついてきたら、ひじきととうもろこしを入れて塩、こしょうで調味する。

小麦粉を入れ、間をおかず、牛乳を注ぐとダマにならない。

5 4の具を2のじゃがいもにのせ、チーズを散らしてオーブントースターで表面が色づくまで焼く。

みんなで取り分けてどうぞ。

取材・文:須藤桃子 撮影:松本祥孝

はまうち ちなみ

浜内 千波

料理研究家・栄養士

栄養士。大学卒業後、証券会社を経て岡松料理研究所へ入所。ファミリークッキングスクールを開校し、料理教室を主宰すると共に、食ビジネス全般において、メニュー開発などプロデュースを手掛ける。近年は、食育分野にも力を入れ、レシピ開発や給食従事者への指導に携わっている。 Twitterにて、毎朝のごはんをご紹介している。Twitter:

栄養士。大学卒業後、証券会社を経て岡松料理研究所へ入所。ファミリークッキングスクールを開校し、料理教室を主宰すると共に、食ビジネス全般において、メニュー開発などプロデュースを手掛ける。近年は、食育分野にも力を入れ、レシピ開発や給食従事者への指導に携わっている。 Twitterにて、毎朝のごはんをご紹介している。Twitter: