モンシロチョウは黒かった? 子どもに伝えたくなる「虫のヒミツ」 

いつもの散歩が100倍楽しくなる「親子でおさんぽ自然観察」#2〜虫編〜

NPO法人 自然観察大学

夏といえばやっぱりこの虫 セミ

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写真はクマゼミ。大きさは6cmほどで、セミのなかでも大型です。  写真:アフロ

夏の風物詩といえばセミ。けたたましく鳴く姿が印象的ですが、成虫のセミは儚い生き物です。

セミの卵は孵化にほぼ1年かかる種類もあり、幼虫になると、3〜5年ほどは土の中で暮らしています。その後、地上へと出てきて、羽化し、成虫へと変わります。

土の中で数年を過ごすセミですが、成虫になった後の寿命は、30日ほど。これが一般的なセミの成長期間ですが、北アメリカには成虫になるのになんと17年かかる、「17年ゼミ」というものがいるのだそうです。

また、セミの羽化は早朝にしか見られない貴重なものと思われがちですが、夕方頃に公園に行くと遭遇することができます。お子さんと一緒に、見つけに行ってみるのがおすすめです。

【豆知識】「セミの塔」を見つけてみよう!

土のかたまりがセミの塔。ツクツクボウシのセミの塔をはがしたところ、中から幼虫が出てきました。  写真提供:自然観察大学/山崎秀雄

セミがよくいる公園の木の下には、こんもりとした土のかたまりを見つけることができます。これは「セミの塔」と呼ばれ、孵化のためにセミの幼虫が地上に出てくるときにできるもの。都会の公園などでも、見つけられますよ。

【見分け方】 抜け殻や鳴き声で見分けてみよう!

セミは見つけるのは簡単ですが、間近で観察するのは難しいもの。そこで、抜け殻や鳴き声をヒントに、性別や種類を当ててみるのがおすすめです。

<1:抜け殻で見分けるオス・メス>

左がオスの抜け殻で、右がメスの抜け殻です。  写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

オスとメスは、抜け殻でも見分けることができます。ポイントはお尻のほうに縦の線が入っているか入っていないか。この線は産卵管(さんらんかん)といい、メスのほうには入っています。

<2:抜け殻で見分けるセミの種類>

●ニイニイゼミ

抜け殻:丸くて小さく、表面に泥がついています。特徴的な形をしているので、見分けるのは簡単です。  写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

●ヒグラシ

抜け殻:2.2〜2.5cmほどの大きさで、濃い茶色で、光沢のある抜け殻です。  写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

●ツクツクボウシ

抜け殻:ヒグラシと同じぐらいの大きさで、抜け殻の色は薄い茶色。他の種類と比べるとテカテカしていません。 写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

●アブラゼミ

抜け殻:3cmほどの大きさで、比較的大型。触覚は毛太く、長め。触覚の2つ目の節と3つ目の節の長さを比べると、3個目の節が長いのが特徴です。一番多く見かける抜け殻です。  写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

●ミンミンゼミ

抜け殻:アブラゼミと同じくらいの大きさです。アブラゼミとよく似ていますが、触覚の2つ目の節と3つ目の節はほぼ同じ長さです。  写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

●クマゼミ

抜け殻:アブラゼミ、ミンミンゼミよりもひとまわり大きな抜け殻です。  写真提供:自然観察大学/鈴木信夫

<3:鳴き声で種類を当てる>
●ニイニイゼミ
鳴き声:チィージィー
聞こえる時間帯:1日中

●ヒグラシ
鳴き声:カナカナカナ
聞こえる時間帯:日暮れ、夜明け、雨がやんだ後

●ツクツクボウシ
鳴き声:オーシーツクツク
聞こえる時間帯:朝方〜夕方

●アブラゼミ
鳴き声:ジージリジリジリ
聞こえる時間帯:早朝、午後(夕方まで)

●ミンミンゼミ
鳴き声:ミーンミンミン
聞こえる時間帯:夜明け

●クマゼミ
鳴き声:シャーシャー。ワシワシ
聞こえる時間帯:早朝〜午前中

虫を育ててみると、観察がより楽しく!

観察をより楽しむためには、虫を育ててみるのもおすすめ。比較的育てやすいのは、モンシロチョウです。

ただし、屋外にいるモンシロチョウの幼虫・アオムシは、ときに7割以上がコマユバチという虫に寄生されているため、卵から育ててみるのをおすすめします。

その際は、キャベツ畑で飛んでいるモンシロチョウをつかまえて、持ち帰りましょう。キャベツ畑にやってくるモンシロチョウは、卵を産みにきたメス。ですので、虫かごにキャベツの葉とともに置いておけば、やがて卵を産んでくれます。

卵からかえった幼虫は2週間ほどでサナギになり、その後2週間ほどで羽化し、やがて蝶になります。サナギが透明になってきたところが羽化のタイミングなので、見逃さないようにしてくださいね。

蝶になった後の寿命は、オスは10日間ほど、メスは20日間ほどです。幼虫から成虫、死んでいくまでを観察するのは、命の大切さを知るきっかけにもなります。

お子さんの夏休みの自由研究にもピッタリなので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

参考書籍『子どもと一緒に見つける 身近な生きものさんぽ図鑑』

『子どもと一緒に見つける 身近な生きものさんぽ図鑑』(監修:NPO法人 自然観察大学/永岡書店)

子どもとのさんぽで出会う身近にいる虫・鳥・水辺の生きものを200種掲載! イラストや図解、マップなども使っているため、子どもと一緒に楽しめます。

参考書籍『季節の生きもの観察手帖: 自然を楽しむ二十四節気・七十二候』

『季節の生きもの観察手帖: 自然を楽しむ二十四節気・七十二候』(企画・編集:NPO法人 自然観察大学/全国農村教育協会)。

草・木・鳥・虫など、季節の自然・生き物について、二十四節気ごとにおすすめの観察テーマを紹介。二十四節気をさらに約5日ずつに分けた七十二候では、日々の観察記録を掲載しています。観察記録を書き込むことができるので、自分だけの観察手帖づくりを楽しめる一冊です。

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第3回では、「水辺で見られる生き物」をテーマに観察のポイントや豆知識をご紹介します。

取材・文/阿部雅美

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NPO法人 自然観察大学

自然観察大学は“楽しみながら自然観察の視点を身につけよう”という目的のNPO法人。野外観察図鑑「校庭シリーズ」などの著者らが講師を勤める観察会で、参加したみなさんと一緒に楽しみながら、幅広く自然観察を勉強しようという活動を行っています。定期開催している観察会では、草花や虫などさまざまな分野に精通する約10名の講師が同行し、各専門分野の観察ポイントや話題を提供しています。 著書に『子どもと一緒に見つける草花さんぽ図鑑』『子どもと一緒に見つける身近な生きものさんぽ図鑑』(永岡書店 ※監修)、『季節の生きもの観察手帖 自然を楽しむ二十四節気・七十二候』(全国農村教育協会)など。 NPO法人 自然観察大学公式HP https://sizenkansatu.org/

自然観察大学は“楽しみながら自然観察の視点を身につけよう”という目的のNPO法人。野外観察図鑑「校庭シリーズ」などの著者らが講師を勤める観察会で、参加したみなさんと一緒に楽しみながら、幅広く自然観察を勉強しようという活動を行っています。定期開催している観察会では、草花や虫などさまざまな分野に精通する約10名の講師が同行し、各専門分野の観察ポイントや話題を提供しています。 著書に『子どもと一緒に見つける草花さんぽ図鑑』『子どもと一緒に見つける身近な生きものさんぽ図鑑』(永岡書店 ※監修)、『季節の生きもの観察手帖 自然を楽しむ二十四節気・七十二候』(全国農村教育協会)など。 NPO法人 自然観察大学公式HP https://sizenkansatu.org/