モンシロチョウは黒かった? 子どもに伝えたくなる「虫のヒミツ」 

いつもの散歩が100倍楽しくなる「親子でおさんぽ自然観察」#2〜虫編〜

NPO法人 自然観察大学

この記事で紹介している内容を知っていれば公園で普通に見つけられる虫がいつもと違って見えますよ。  写真:アフロ
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気温が高くなる夏は、虫たちがもっとも活発になる季節です。見られる虫の数や種類も増えるため、夏は虫の自然観察にぴったり。また、この時期には、セミの羽化など、感動的な場面に遭遇することもできますよ。

そこで、連載第2回となる今回は、「街中で見つけられる虫」の自然観察術をお届け。昆虫学を専門とする鈴木信夫先生にお話しをお伺いしました。鈴木先生は、NPO法人自然観察大学で自然観察を教えるほか、日本女子体育大学名誉教授としても教鞭を執られています。

街路や公園など身近な生活環境で見つけられる虫と、つい子どもに教えたくなる豆知識と見分け方を一緒に紹介します。(全4回の2回目。#1を読む)

幸せを運ぶ赤い虫 テントウムシ

都会でよく見られるのはナナホシテントウと、ナミテントウです。それぞれの特徴を紹介しましょう。

●ナナホシテントウ

英語では“lady bird”“lady bug”などと呼び、ヨーロッパでは幸運のシンボルとされています。  写真:アフロ

ナナホシテントウは、その名の通り、背中の7つの黒い点が目印。

可愛らしい見た目とは裏腹に、体内には苦い液体を持っているため、鳥にはあまり食べられません

ただし、「自然界でこんなに目立つ色をしていて大丈夫?」と疑問に思いませんか? この派手な色は、警告色と言います。警告色を持つ虫には毒を持つものが多く、あえて自分の色を目立たせることで、「自分は危険ですよ!」と知らせているのです。

(基本情報)
分類:コウチュウ目テントウムシ科
大きさ:5〜9mm
見られる時期:3〜11月
見られる場所:草地、畑など

●ナミテントウ

ナナホシテントウはどの個体でも同じ模様をしていますが、ナミテントウは個体によって色や模様がバラバラなことが多いです。  写真:アフロ

ナミテントウは、ナナホシテントウと同じくらいの大きさですが、大きな違いは、さまざまな模様の個体があること。背中が真っ黒なものから、2つ大きな赤い点があるもの、黒い点が10個以上あるものなど、実にバラエティ豊か。ナミテントウに出合ったら、お子さんと一緒に色々な模様を探してみるのも楽しいですよ。

(基本情報)
分類:コウチュウ目テントウムシ科
大きさ:5〜8mm
見られる時期:3〜11月
見られる場所:樹園地、草地など

【豆知識1】見た目は可愛いのに、中身は肉食系!?

植物を食べるテントウムシ、菌を食べるテントウムシもいますが、ナナホシテントウとナミテントウは虫を食べます。  写真:アフロ

テントウムシはその多くが、アブラムシなどを食べる肉食。アブラムシは植物の汁を吸って害を与えますが、そのアブラムシを食べてくれるので、テントウムシは益虫とされています。そのため、ナミテントウは、飛べない品種に改良され、生物農薬として使われることもあるんですよ。

【豆知識2】テントウムシ、アブラムシ、アリの不思議な三角関係

アブラムシの群れの周りには、アリがいることがあります。アリの目当ては、アブラムシのお尻から出る甘い汁。

アリが触覚でアブラムシのお尻をつつくと、アブラムシは植物から吸った甘い汁を出し、それをアリに与えることによって、自分が食べられるのを防いでいるのです。

そこにテントウムシがアブラムシを食べにやってきた場合、アリは自分が甘い汁を飲みたいがために、テントウムシを追い払います。3者の不思議な関係ですが、一番賢いのはアブラムシかもしれませんね。

馴染みのある白い蝶・モンシロチョウ

モンシロチョウは春に見られるイメージが強いですが、春から秋にかけて、長い期間見つけることができます。  写真:アフロ

春から秋にかけて、多いと4〜5回ほど発生するため、遭遇率の高い蝶です。白いはねに、黒い斑点が入っており、この黒い斑点が紋に見えることが名前の由来。幼虫であるアオムシが、アブラナ科の野菜が好きなので、キャベツや大根などの畑に行けばたいてい発見できます。

(基本情報)
分類:チョウ目シロチョウ科
大きさ:2.5〜3.5cm
見られる時期:3〜11月
見られる場所:草地、畑、芝生など

【豆知識】モンシロチョウはじつは白くなかった!?

紫外線を撮影できるカメラで撮ったもので、左がオスで、右がメス。はっきりと違いがわかりますね。  写真提供:自然観察大学/浅間茂

人間には紫外線が見えませんが、多くの虫は紫外線を見ることができます。モンシロチョウも紫外線を見ることができるのですが、面白いのは、紫外線を通してみたときのオス・メスの違い。オスのはねはほとんどが黒で、メスは白く見えるのです。この色の違いで、お互いを見分けているんですね。

【見分け方】モンシロチョウ、スジグロシロチョウどっちかな?

スジグロシロチョウは、はねに黒いスジが入っています。  写真提供:自然観察大学/大橋田鶴子

モンシロチョウととてもよく似ている蝶に、スジグロシロチョウがいます。見分け方ははねの模様。モンシロチョウは白いはねに黒い斑点があり、スジグロシロチョウははねに黒いスジが入っています。白い蝶を見つけたら、どっちの蝶か当てるゲームをしてみると面白いですよ。

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