フランス・パリで小学生に人気のならいごとは「武道」だった!

「世界の子どものならいごと」#2 フランス・パリ編

コーディネーター:希代 真理子

マイペースでゆっくり焦らず、がフランス流

直人くん4歳の頃。「道草が大好きで、よくカタツムリを集めて遊んでいました」(佐知子さん)。  写真提供:ダヴィエ佐知子

そんな直人くんが小学校に上がってからも続けているならいごとが日本語講座。フランスで現地校に通いながら日本語を維持するのはとても難しいためです。

「日本語の授業は新型コロナウイルスの影響でパリがロックダウンしていたため、対面授業ができなくなりました。今はオンラインで受けています(2021年5月現在)。

私は、息子とは日本語、フランス人の夫とはフランス語で話しているのですが、息子は私がフランス語を使えることを知っているので、わざとフランス語で返してくることが多かったのです。

ですが、通っている学校が新型コロナウイルスの影響で3ヵ月ほど休校になり、自宅で私と過ごす時間が増えたおかげか、日本語でほぼ返してくれるようになりました。これはとても嬉しかった出来事でした。

ちなみに息子の日本語維持のためにと、小学校に上がる前からいろいろなプレイグループにも顔を出したりしていたのですが、フランス人はそれほど未就学児のならいごとについて熱心ではないという印象を受けました。英会話などの学習系となると、なおさらその傾向が強いように思います。

逆に幼い頃からならいごとをさせていると言うと『こんなに小さな子にならいごとさせるの?』と不思議がられるような雰囲気さえも。フランス人はそれほど早期教育に一生懸命ではないように感じています」

ところで、パリの小学生に人気のならいごとを聞いたところ、なんと柔道や空手、合気道とのこと。これにはびっくりです。

「フランスは1990年前後から、日本のアニメが大人気。日本の武道がならいごととして人気な理由にはアニメの影響があるようです。さらにこの格闘系のならいごと、実は女の子にも大人気。パリの女の子はバレエをやっているイメージを持たれる方も多いと思いますが、私の住んでいる地区では、柔道着や空手着の女の子のほうがたくさんいますよ。

サッカーや水泳も人気ですが、意外と音楽系は一部の層でしか浸透しておらず、日本の方が音楽系のならいごとに対して関心が深いかもしれません」

コロナ禍が落ち着いたら、好きなならいごとをさせたい

5歳頃の直人くん。日本語学校の図書館にて。端午の節句のお飾りと一緒に。  写真提供:ダヴィエ佐知子

「今はコロナ禍で、パリもならいごとに通うのは難しい状況ですが、落ち着いたら息子のペースで好きなことをやってほしいと思っています。絵を描いたり、粘土でキャラクターのフィギュアを作るのが好きなので、絵画教室やモノ作り関連のならいごとをしたいですね」

赤ちゃんのときからマイペースだったという直人くん。佐知子さんはそんな直人くんを見て、「中身がフランス人だなあ」とよく感じることがあると言います。本人のペースで焦らずにゆっくりと。好きなことをして遊んだり、あえて何もしない時間を持ったり。そんな考え方もフランスらしいと言えるのかもしれません。

“他の子と比べて、早く何かができるようになること”に対して、それほど価値を置かないのがフランスの子育て。『流行っているから』『周りが行かせているから』といった他人を物差しにした考え方ではなく、あくまでも自分たち独自の判断でならいごとも決める。他人と比べず、その子にあったペースで育児をするフランスの子育てから、学ぶべきことはたくさんありそうです。


第3回はヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置するセルビアのならいごと事情をお伝えします。

取材・文 希代真理子

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きたい まりこ

希代 真理子

コーディネーター

1995年よりドイツ・ベルリン在住。フンボルト大学でロシア語学科を専攻した後、モスクワの医療クリニックでインターン。その後、ベルリンの映像制作会社に就職し、コーディネーター として主に日本のテレビ番組の制作に関わる。2014年よりフリーランスとして活動。メディアプロダクションに従事。2020年にAha!Comics のメンバーとして、ドイツの現地小学校を対象に算数の学習コミックを制作。

1995年よりドイツ・ベルリン在住。フンボルト大学でロシア語学科を専攻した後、モスクワの医療クリニックでインターン。その後、ベルリンの映像制作会社に就職し、コーディネーター として主に日本のテレビ番組の制作に関わる。2014年よりフリーランスとして活動。メディアプロダクションに従事。2020年にAha!Comics のメンバーとして、ドイツの現地小学校を対象に算数の学習コミックを制作。