子どもを伸ばす「STEM教材」VEXロボティクス 「プログラミング・プレゼン・コミュニケーション」力がつく理由

注目のアメリカ発STEM教材「VEXロボティクス」 #1 VEXの仕組みと4つのカテゴリについて

対象年齢・未就学児~7歳ぐらいまでの「VEX 123」

市川さん:対象年齢が未就学児~7歳ぐらいまでの「VEX 123」は手のひらサイズの“123ロボット”と“123コーダー”、“123コーダーカード”などの教材がキットになっています。

まず“123ロボット”に、前後左右どのように動くかプログラムを設定。すると、ロボットがそのプログラムどおりに動きます。これにより、子どもたちは「あの位置までロボットを動かしたい」「あのボウリングのピンを倒そう」など、目的に到達するための順番を組み立てて、成し遂げたい事項を達成するために必要な「順番を考える」ことを学んでいきます。

「VEX 123」の教材のひとつ、123ロボット。  撮影:日下部真紀

市川さん:次の段階が、“123コーダー”を使用してのロボット操作です。動きや音の指示が書かれた123コーダーカードを123コーダーに差し込むと、123ロボットがそのとおりに動きます。

「VEX 123」のメイン教材。「VEX 123」のキットは3万2417円。  撮影:日下部真紀

市川さん:カードに書かれているのは英語ですが、横にイラストも入っていて、小さな子どもでも分かるようなつくりです。たとえば「前に4」と書いてあるカードを入れると、ロボットはどういう動きをするのかを自分の目で確認し、ロボットの動きとカードの指示との関係性を理解していきます。

対象年齢・7~10歳の「VEX GO」

市川さん:対象年齢が7~10歳の「VEX GO」は、専用のロボットブレインやモーターなどさまざまなパーツが入った“GOキット”が教材で、このキットを使って簡単なロボットを組み立て、動かすということができるようになります。

「VEX GO」のGO キット。これを使って、ロボットを組み立てることができます。「VEX GO」のキットは5万3834円。  撮影:日下部真紀

市川さん:ロボット作りの説明書も用意されているので、40種類ぐらいのロボットを作ることができます。またそこから、たとえば4輪を6輪へ、ものを高い所まで運ぶための長いアームを付けるなど、“何かを足す”アレンジで、子どもたちは自由にロボット作りが楽しめます。

このキットはパーツが色分けされていて、専用ケースにビジュアルラベルが貼られており、各パーツの収納場所がわかりやすいので、整理整頓がしやすく、必要なパーツをすぐに見つけることが可能です。

「VEX GO」を使う年代になると、自分なりのアプローチでロボットを自在に作り変えて楽しむというフェーズに入る子もいますし、“フィールド”と呼ばれる場所で自作のロボットを動かして仲間と競い合うという、コンペティション(VEXのロボコン)の入り口に向かう子もいます。

対象年齢・10~14歳からの「VEX IQ」

市川さん:「VEX IQ」になるとキットに入っているパーツの量が格段に増え、ロボットもより多彩な動きができるようになります。そして、「VEX IQコンペティション」にも参加できるように。

「VEX IQ ロボティクスコンペティション」は、児童・生徒がチームでロボットを設計、組み立て、コーディングを行い、他のチームと技術を競い合います。(※コンペティションについては2回目で詳しく解説)。「VEX IQ」のキットは12万1429円からです。

年齢が上がると、1つ上のカテゴリ「VEX ロボティクスコンペティション」に参加することになります。使用教材はVEX V5になります。

2023年11月26日に昭和女子大学にて行われたコンペティション『VEX IQ FULL VOLUME』にて。  写真提供:市川晋也

──VEXを学んだ児童は全員、コンペティションに参加するのでしょうか?

市川さん:いえ、そういうわけではありません。コンペティションのように、目指したいゴールがあり、そこから逆算して自分に必要なものや足りないものを学んでいくというのが好きな子もいれば、自分の世界の中で、自分が思い描くものを作って楽しみたいという子もいます。VEXは、そのどちらにも対応できる教材ということです。

次のページへ VEXはどこで学べる?
29 件