日本語にはもともと「緑色」がなかった? 【ことばのふしぎ大冒険5】

第2話 緑色なのになぜ「青信号」とよぶの?(2)

コピーライターの川上徹也氏とグラフィック・クリエイターの春仲萌絵氏による新感覚・日本語エンタメ本が話題だ。今回のテーマは「緑色の信号を『青信号』とよぶワケ」。日本語での色の歴史を学んでみよう!

本記事は発売中の書籍『もえとかえる ことばのふしぎ大冒険』の一部を抜粋・編集したものです。

前回のお話はこちら

かえる
「なぜ日本では緑色の信号を『青信号』とよぶか? それは

『日本で初めて信号機が導入されたときに、記者が青・黄・赤と新聞で紹介した』から!」

もえ
「???」

新聞記者がまちがえて書いた?

かえる
「日本で始めて信号機が導入されたのは1930年(昭和5年)のことで、東京の日比谷交差点が最初と伝わっているよ。

このとき、新聞記事のなかで信号機の色を『青・黄・赤』と文章で紹介しているんだケロ」

もえ
「じゃあ、新聞記者がまちがったのが広まっちゃったってこと?」

かえる
「うーん、それだけが原因じゃないケロ。

じつは、日本にはもともと『緑』という言葉がなかったことが関係しているかも……ケロ」

もえ
「えっ? どういうこと?」

古代の日本語では「緑」が「青」の一部だった

かえる
「日本では『浅葱色(あさぎいろ)』『薄紅色(うすべにいろ)』『黄土色(おうどいろ)』『瑠璃紺(るりこん)』など、伝統色として400以上の色に名前がつけられている。

でも、奈良時代より前の日本には『赤』『青』『白』『黒』の4つしか色のよび方しかなかったんだケロ」

もえ
「へえー」

かえる
「ようするに、古代日本の青は『blue(ブルー)』だけじゃなくて『緑(green:グリーン)』もふくまれていた

そのあと、『青』から『緑』が区別されるようになったんだケロ」

もえ
「たしかに、『青い』とはいうけど、『緑い』とはいわないもんね」

かえる
「こういう理由があるから、日本語には緑色のものを『青』とよぶ習慣がいまでも残っているケロ」

もえ
「おー、なるほど」

かえる
「ちなみに……」

つづきはこちら!
※公開日(11月18日)までリンク無効
※毎週土曜・水曜に更新

『もえとかえる ことばのふしぎ大冒険』
川上徹也、春仲萌絵(著)
定価:1,540円(税込)
ISBN:978ー4-06-533053-1
イラスト©春仲萌絵
読者対象:小学校4年生以上

日常生活のなかにある「ことばのふしぎ」を通じて、国語の楽しさ・奥深さが、マンガとイラストで楽しく学べる新感覚・日本語教養エンタメ本です。

かわかみ てつや

川上 徹也

Kawakami Tetsuya
コピーライター

大阪大学人間科学部卒業後、広告会社勤務を経て独立。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」の第一人者として知られる。言葉のプロとして日本語の成り立ちや語源についても研究を続けており、その奥深さや美しさを「やさしく深くおもしろい」をモットーに伝えていくことを使命にして、作家活動を続けている。 著書は『マンガで笑って、言葉の達人!超こども言いかえ図鑑』(Gakken)、『仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ』(ポプラ社)、『ザ・殺し文句 』(新潮新書)、『400年前なのに最先端! 江戸式マーケ』(文藝春秋)などがある。海外にも20冊以上が翻訳されている。

大阪大学人間科学部卒業後、広告会社勤務を経て独立。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」の第一人者として知られる。言葉のプロとして日本語の成り立ちや語源についても研究を続けており、その奥深さや美しさを「やさしく深くおもしろい」をモットーに伝えていくことを使命にして、作家活動を続けている。 著書は『マンガで笑って、言葉の達人!超こども言いかえ図鑑』(Gakken)、『仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ』(ポプラ社)、『ザ・殺し文句 』(新潮新書)、『400年前なのに最先端! 江戸式マーケ』(文藝春秋)などがある。海外にも20冊以上が翻訳されている。

はるなか もえ

春仲 萌絵

Harunaka Moe
グラフィック・クリエイター

1997年生まれ。埼玉県出身。跡見学園中学・高校、学習院大学経営学科卒業。2017年よりグラフィックレコーディングを開始し、多くのイベントや会議、セミナー等へ参加。グラレコのほかに図解イラストやホワイトボードアニメーションなど、グラフィックの力を使って想いを彩る「グラフィック・クリエイター」として幅広く活動中。やわらかさ、あたたかさ、エモさにこだわった手描きのイラストや文字での表現を得意とする。 主な仕事として『400年前なのに最先端! 江戸式マーケ』(川上徹也/文藝春秋)の図解イラスト、テレビ朝日「おるおるオードリー」やTOKYO FM「山崎玲奈の誰かに話したかったこと。」(ダレハナ)でのグラレコなどがある。

1997年生まれ。埼玉県出身。跡見学園中学・高校、学習院大学経営学科卒業。2017年よりグラフィックレコーディングを開始し、多くのイベントや会議、セミナー等へ参加。グラレコのほかに図解イラストやホワイトボードアニメーションなど、グラフィックの力を使って想いを彩る「グラフィック・クリエイター」として幅広く活動中。やわらかさ、あたたかさ、エモさにこだわった手描きのイラストや文字での表現を得意とする。 主な仕事として『400年前なのに最先端! 江戸式マーケ』(川上徹也/文藝春秋)の図解イラスト、テレビ朝日「おるおるオードリー」やTOKYO FM「山崎玲奈の誰かに話したかったこと。」(ダレハナ)でのグラレコなどがある。