日本でも24万人超が体験! 子どもと親の“真っ暗闇体験”で起きた想定外の「5つの変化」

暗闇体験を経て見える新しい世界とは ~#2「ダイアログ」の子どもへの影響とは?~

ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表:志村 真介

佐賀県では、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン」との協働事業として、2016年度から3年間、2000人以上が学校の授業で「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験した。他にも同団体では盲学校を含め各地の学校で体験イベントを実施。  写真提供:ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン
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視覚や聴覚障害者、高齢者の世界を楽しみながら体験できるソーシャルエンターテイメントが注目されています。これらを親子で体験すると、子どもはどう変化・成長するのか?

日本で初めてソーシャルエンターテイメントを主宰した、ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表の志村真介さんに聞きました。

※2回目/全3回(#1を読む

志村真介(しむら・しんすけ)PROFILE
ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表。1962年生まれ。関西学院大学商学部卒。1999年からダイアログ・イン・ザ・ダークを主宰。視覚障害者の新しい雇用創出と、誰もが対等に対話できるソーシャルプラットフォームを提供している。2020年東京・竹芝にダイバーシティが体験できるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」をOPEN。

海外では学校教育で体験する

弊社で提供しているのは、3つの体験型ソーシャルエンターテイメントです。「ダイアログ」シリーズと言うことも。

ひとつは光が全くない照度0の漆黒の暗闇の中を視覚障害者に導かれ、声、音、気配、触覚などで進む「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下略:ダーク)」。ふたつめは、音のない静寂の中で聴覚障害者とともに、表情とボディランゲージでコミュニケーションを楽しむ「ダイアログ・イン・サイレンス(以下略:サイレンス)」。そして、みっつめは80歳以上の高齢者と、歳を重ねることに思いを馳せつつ、生き方について対話する「ダイアログ・ウィズ・タイム(以下略:タイム)」です。

「ダーク」は、1988年にドイツで始まり、世界47ヵ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験。日本ではドイツから10年遅れで1999年に始まりました。24年間で体験した人は24万人以上です。

子どもの体験者でいえば、海外が60%なのに対し、日本ではわずか3%。それも、海外では学校教育として、子どもたちは「ダーク」を始めとする「ダイアログ」シリーズを体験しています。

3%の数字を、私はとてももったいないと感じています。なぜなら、「ダイアログ」シリーズは子どものときこそ体験してほしいものだからです。

子どもは小学校4年生ごろから、人と違うことが恥ずかしいと感じたり、場合によっては人との違いが攻撃対象になったりすると言います。

その時期に海外では学校教育として、授業で「ダイアログ」シリーズを体験させています。国が費用を出し主体となって、「人間はみないろんな凹凸があって当たり前」と、子どものうちに経験をもって体得させているわけです。

体験することで得られる5つの変化

日本でも、ぜひ子どもに体験してもらいたいんです。できれば、「次の休日どこ行く? 東京ディズニーランド? ダイアログ? 映画?」と人気エンターテイメントの一つとしてチョイスできるくらいに。

体験することで子どもは必ず、何かしらの気づきを得て、大きく成長するきっかけになるからです。もちろん、大人である親自身も。

例えば、次のような変化がよく見られます。これらは、実際に体験した子どもたちや親御さんから聞いた話です。

1.街で障害者が視界に入るようになった

2.シルバーシートに座っていた子どもが席を譲るようになった

3.子どもの知らない一面を見ることができた

4.自分は必要とされていると実感できるようになった

5.子どもへの向き合い方が変わった

次のページへ 電車で必ず座っていた少年が席を譲るように変化
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