日本でも24万人超が体験! 子どもと親の“真っ暗闇体験”で起きた想定外の「5つの変化」
暗闇体験を経て見える新しい世界とは ~#2「ダイアログ」の子どもへの影響とは?~
2023.08.06
ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表:志村 真介
【変化5:自分は必要とされていると実感できるようになった】
2016年から3年間、佐賀県の小学校4年生に「ダーク」を体験してもらいました。体験前後でアンケート調査を行ったところ、子どもたちの自己肯定感などが上がったことが分かりました。
アンケートでは「自己肯定感」という言葉は使わず、次のような質問を体験前後に投げかけました。
・「人のことがしんらいできると思う」
・「自分自身に満足している」
・「自分のきぼうはいつかかなうと思う」
・「相手のよろこぶことをしてあげたくなる」
他者への信頼感、自尊感情、自己効力感、他者への思いやりを測る質問ですが、いずれも、体験後には「そう思う」と答えた数が上がりました。
なぜでしょうか。それは、暗闇の中で、さっきまで初対面だった人に「ここに段差があるよ」と教えられたことで相手を信頼できるようになり、相手に大切にされていると思えたから。相手に教えてあげる自分を誇らしく思えたから。まったくしゃべったことのない大人に対して自分が何か助けてあげたり会話が成立したりするんだ、ということが分かったからです。
人は自分が大切にされたら、自然と他の人も大切にしようとする心が働くものです。そして、これまで触れ合うことがなかったお年寄りや障害者と一緒に楽しく遊ぶことで、未知の人への不安も減ります。
こうした経験は、今後もしづらいこと、困難なことがあっても、立ち直らせてくれる宝物になります。常に心の片隅にあるわけではなく、何かの拍子でふっと出てきて役に立つ宝物に。
「ダーク」体験は自信も育ちます。例えばですが、地下鉄に乗車中、停電が起き真っ暗になった。そのときに、1回経験した暗闇を思い出すと、冷静になり、周りの人の声を聞き始めたり、出口はあそこかもしれないと探る力がわいてくるでしょう。
同じ状態でも、経験しているのとしていないのとでは、大きく違ってくるのです。子どもの変化はすぐ分からなくても大丈夫。いつか子どもの中に芽生えた小さな変化に気づくことができるでしょう。
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「ダイアログ」シリーズを体験した子どもに起きたというさまざまな変化は驚くものでした。もしわが子の場合、体験を通してどんな変化が起こるのか。今夏は、親子で「ダーク」にトライし、お互いの変化を観察しあってみるのも楽しいかもしれません。ペーパーのお勉強とは違った、さまざまな学びや成長につながりそうです。
取材・文/桜田 容子
●対話の森HP チケット「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」夏期限定プログラム『夏祭り』【~2023年8月27日(日)まで開催】
https://taiwanomori.dialogue.or.jp/did-ticket/
●ダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇。」
夏期限定プログラム『涼をつくる夏』(開催期間はHPを参照)
https://did.dialogue.or.jp/totonou/
桜田 容子
ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。
ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。
志村 真介
ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表。1962年生まれ。関西学院大学商学部卒。コンサルティングファームフェローを経て1999年からダイアログ・イン・ザ・ダークを主宰。1993年『日本経済新聞』の記事で「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と出合う。感銘を受け発案者ハイネッケに手紙を書き日本開催の承諾を得る。日本初開催後10年間短期イベントとして開催。視覚障害者の新しい雇用創出と、誰もが対等に対話できるソーシャルプラットフォームを提供している。2020年東京竹芝にダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」をOPEN。現在に至る。 著書に『暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦』(講談社現代新書)など。 東京・竹芝にある「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』」では、2023年9月10日までは、同ミュージアムにて、さまざまなマイノリティと楽しみながらゲームをする「リアル対話ゲームⅡ 囚われのキミは、」を開催。 ●ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』
ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表。1962年生まれ。関西学院大学商学部卒。コンサルティングファームフェローを経て1999年からダイアログ・イン・ザ・ダークを主宰。1993年『日本経済新聞』の記事で「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と出合う。感銘を受け発案者ハイネッケに手紙を書き日本開催の承諾を得る。日本初開催後10年間短期イベントとして開催。視覚障害者の新しい雇用創出と、誰もが対等に対話できるソーシャルプラットフォームを提供している。2020年東京竹芝にダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」をOPEN。現在に至る。 著書に『暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦』(講談社現代新書)など。 東京・竹芝にある「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』」では、2023年9月10日までは、同ミュージアムにて、さまざまなマイノリティと楽しみながらゲームをする「リアル対話ゲームⅡ 囚われのキミは、」を開催。 ●ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』