山崎貴監督 子どもの台詞はTikTokを参考に 「ゴーストブック おばけずかん」制作秘話
映画「ゴーストブック おばけずかん」山崎貴監督 特別インタビュー#2
2022.07.23
編集者・ライター:山口 真央
試練を「楽しく」乗り越える映画で子どもたちを応援したい
ーー映画のなかでの子どもたちの台詞やノリは、現代の子どもたちの空気感が、リアルに表現されていると感じました。どのようにして台本づくりされたのですか。
そう言ってもらえると嬉しいですね。現場でキャストが言いやすい言葉に、台本を変えたのがよかったのかもしれない。子どもたちが台本通りに台詞を言えなかったとき、間違えて言った言葉のほうが自然なことがあるんです。彼らのほうが、今の子どもらしい自然な表現をよくわかっているから、ナチュラルに出てくる表現をどんどん採用しました。
あとは、TikTokをすごい観ましたね。若い子たちの取材も兼ねているけれど、TikTokが大好きなんですよ。先日ロケで遠出したときに、帰り道が3時間かかるところを、TikTokを見ていたら体感は30分だった。それが台本に少なからず反映されているかな。「ゴーストブック おばけずかん」の取材で、TikTokerが僕のところに遊びにきてくれるみたいで、実はそれを一番の楽しみにしています(笑)。
ーー最後に映画「ゴーストブック おばけずかん」を通して、伝えたい想いをお聞かせください。
今の子どもたちを含む若い世代は、身の回りにたくさんの情報があるせいか、諦めるのが早い気がしています。もちろん情報収集するのは大事だし、頭のいい生き方ではあるけれど、一度も体験せずに諦めてしまったらつまらない。現代を生きる子どもたちが試練を乗り越える物語を描きたいと考え続けて、やっと実現することができました。
試練と言うけれど、映画のなかで巻き起こる出来事は、おばけと戦うためにあれこれ考えたり、ときにはおばけと仲良くなったり。楽しいお話のなかで、本気でがんばる子どもたちを描いています。子どもたちが何かを諦めそうになったとき、この映画がふんばる力を与えられたらうれしいです。
山崎貴 profile
映画監督。阿佐ヶ谷美術学校卒業後、1986年に株式会社白組に入社。2000年「ジュブナイル」で監督デビュー。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者。「ALWAYS 三丁目の夕日」(05)では、心温まる人情や活気、空気感を持つ昭和の街並みをVFXで表現し話題となり、第29回アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞など12部門を受賞。「永遠の0」(13)、「STAND BY ME ドラえもん」(14)は、それぞれ第38回アカデミー賞最優秀作品賞ほか8部門、最優秀アニメーション作品賞を受賞。日本を代表する映画監督の一人として数えられる。
撮影/嶋田礼奈
取材・文/山口真央
映画「ゴーストブック おばけずかん」は7月22日から公開!
図書館で借りられないと大人気の童話「おばけずかん」シリーズが実写映画化! 手がけるのは「ALWAYS 三丁目の夕日」や「DESTINY 鎌倉ものがたり」の山崎貴監督。どんな願いも叶う禁断の書「おばけずかん」を手にした子どもたちの冒険物語を、美しいVFXの映像で描きます。
(「ゴーストブック おばけずかん」7月22日(金)全国東宝系公開。【出演】城桧吏、柴崎楓雅、サニーマックレンドン、吉村文香、神木隆之介、新垣結衣。【監督・脚本・VFX・ストーリー原案・キャラクターデザイン】山崎 貴「ALWAYS 三丁目の夕日」「DESTINY 鎌倉ものがたり」)
山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。