【子どもの風邪】ホームケア新常識「風邪のときは入浴を控える」は間違い!「風邪をひいたときの入浴の判断」〔医師が解説〕
令和の「子どもホームケア」#4~風邪のときの入浴~
2025.02.04
小児科専門医:森戸 やすみ
お風呂の湯気が鼻水や咳・腹痛をやわらげる面も
子どもが風邪をひいているとき、「お風呂に入れてもいいのかな」と悩んだことはありませんか? 親世代が子どものころは、よく「風邪のときはお風呂に入らないほうがいい」と言われていましたが、現在はどのような考えが一般的なのでしょうか。風邪のときの入浴について、森戸やすみ先生に聞きました。
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結論から言ってしまうと、風邪のときでも元気ならお風呂に入っても大丈夫。発熱時も同じです。鼻水や咳が出ているなら、お風呂の湯気で鼻詰まりが緩和されたり、咳が落ち着いたりもするので、入ったほうがよい場合もあるでしょう。
日本には昔から湯船にゆっくり浸かるという、ほかの国にはあまりない習慣がありますね。適度な入浴は筋肉の緊張をほぐすなどのリラックス効果が得られますが、熱いお湯に長く浸かると体力を消耗し、かえって疲れてしまうことも。そうした理由から「風邪のとき、体力が落ちているときは入浴を控えたほうがいい」と言われていたのだと思います。
自分で鼻をかめない小さなお子さんなら、お風呂上がりは鼻水を吸いやすいですし、腹痛や下痢の症状はお腹をあたためることでやわらぐメリットもあります。
もちろん、本人が嫌がるようでしたら無理に入れる必要はありません。つらそうなとき、疲れているときも控えましょう。入浴のいちばんの目的は肌の清潔を保つことですから、シャワーで簡単に済ませたり、蒸しタオルで体を拭いたりするだけでも十分です。
おむつかぶれがある赤ちゃんは、1日でもお風呂に入らないと症状が悪化しがちです。特に風邪でゆるいうんちが出ているなら、お風呂に入れるのが難しい場合でも、おしりだけをシャワーで洗ったり、たらいや大きな洗い桶でおしりだけを洗う「座浴」をしたりして、おしりを清潔にするとよいでしょう。
ぬるめのお湯に短時間でササっと入浴
風邪でお風呂に入れるときのポイントは、お湯の温度を普段よりやや低く、ぬるめに設定すること。熱いお湯や長時間の入浴は、体力を消耗しますし、脱水症状を招くこともあります。短時間でササっと済ませましょう。
特に熱性けいれんを起こしやすい子は、お風呂であたたまりすぎるとけいれんを起こすことがあるので注意が必要です。ふとんに入る1時間くらい前に入浴するとぐっすり眠れると言われていますが、夜が難しければ、日中でもよいでしょう。
お風呂上がりは湯冷めしないように、すぐに体を拭いてパジャマを着せます。今のような寒い時期なら、浴室や脱衣場、部屋はあたためておくと安心ですね。ただし、湯冷めを心配して必要以上に厚着をさせたり、寝るときに厚いふとんを何枚も重ねたりすると、体内に熱がこもってしまいます。
顔が赤くなっていないか、暑がっていないかなど、お子さんの様子を見ながら着るものやふとんを調整しましょう。