「まず性的同意」 産婦人科医が伝える「パパママの性教育アップデート」とは

えんみちゃん・遠見才希子先生の「性教育アップデート」#1〜性の学び直し編〜

産婦人科医:遠見 才希子

「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」の厚生労働省検討会に参加した遠見先生(写真左)。正しい性の知識の普及などを行う「NPO法人ピルコン」代表の染矢明日香さん(写真中)と、社会活動家で「#なんでないのプロジェクト」代表の福田和子さん(写真右)と一緒に。
写真提供:遠見才希子

避妊の前に知っておきたい「夫婦でも性的同意」

避妊について夫婦間で話す際に、「改まって切り出さなくてもいい」と遠見先生。

日頃から夫婦で性について話していない場合は、いきなり「避妊」だけ切り取って話すよりも、夫婦間のセックスを考える上でも重要な性的同意からアプローチするのも方法のひとつ、とのことです。

「近年は、性暴力被害に対して声を上げる『#Me Too』の影響やコロナ禍で、性暴力の問題が浮き彫りになるなど社会も変わりつつあります。そうした中で、自分自身の性体験を振り返り、『あれは性的同意がなかった性行為だったんだ』と気づかされる方もいることでしょう。

その場の雰囲気でキスやセックスをするなど、同意のないままなんとなく経験してきたかもしれません。しかし、夫婦やどんな関係であっても性的な行為をする際に『するか、しないか』の意思を互いに確認して、同意を得ることはとても大事です」

避妊について一足飛びに考えるのではなく、まずは夫婦で性的同意について学び、見直す必要があるのでしょうか。

「『性的同意』を夫婦間のコミュニケーションとして捉えてみてください。夫婦間のセックスであっても、したくない時には自分の気持ちを伝えていいし、途中でするのを止めてもいい。

したい気持ちも、したくない気持ちも、どちらも尊重されて、日頃からお互いの気持ちを伝えられて受け入れられる、対等な関係性は、安心できる家族を構築する上でも大切です。

それに、性の問題はずっと続くことなので、今からでも遅すぎることはありません。『まともに性教育を受けないまま親になった私たちはどうすればいいの?』と危機感をつのらせるより、『これから夫婦で一緒に考えよう』と前向きにとらえてもらえればいいですね」

第2回(#2)は、具体的な避妊方法や日本の避妊事情について伺います。(※第2回は11/24公開。公開までリンク無効)


取材・文/畑菜穂子

わかりやすい言葉とかわいらしいイラストで、プライベートパーツや性的同意について学べる遠見先生の著書『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店刊)
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えんみ さきこ

遠見 才希子

産婦人科医

産婦人科医。1984年神奈川県生まれ。2005年から中高生向けの性教育活動を始め、「えんみちゃん」のニックネームで全国900ヵ所以上の学校をめぐり正しい知識や等身大のメッセージを伝えている。1歳児、3歳児の子育て中。著書『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店)、『ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 Twitter:@emmi__chan

産婦人科医。1984年神奈川県生まれ。2005年から中高生向けの性教育活動を始め、「えんみちゃん」のニックネームで全国900ヵ所以上の学校をめぐり正しい知識や等身大のメッセージを伝えている。1歳児、3歳児の子育て中。著書『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店)、『ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 Twitter:@emmi__chan

はた なおこ

畑 菜穂子

ライター

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona