「通知が来ると憂鬱」Aさんのケース
友達や仲間うちでのやりとりに便利なのが、グループLINEやチャットです。
しかし、課題や悩みも尽きません。特に、子どもはコミュニケーション力が未完成。友達同士のやりとりで、時には無理をしすぎたり、遠慮をしすぎたり、とバランスがうまくとれないことも。
ましてや、お互いの顔が見えないネット上でのやりとりとなると、尚更にコミュニケーションが円滑に進まないケースもあります。
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Aさんは最近、学校の友達が参加しているグループLINEの通知がくると、いつも憂鬱でした。
「ねむい!」
「英語の宿題ってどこだっけ?」
「わかんない」
「教科書持って帰るの忘れたやばい」
「写真送ろうか?」
「助かる!ありがと」
「風呂入ってくるわ」
「今前髪切ってきたの」
「えー気になる!見せて!」
と、一度始まると取り止めもない会話は延々と続きます。
最初のころはやりとりが楽しく、常に返信し続けていたAさんですが、次第に、「今日はひとりで過ごしたいな」「宿題したいな」と思う日が増えていきました。
しかし、少しでも目を離すと新着通知がどんどんたまっていき、未読のメッセージがたっぷり。
通知を見るたびに、何の話をしているのか気になって、結局、溜まっているメッセージのやりとりを見続けることになります。そして気づけば、あっという間に寝る時間。自由時間はほとんどありません。
勇気を出して「ごめん、しばらくグループLINEを離れるわ」と言うべきなのか。でも友達と気まずくなったり、「ぼっち」になるのは嫌……。
そんなことを考えていたある夜、いつものようにグループLINEの通知音が鳴りました。
見れば、Bさんから「ひとりの時間を大事にしたいからグループLINEを抜けるね。せっかく誘ってくれたのにごめん。何かあるときはひとりずつちゃんと連絡するね」とメッセージが。次の瞬間、BさんはグループLINEを退出していました。
Aさんは驚いたのと同時に、こう思いました。
「私もこんなふうに自分を通せたらどんなに楽だろう。でも、グループLINEのおかげで元気になることもあるから、離れたくない気持ちもあるし……。退出するまではしたくない。ああ、バランスをとるって本当に難しい」
目立ちたくない。波風立てたくない。そんな不安の間で、いつまでも揺れることになりました。
「常に外部とつながっている」というストレス
Aさんのような「グループを抜けたいのに抜けられない」というケース。子どもはもちろん、大人も悩む人はいますよね。
SNSでのコミュニケーションは便利なはずなのに、なぜこんなにも悩みが尽きないのでしょうか?