
軍事力はなぜ必要なのか 小泉悠氏に聞くこれからの平和教育と親の役割
東京大学准教授・小泉悠先生に聞く、現代の戦争と国際社会のリアル #3 (2/4) 1ページ目に戻る
2026.03.30
東京大学准教授:小泉 悠
ウクライナ戦争は東アジアにとっての予行演習か
──2026年2月28日、アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃が始まりました。これをきっかけに日本周辺、例えば台湾海峡などでも問題が起きたら子どもが安全に暮らせなくなるのでは、など考えてしまい、親としては不安で仕方がありません。
小泉悠先生(以下、小泉先生):今、世界で起きていることは、大きな国が自分の気に入らない小さな国を、力でねじ伏せようとする行為です。これが公然と許されてしまう世界になりつつあります。
冷戦時代は「東西対立」という大きな構図があって語りやすかったのですが、90年代以降のアメリカ一極集中もとうとう終わってきました。米中の国力差が縮まり、しかもアメリカ自身が「俺はもう南北アメリカ大陸に引きこもるんだ」と言い出している。
これはまさに、ロシアがずっと唱えてきた「多極世界論」をアメリカが自ら裏書きしているような世界観です。
ただ、ここで言う「多極世界」という言葉には実はいろんな意味があって、ロシアでも最初に言われ始めたころは、意外にもリベラルな意味合いが強かった。冷戦以後、アメリカの覇権に対して、もっとリベラルな国際秩序を作ろうという話だったんです。それがいつの間にか、「大国で世界を分割する」みたいな話にすり替わってしまいました。
小泉先生:私は中国の専門家ではありませんから、個々の動きを話すことはできません。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻を「予行演習」として見れば、見えてくるものがあります。もしロシアが力ずくで現状を変えることに成功してしまえば、「力さえあれば何をやってもいい」という悪い意味での多極世界が決定づけられてしまう。
そして中国は間違いなくそれを観察しているでしょうし、東アジアの平和に直結する問題とも言えるでしょう。






























