小学生はSNSは使えない 犯罪から子どもを守るスマホ術〔防犯アナリストが解説〕

防犯ママが教える「夏休みの防犯対策」#3

一般社団法人 日本防犯学校副学長・防犯アナリスト:桜井 礼子

親世代が子どもだった頃とは違い、小学生でもスマートフォンを使うのが当たり前の時代になりました。自由時間が多い夏休みには、動画を視聴したり、SNSでコミュニケーションをとったりすることが自ずと増えるでしょう。

一方で、SNSを介した犯罪は年々増加。スマートフォン利用に関しては高い防犯意識を持つことが必要と、一般社団法人日本防犯学校副学長・防犯アナリストの桜井礼子先生は言います。

今回は、子どもを犯罪から守るスマートフォンの使い方について先生に教えていただきました。
(全3回の3回目。#1#2を読む)

スマートフォン利用率が増えるに伴い、犯罪も増加

小学校でもタブレットが配られるなど、もはや小学生のインターネット利用は当たり前で、利用率は年々増加しています。

子どものインターネット利用はおろか、スマートフォン所有でさえも一般的になっていると言えるでしょう。写真:アフロ

しかし、便利なツールが登場すると、それを利用した犯罪も起きるのが悲しい現実です。

特に近年は、SNSなどのコミュニティサイトを利用した犯罪の増加が目立ちます。犯罪者は素性を偽り、共通の趣味などを口実に、子どもに接触します。共通の話題があると会話が弾むからか、子どもは顔を見たことのない相手でも信用してしまうのでしょう。そして、犯罪者はうまく会う約束をとりつけ、性犯罪や連れ去りなどの犯行に及ぶのです。

また、SNSに投稿した写真や文章をもとに、個人情報を特定されるケースも少なくありません。「これなら大丈夫だろう」と思っていても、犯罪者は数少ない情報のなかから、住んでいる場所や年齢なども特定し、子どもを狙うのです。

スマートフォンの防犯対策とは?

では実際に、スマートフォンの防犯に有効な機能を2つご紹介します。

1.不適切なサイト等をブロックする「フィルタリング」をかける

そもそも子どものスマートフォンには、フィルタリングが義務付けられていることをご存知ですか? 

フィルタリングとは、不適切なサイトや有害なアプリへのアクセスを制限するサービスのこと。

携帯電話事業者は、18歳未満の青少年が携帯電話を契約・機種変更をする際には、「青少年確認義務」や「フィルタリングの設定・インストールを行う有効化措置義務」が義務付けられているのです。

これは、国が定める「青少年インターネット環境整備法」によるもの。平成30年、フィルタリング利用率を高めるために、上記の内容に改定されました。つまり、子どものスマートフォンにフィルタリングの設定をするのは、もはや親の義務とも言えます。

しかし、内閣府の調査「平成30年におけるSNSに起因する被害児童の現状」によると、被害児童の約9割が被害時にフィルタリングを利用していなかったというデータも出ています。
出典:平成30年におけるSNSに起因する被害児童の現状

「フィルタリングの存在を知らない」という親もまだまだいらっしゃいますが、これを機会に、フィルタリングをかけるようにしてください。

フィルタリングは簡単に利用ができますが、機種によってサービスが異なる場合があるので、まずはスマートフォンを契約したお店に相談することをおすすめします。

2.親が利用を管理できる「ペアレンタルコントロール」を設定する

先述のフィルタリングサービスは、携帯電話事業者のネットワークを介したインターネット接続のみが対象です。公衆無線LANを介してのインターネット接続や、個々のアプリケーションを介した通信への防犯には、ペアレンタルコントロールの設定もしておく必要があります。

ペアレンタルコントロールとは、サイトの閲覧やアプリケーションの使用、有料コンテンツの購入などを保護者が管理・制限できる機能のこと。これを利用すれば、有害サイトへのアクセス制限のみならず、スマホ利用時間の確認、ゲームなどへの課金確認などもできます。また、アプリケーションごとに利用制限をかけることも可能です。

Androidであれば、ペアレンタルコントロール専用のアプリ「Googleファミリーリンク」もあります。

なお、このペアレンタルコントロールを設定する際には、1日何時間使いたいか、どんなアプリケーションを使いたいのかを、子どもと一緒に話し合うようにしてください。

その際は、親が一方的に決めるのではなく、子どもに考えさせ、子どもの意思を聞くこと。押し付けてしまうと、子どもが反発してしまうからです。子どもの希望を聞きながら、お互いが納得できる使用ルールを見つけるようにしてくださいね。

防犯機能が最初から設定されている端末を買うのも◎

上記2点は、すでにスマートフォンをお持ちの方に向けての防犯対策でした。これからスマホデビューする方に向けて、「Hamic POCKET」という子ども用のモバイル端末をご紹介しましょう。

「Hamic POCKET」には、端末自体にすでにフィルタリングやペアレンタルコントロールが設定されています。さらには、端末の下部にストラップがついており、防犯ブザーとしても使うことも可能。ブザーが鳴ると、子どもの現在地の情報が親の端末へと届く機能もついています。

公式HP:これからスマホデビューする子どものためのプレスマホ

こうした端末なら、親も安心して子どもにスマートフォンを持たせることができるでしょう。

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