子どもの「乗り物酔い」は心理的な要因? 記憶 匂い めまい… 専門医がわかりやすく原因を解説
耳鼻咽喉科専門医・細野研二先生に聞く「子どもの乗り物酔い」 #2 ~心理的要因編~
2024.10.23
ほその耳鼻咽喉科 院長:細野 研二
診察では「めまい」の病気がないかを調べる
では、乗り物酔いで、耳鼻咽喉科を受診した子どもへ、どのような診察を行うのでしょうか。
「患者さんのお話を聞き、乗り物酔いの原因にめまいの病気が関係していないかを調べる検査をします。
例えば、あるデータで『メニエール病』や頭の位置を変えたときに回るような感覚になる『良性発作性頭位めまい症』を繰り返すと、乗り物酔いをしやすくなることがわかっています」(細野先生)
さらに、自律神経の機能の低下により、起立時にめまいを生じやすく、また朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪いことが多い『起立性調節障害』が乗り物酔いに関係していることもあるといいます。
「検査の一つに、立っている状態で平衡感覚が乱れていないかを調べる『バランス検査』があります。具体的には、1分間立った状態の重心の位置や、目を開けた状態と閉じた状態で揺れが増すのかを調べます。
この検査で『目を閉じた状態=目から得られる情報がない』と揺れが増す場合、耳やほかの深部近くが弱っている可能性があります。
ほかにも、問診やさまざまな体勢で血圧や脈拍を測るなど、状況に応じてさまざまな検査を行います」(細野先生)
めまいの病気や「起立性調節障害」だと判明したら、酔い止めの薬と一緒に薬を処方します。「起立性調節障害が内服治療や運動などで改善すると、乗り物酔いの改善にもつながる」と細野先生。このように、日常生活でのめまい感を改善し、乗り物酔いの原因を取り除いていくことが大切です。
病院選びは「めまい」診療をしている医院を
耳鼻咽喉科は、季節の変わり目や花粉症シーズンなどは混雑しているイメージがありますが、じっくり話を聞いてもらい、検査をしてもらうことはできるのでしょうか。
「乗り物酔いで受診する際は、めまいの診療をしている耳鼻咽喉科を選ぶといいでしょう。
めまいの場合、とくに初診は患者さんからゆっくり話を聞き、検査をしたり、説明をしたりする必要があります。
最初にしっかり関係性を築いたほうが、次のステップにも進みやすくなるので、めまいの診察をしている医師なら、その辺りは共通認識として持っていると思いますよ」(細野先生)
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細野先生の話を聞いていると、医師とのやりとりが子どもの安心感につながっていることがよくわかります。めまいを専門にしている耳鼻咽喉科をチェックしてみるといいでしょう。
次回3回目では、「予防法と酔ったときの対処法」について、引き続き細野先生にお伺いします。
取材・文/畑 菜穂子
乗り物酔い連載は全4回。
1回目を読む。
3回目を読む。
4回目を読む。 ※公開時よりリンク有効
畑 菜穂子
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
細野 研二
ほその耳鼻咽喉科 院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。 奈良県立医科大学卒業。2021年よりほその耳鼻咽喉科を開院。2023年より医療法人華美会理事長も兼務。 日本耳鼻咽喉科学会認定 補聴器相談医、日本耳鼻咽喉科学会認定 騒音性難聴担当医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、厚生労働省認定 補聴器適合判定医、身体障害者福祉法第15条指定医、難病指定医。 ほその耳鼻咽喉科 https://hosono-ent.com/
ほその耳鼻咽喉科 院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。 奈良県立医科大学卒業。2021年よりほその耳鼻咽喉科を開院。2023年より医療法人華美会理事長も兼務。 日本耳鼻咽喉科学会認定 補聴器相談医、日本耳鼻咽喉科学会認定 騒音性難聴担当医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、厚生労働省認定 補聴器適合判定医、身体障害者福祉法第15条指定医、難病指定医。 ほその耳鼻咽喉科 https://hosono-ent.com/