「前向き意識」が最下位! 日本の子どもに「エージェンシー」が必要なワケ

教育学者・末冨芳教授「こども基本法」と「子どもの権利」#3〜小学生の意見表明権とエージェンシー〜

教育学者・日本大学文理学部教育学科教授:末冨 芳

まず子どもの意見・声を聞く

小学生になる前から、我が家では小さい頃から子どもの意見・声を聞くことを大切にしてきました。

たとえば習い事については、子どもが「したい!」と言ったことをさせるのもそうです。

また塾については、親から塾に行ったほうがいいのかどうかを子どもに率直に伝え、悩みを共有したり、親が塾を大事だと思う理由について説明をして、話し合ってみる。

もし子どもがその気になった時も、合いそうなタイプの塾に少し通って、考えてみるというプロセスを共有していくことも重要です。

合わないことを子どもの声を聞かず無理にさせても、良い効果は生まれません。

・休日のお昼ごはんを、どうするかを一緒に考える。

・旅行の行先やしたいことについて、子どもからも提案してもらう。

・子どもたちがトラブルを起こしたときには、まず何が起きたのか、子どもに確認をして、その言い分をなるべく冷静に判断する。

・子どもが話しかけてきたときには、なるべくその声を丁寧にきく。


私もいつも出来ているわけではありませんが、子ども自身の意見を聞いて尊重すること、子ども自身の意見が日常生活で反映されることが、子どもたち自身に「エージェンシー」をはぐくみ、「社会を自分たちで変えられる」第一歩なのです。

次では最近、問題視された「さんぽセル」と、西原理恵子さんの「無断描写」を交えて子どもの「意見表明権」について考えます

※この記事は子どもたちの同意を得て執筆・公開されています。

末冨 芳(すえとみ かおり)
日本大学文理学部教育学科教授。専門は教育行政学、教育財政学。2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画、現在、文部科学省・中央教育審議会臨時委員もつとめる。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、子どもの権利・利益の推進、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。

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すえとみ かおり

末冨 芳

教育学者・日本大学文理学部教育学科教授

日本大学文理学部教育学科教授。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。専門は教育行政学、教育財政学。 子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。現在、文部科学省・中央教育審議会臨時委員もつとめる。 教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、子どもの権利・利益の推進、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。二児の母。 主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店)、『一斉休校 そのとき教育委員会・学校はどう動いたか』(明石書店)など。

日本大学文理学部教育学科教授。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。専門は教育行政学、教育財政学。 子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。現在、文部科学省・中央教育審議会臨時委員もつとめる。 教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、子どもの権利・利益の推進、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。二児の母。 主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店)、『一斉休校 そのとき教育委員会・学校はどう動いたか』(明石書店)など。