【赤ちゃんの初おでかけ】「生後1ヵ月過ぎから外出OK」は根拠なし! 外出の開始時期と注意点〔医師が解説〕

令和の「子どもホームケア」#8~赤ちゃんとのおでかけ~

小児科専門医:森戸 やすみ

外出のスタート時期に決まりはない

赤ちゃんのいる生活に慣れてきたころ、楽しみなのが赤ちゃんとの初めてのおでかけ。両親や先輩ママから「生後1ヵ月になるまで外出しないほうがいい」と聞いたママパパも多いのでは?

ただ、西欧や北米だと生後数日で外出することは珍しくないという声も。いったい何が正しいのか、森戸やすみ先生に伺いました。
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赤ちゃんとの外出の開始時期は、日本だと「生後1ヵ月以降が目安」とされることが多いようですが、実は医学的根拠はありません。たしかに、生まれたばかりで免疫力の低い赤ちゃんには、ウイルスや細菌に感染したり、屋内外の気温差で体調を崩したりするリスクがあります。

とはいえ、「ワクチンを受けていれば風邪をひかない」「外気温が◯℃以上なら安心」などと、赤ちゃんの安全を保証する医学的な基準もないのです。

1ヵ月健診の際、保護者の方に「順調ですね」とお伝えすると、「じゃあ、そろそろ外に連れていってもいいですか?」と聞かれることがよくありました。でも、外出の開始時期と赤ちゃんの成長段階は関係ないですし、医学的な基準もないのですから、医師が許可を出すのも不思議な話ですよね。

フランスやドイツなどでは、生後すぐの赤ちゃんと一緒に外出するママパパもいるようです。それに、第1子であれば生後1ヵ月を過ぎるまでずっと家にいられるかもしれませんが、第2子以降になると上の子のお世話や幼稚園・保育園の送迎などで、現実的には難しいと思います。

季節に合わせて時間帯を選び、赤ちゃんの健康状態にさえ気をつけていれば、さほど神経質にならなくてもよいでしょう。

人ごみは避けて短時間の外出から

赤ちゃんとの外出は、夏なら涼しい午前中や夕方、冬ならあたたかい昼間から始めるようにおすすめしています。言うまでもありませんが、強風でほこりっぽい日、暑さが厳しい真夏の日中、凍えるような寒さの日など、大人でも外出が億劫なときは控えましょう。

ママパパの買い物や用事に付き合うくらいのちょっとした外出から始めて、慣れてきたら少しずつ時間を長くしていきます。

出先で赤ちゃんがおなかを空かせて授乳ができない状況は避けたいので、授乳間隔が短いうちは授乳と授乳の間の2~3時間がいいですね。この程度ならたいていの場合、出先でおむつを替えなくても済むはずです。

外出時の服装は住んでいる地域によっても変わるので、季節やその日の気候に合わせて選んでほしいのですが、厚着のさせすぎには注意しましょう。赤ちゃんの体を必要以上にあたためてしまうと、乳幼児突然死症候群のリスクが高まります。

よく「大人の服装マイナス1枚」ともいわれますが、赤ちゃんはまだ体温調節機能が未熟なこともあり、薄着すぎるのも問題です。肌寒いとき、冷房のきいた屋内に入るときのために、さっと羽織れる洋服やタオルなどがあるといいですね。赤ちゃんの様子を見ながら臨機応変に対応しましょう。

もっとも気をつけたいのが、やはり感染症です。感染症は飛沫感染によるものが多いので、風邪などの感染症が流行している時期は人ごみを避けましょう。

上の子の幼稚園・保育園の送迎などで子どもが多い場所へ行くときは、風邪症状が見られる子と接触させないように注意が必要です。また、園児の中には赤ちゃんが好きで触ろうとする子がいるかもしれませんが、「もう少し大きくなってからね」などと伝え、控えてもらいましょう。

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