初潮前の「膣炎」や「膀胱炎」 親が注意したい「おりもの」の変化とは〔子どものフェムケアを産婦人科医が解説〕

産婦人科医・海老根真由美先生に聞く「子どものフェムケア」 #1 

産婦人科医:海老根 真由美

「正常なおりもの」と「異常なおりもの」の見分け方

──「正常なおりもの」と「異常なおりもの」の見分け方について教えてください。

海老根先生:一般的には、正常なおりものは次のような状態です。普段から自分や子どものおりものの状態を知っておくと、「ちょっと変だな」などと、おりものの異常に気づきやすくなりますよ。

【正常なおりもの】
色:透明、乳白色、クリーム色、下着などに付着して時間が経つと黄色に変化

匂い:ほとんどないか、少し酸っぱい臭い

性状:ややねばり気がある

──おりものが気になるときのケアについても教えてください。

海老根先生:基本は、シャワーでていねいに洗い流すことです。それによって、デリケートゾーンの表面は清潔に保つことができます。ただし、膣の中までは洗うことができないので、膣の中のトラブルはやはり婦人科を受診したほうが安心です。

また、おりものが気になっておりものシートを使いたいと思う人もいるかもしれませんが、実はおりものシートは逆効果になることがあります。

カビや雑菌が繁殖するには、一定の湿度と温度が必要です。ですが、おりものシートをつけることで、かえってショーツの中が蒸れてしまい、カビや雑菌が繁殖しやすい環境になってしまうのです。

写真:アフロ

海老根先生:また、生理用ナプキンやおりものシートの多くには、水分をしっかり吸収するために「高分子吸収ポリマー」という素材が使われています。これは石油から作られたもので、プラスチックの仲間です。

プラスチックの過剰な使用は近年、環境問題の面からも、女性の健康への面からも、好ましくないとされています。ですから、おりものシートを使いすぎるのは考えものです。

初潮前後の女の子で「いつ生理が来るかわからないから不安」といって、ずっとナプキンやおりものシートをつけているケースがあります。しかし、ナプキンなどをつけっぱなしにすることで、ショーツの中が不衛生になっているおそれも。

それよりもむしろ、ショーツ自体が水分を吸ってくれて、ナプキンやタンポンが不要になる吸水ショーツのほうがお勧めです。急な生理でもあわてなくてすみますし、ナプキンのように蒸れる心配もないため安心ですよ。

───◆───◆───

初潮前の女の子にはおりものが増える仕組み、そして、初潮前には膣炎や膀胱炎が起こりやすいことを教えていただきました。

次回2回目では、月経前の不調である月経前症候群(PMS)について、引き続き海老根先生に教えていただきます。

取材・文/横井かずえ

海老根先生の「フェムケア」は全2回。
※2回目は公開時よりリンク有効

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えびね まゆみ

海老根 真由美

Mayumi Ebine
産婦人科医

「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」院長、産婦人科医。 順天堂大学産婦人科非常勤講師、埼玉医科短期大学非常勤講師、国士館大学スポーツ学科非常勤講師。 1997年埼玉医科大学医学部卒業、2003年埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター勤務。2005年同母子医療センター母体胎児部門講師。2013年「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」開業。 白金高輪海老根ウィメンズクリニック https://ebine-womens-clinic.com/

「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」院長、産婦人科医。 順天堂大学産婦人科非常勤講師、埼玉医科短期大学非常勤講師、国士館大学スポーツ学科非常勤講師。 1997年埼玉医科大学医学部卒業、2003年埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター勤務。2005年同母子医療センター母体胎児部門講師。2013年「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」開業。 白金高輪海老根ウィメンズクリニック https://ebine-womens-clinic.com/

よこい かずえ

横井 かずえ

Kazue Yokoi
医療ライター

医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL:  https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2

医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL:  https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2