子どものおちんちんはむくべき!? 7000人の男性器を診たママ泌尿器科医が伝授
ママ泌尿器科医・岡田百合香先生「おちんちんの教科書」#1 ~むく・むかない問題~
2022.09.20
泌尿器科医:岡田 百合香
全国の男児を持つママたち、突然ですが子どもの「おちんちん」の扱い方に困っていませんか?
泌尿器科医で2児の母でもある岡田百合香先生は、約7000人もの男性器を診察したおちんちんの専門家。2022年7月、おちんちんの正しいお手入れと性の新常識を説いた著書『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)を出版しました。
おちんちんを持たないママだからこそ抱える悩みや不安、疑問に対して詳しく解説してくれます。
まずは、多くのママたちがもっとも頭を悩ませるという、おちんちんを「むく・むかない」について、何が正解なのかうかがいました。
※全4回の1回目。
PROFILE 岡田百合香(おかだ・ゆりか)
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。
泌尿器科医ママとしてできること
岡田百合香先生が泌尿器科医になる選択をしたのは「生活に密着した分野だったから」。泌尿器科医としてキャリアをスタートした後、思春期の若者向けに性感染症や避妊、恋愛や性的同意のトピックを中心とした講演活動を行っていました。
2018年に1人目の男児を出産した後は、子育て世代に向けての活動を開始します。
「男性器の専門家である泌尿器科医は男性の医師が圧倒的に多いため、主体的に子育てをした経験を持つ泌尿器科医があまりいないのです。
そうなると、実際に家庭で子どものおちんちんのケアを担うママたちの不安や悩みは、専門家のもとになかなか伝わってこないのが現状でした。
私なら、ママとしての“目線”や“経験”と、泌尿器科医としての“専門的な知識”との掛け算ができると思ったんです」(岡田先生)
参加動機No.1は むく・むかないの悩み
子育て世代向けに、助産院や子育て支援センターで「ママのためのおちんちん講座」をひらいている岡田先生。
「最初は人が集まるか半信半疑だった」と言いますが、講座はいつもキャンセル待ちが出るほど人気です。
「みなさんとっても強い熱量で講座に参加してくれます。『男の子を産んだけれど、おちんちんをどう扱ったらいいのかわからない』というママが多いんですね。
日常のケアをするにしても、基本的な構造を知らない方も多く、みなさんほぼ知識ゼロからのスタート。ですからまずは、おちんちんの構造について知ることから始めます」(岡田先生)
講座に訪れるママたちは、「おちんちん」についてのどんなことが気になって参加しているのでしょう。
「もっとも多いのが、おちんちんの包皮を『むく・むかない』について。この問題って、情報が錯綜(さくそう)していて、混乱している方が多いトピックなんです。
例えば、『乳幼児検診で、保健師さんからむいてあげてと指導されたけれどやり方は聞いてない』とか、『パパがむいているけれど、正しいことなのかわからない』など。
子どものおちんちんを『むくのか・むかないのか』を巡って正解がわからずにいる方が多くいます」(岡田先生)
そもそも「むく」とはどういうことなのでしょうか。おちんちんについてもう少し詳しくお話をうかがってみましょう。
男性器である「おちんちん」には、ふたつの役割があると、岡田先生は語ります。
「ひとつは生殖器であるということ。そしてもうひとつは尿の通り道です」(岡田先生)
むく・むかない問題で注目されるのは、亀頭部分です。
「亀頭の先には、おしっこの出口となる外尿道口(がいにょうどうこう)があります。亀頭と亀頭以外の部分の境目には、冠状溝(かんじょうこう)と呼ばれるくびれがあります。
亀頭を覆っている包皮が、この冠状溝まで下げられているかどうかが、むけているかどうかの判断基準となるのです」(岡田先生)