国家試験に合格した発達障害のシングルマザーが苦しんだ「仕事・子育て・勉強」の高すぎる壁

第2回【試験まで約60日】アラフォーADHD&シングルマザーの「リスキリング」~スケジュールの壁~

“ラスボス”は猛威を振るうインフルエンザ

そうしてバタバタ……ときにバタンと倒れているうちに、気づけば2024年11月下旬、翌年2月に行われる本番の試験までいよいよ3ヵ月を切っていた。

この時期、最強の“ラスボス”が現れた。皆さんは覚えているだろうか? 2024年11月から年明けにかけて、インフルエンザが大流行したことを。息子が通う学校でも学級閉鎖が相次いだ。オンラインでつながった数百人の勉強仲間も、本人や家族に罹患者が続出した。

試験直前の12月と翌年1月は感染対策に神経をとがらせ、戦々恐々と過ごしていた。ある日、用事があり息子の小学校に行くと、児童の9割以上がノーマスクで過ごしている光景を見て卒倒しそうになった。

なぜマスクを着けていない!? これじゃあ、マスクを着けていても息子が感染するのは時間の問題ではないか~~!!!

「インフルエンザに感染」前提でスケジューリング

2024年12月のある日、腹をくくった。

これ以上、なし崩しにしてはいけない。これから試験までの約2ヵ月間は勉強を最優先にして、その他一切の業務は試験後に回そう。「用事を入れない」作戦だ。

とはいえ、曲がりなりにも一家の大黒柱である私、仕事をゼロにするわけにはいかない。おかげさまで数本の連載仕事をいただいていたので、12月と1月は基本的に連載の仕事に絞り、その連載も前倒しで進められるよう、各所にお願いした。

同時に、体調面も先手を打った。12月から1月にかけ、普段から診てもらっている各診療科をまわり、試験日の2025年2月2日までは絶対に各症状が出ないように対策を講じてもらったのだ。

夏から続く咳喘息と、持病の片頭痛は可能な限り薬をもらい、プレ更年期で通っていた婦人科では試験前にPMSが重ならないように薬で調整することにした。

年末にもらった大量の薬の一部。薬の飲み過ぎで胃に負担がかかったのか、吐き気をもよおすこともあった。
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ADHDでかかっていた精神科医からは、「ミスを防ぎ、集中するには、とにかく用事を減らすこと。そして十分な睡眠を取ることだ」とアドバイスされた。

私の頭の中は、いつも大体とっちらかっている。そのため、いざ勉強しようと机に向かうと、ありとあらゆる雑念がわき起こってくる。特に考えてしまうのは、ポイ活のこと。

仕事と収入が減った今こそポイントを貯めて割安で買い物をすべきなのだと、常に頭の中で電卓をはじいていた。

ポイントが高還元される日に合わせて綿密な買い物スケジュールを立てる私。しかし、天候や体調不良、子どもの用事と予想外の出来事が次々発生し、その都度リスケを繰り返す。そしてますます頭がとっちらかる。

それを話すと、「今の優先順位は、節約より勉強。子どものことは仕方ないとして、節約に関しては、今は気にしなくていいのでは」と医師。この言葉で、「節約せねば」という呪縛から解放され、少しだけ気がラクになった。

最後の調整は、試験2~3日前の息子の預け先だ。この期間だけは完全集中したいため、子どもには元夫の家に3日間泊まってもらうことにした。

離婚後は支援団体を通して月1回数時間の面会交流を続けていたが、2024年夏から宿泊型の面会を取り入れていた。おかげでスムーズに調整でき、直前の追い込み3日間は自分のペースで勉強できることに。

次回(#3)は、最後まで時間との戦いだった、直前期の勉強方法をお伝えします。

取材・文/藤川ユキ

【プロフィール】
藤川ユキ
フリーライター。出版社勤務を経てフリーに。結婚・出産・離婚を経て、2025年7月現在、小5(10歳)の息子と2人暮らしをするアラフォーのシングルマザー。2023年4月に社会福祉士養成課程のある通信制養成校に入り、2024年9月に卒業。現在はライター業を続けている。

連載は全4回 (※公開時よりリンク有効)

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