産んだら終わりじゃない! 産後ママの9割が抱える「心と体」の不調 リアルな体験談

産後うつ、乳腺炎、骨盤にヒビなど深刻な悩み 海外の産後ケアサービス利用体験も

コクリコラボ

写真:アフロより
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「出産直後のママ」特集の第3回は、「出産後のママの心身の不調」をとりあげます。妊娠期間中のさまざまなマイナートラブルを乗り越え、出産してもなお付きまとう不調。育児書には載っていない産後ママのリアルが詰まっていますので、これから出産を控えるプレママにはぜひ読んでいただきたいと思います。

【出産直後のママ】
第1回第2回第4回第5回を読む(公開日までリンク無効)

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ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。

出産後、体や心に問題が起きたママは約9割

コクリコラボアンケート

「出産後に体や心に何か問題が生じた経験はありますか」と聞いたところ、なんと86.2%ものママが「はい」と回答しました。想像以上に多くのママが、産後になんらかの問題を経験しています。

プレママ必見! 産後ママの体験談をご紹介

ここからは出産後のママにどんな心身の問題が生じたのか、体験談をご紹介します。(個人の体験ですので、感じかたや診断結果などには個人差があります)

◆産後の不調「フィジカル編」

まずはママが体験した産後のフィジカル面(身体)での不調エピソードから。

・乳腺炎になり痛かった。

・乳腺症。激痛と高熱のなか、赤ちゃんを育てるのは大変でした。


第2回の記事でも、完全母乳や混合栄養などの授乳方法のデメリットとして、おっぱいトラブルに言及しているママがいました。

・貧血が酷くなりすぎて、突然気持ち悪くなったと思ったら寒気で身体がカタカタ震えるなどした。

・ふだんは低血圧寄りなのですが、産後直後に高血圧症になりました。


産後、貧血や高血圧症になったという声も。

・退院後は全身に蕁麻疹が出てつらかった。

・帝王切開で自分がケロイド体質だったので、数年間は盛り上がった皮膚が人の指のように腫れて痛痒かった。


このように皮膚トラブルに見舞われたママもいました。

・3人目は高齢出産でした(43歳)。産後、授乳期間中に歯が2本抜けました。

歯のトラブルの体験談も。妊娠中は口腔環境が悪化しやすいため、産後に備えて適切なケアが不可欠です。

・腰痛、膝や手首の痛み、手先の痺れ。

・腱鞘炎が多発したり、関節リウマチを発症したりした。


・ヘルニアになりました。

・骨盤にガタが来てしまい、仰向けに寝ているだけでも股関節が痛く、現在も接骨院に通院中。1人目の産後に骨盤矯正をしておけばよかったと後悔しています。


整形外科領域の不調を語ってくれたママが多数。なかにはこんなエピソードもありました。

・なんか骨盤が痛いな~と思っていたら、骨盤にヒビが入っていました。クリニックのスパルタ院長に「いつまでもそんなに痛いフリしない!」と言われて、みんなこんな痛さをガマンしてるのか……と思っていました。

読んでいて思わず憤りを感じたこちらの体験談。産後ママが病院に行くハードルの高さは十分わかっていますが、ママのつらさが軽減されないのであれば、迷わずセカンドオピニオンも求めてほしいと切に思いました。

◆産後の不調「メンタル編」

続いてメンタル面(心)での不調エピソードをご紹介します。

・感情の起伏が激しくなり何の意味もなく涙が出る。

・産後1ヵ月は自分が自分でないような感覚がありました。基本的に元気でしたが、突然涙が出てきて止まらない、細かいことでイライラしてしまうなど、感情がジェットコースターのようでした。


産後のママはホルモンバランスの関係で感情のコントロールが難しくなることがあります。イライラもありましたが、もっとも多かったのは、涙が出たり泣きたくなったりと悲しみの感情に襲われる体験でした。それを象徴するエピソードがこちら。

・実家のお風呂で沐浴していたところ、ほかの家族が「今沐浴してるからお風呂にはいれないんだよ~」と会話をしているのを聞いてしまい、泣くようなことじゃないのに「私が沐浴の手際悪いから……」とか「実家に迷惑をかけて……」とかネガティブに感じてしまい泣いてしまいました。

今振り返れば泣くようなことではないけれど、その当時は自分を責める方向に向かってしまったのですね。

・子どもが生まれたことで、責任感とともに命を育てて行く重圧が一気に降りかかり、とても毎日が不安で孤独だった。

ホルモンバランスだけでなく「命を育てる重圧」で不安感に襲われたという声も。フニャフニャの新生児と突然ふたりきりにされれば、そんな気持ちになるのは当然でしょう。

・産後は睡眠時間が短いからか、悪夢をたくさん見ました。

頻回授乳で睡眠の質が落ちることは、メンタル面にも大きく影響します。コクリコ内では、専門家による「産後ママの睡眠術」の記事も掲載されているのでぜひ参考にしてください。

・子どもがまったく寝ないうえに置くと泣くタイプの子で、睡眠不足になり、ご飯もろくに食べずにだっこしていました。そんな日々を過ごしていたら2ヵ月くらいで胃が痛くなり下痢も止まらず、頭痛もひどい! 湿疹も! これは感染症だったらまずい! と思いかかりつけへ。自律神経失調症でした。

体の不調かと思って医療機関にかかったところ「自律神経失調症」と診断されたという体験を話してくれたママもいました。

・第1子出産後、自分では自覚がなかったのですが、産後の訪問指導の際のアンケートで産後うつ予備軍だとわかりました。

自覚がないのが怖いところ。プロの方に気づいてもらえる機会があって本当によかったと思わされる事例です。

・1人目の産後5ヵ月で夫の転勤が決まり、頼れる人がゼロのまったく知らない土地で弧育て(※注)が始まりました。引っ越し後も夫は激務で出張も多く、ほとんど家にいませんでした。ただでさえ、1人目の育児でわからないことだらけで不安だったのにもかかわらず、「スーパーはどこ?」「小児科はどこ?」と日常生活の不安もプラスされ、誰とも喋らない日々を過ごしていました。心労が溜まったのか、引っ越し1ヵ月後に重度の乳腺炎になり、初めて行く産婦人科で処置してもらいました。その際、勝手に涙がポロポロでてきて、「産後うつ」と診断されました。

※注:弧育て(こそだて)とは、夫や親族の協力も得られず、近所との付き合いもなく孤立した中で母親が子どもを育てている状態

産後うつと診断された経験を教えてくれたこちらのママも、最初は乳腺炎の処置で産婦人科に行き、産後うつの診断がついたとのこと。前の2例もそうですが、メンタルの不調があっても「産後はこんなものなのかな」と思いこんでしまうことが多いのではないかと推察します。

国内の自殺対策の調査・研究を担う一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)」(厚生労働相指定法人)と日本産婦人科医会が、警察庁の自殺統計を基に分析したところ、妊娠中から出産後1年以内に自殺した妊産婦が、2022年と23年の2年間で少なくとも計118人にのぼったという報告があります。なにか不調や変調を感じたら、小さなことでも、周囲の誰かに話したり、相談したりしてほしいと思います。
※参考資料:※いのちを育む妊産婦の危機~新たな自殺統計項目が明かす自殺の実態~(2024年7月10日発表) より

https://jscp.or.jp/assets/img/maternalsuicide.pdf


ママによる座談会では、最近話題の産後ケアサービスの利用経験について聞くことができました。

・ハワイで出産し、コロナ禍で親にも来てもらえなかったので、産後3週間ぐらいは「ドゥーラ(doula)」という産後のいろいろなケアをしてくれる人に来てもらっていました。夫の保険で割引されて1回約100ドル。母乳マッサージをしてもらったり、沐浴の仕方を教わったりして、とても助かりました。(4歳・男の子のママ)

こちらのママは今後利用する機会があれば、家に来てもらうサービスではなく、気を遣わないで済む、外部の産後ケア施設などを利用したいとのこと。日本でも産後ケア施設は徐々に増えていて、自治体によってはドゥーラのようなサポートがあるところもあるようなので、ぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

コクリコのサイト内にも「産後ケア施設」に関する記事が掲載されています。ぜひお読みください。

国にも知って欲しい 「産後ママのリアルな状況」

2024年6月、政府が発表した「こども白書」では、「次元の異なる少子化対策について」が10ページ以上にわたって特集され、日本の出生率低下は最重要課題と位置づけられています。しかし実際に「産む」側のママが出産直後に置かれている状況については「産後ケア事業についても、2023年度から産後ケアを必要とする全ての産婦に対して利用料減免支援を導入したところであり更なる利用拡大に向けて、実施体制の強化等を進めていく」とありますが、言及はこれだけです。

参考:こども家庭庁「こども白書」第1部第2章 特集②次元の異なる少子化対策について(P.16~24)

今回の調査で約9割のママが産後に何らかの不調を経験していることがわかりました。少子化対策というのであれば、このような産後ママのリアルな状況を知り、取り組みかたについて今一度考えてほしいと思います。

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コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。 ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。 (Any MaMaについてはこちら:anymama.jp Twitter: @AnyMaMaJP )​

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