PTAを魔界から大人の原っぱへ!PTA会長1000日間で政治学者が見たもの

政治学者・岡田憲治さん「PTAの手引き」リアルエピソード編#6〜人が集う楽しいPTAとは〜

政治学者:岡田 憲治

岡田さんの著書『政治学者、PTA会長になる』は「踏み込んだ先は『魔界』だった!」の帯がインパクト大。「はじめての保護者にとっては、PTAって怖いイメージがありますよね。でも、違うんですよ」(岡田さん)

「お茶出し当番廃止」が大きな一歩に!

そうしてPTAの持つネガティブなイメージを払拭し続けながら、実際の活動へもメスを入れていきます。

「運動会で来賓にお茶を出す当番を止めました。そんなものは、箱にペットボトルを入れて『ご自由にお飲みください』で終わり! 21世紀なんだから、お茶くみなんてしませんよ」(岡田さん)

地味で小さな廃止だったけれど、意味のある大きな一歩だったと岡田さんは振り返ります。

これまでと違うことを決める、やめる、提案することに対する不安が根強くはびこるPTA組織。小さなことをひとつずつ「変えてもいいんだよ」と積み重ね、歩みを進めていったのです。

実際の現場の話をよく聞いてみると、PTA活動のはらんでいるいろいろな側面が見えてきました。スリム化のターゲットとしていたベルマークや古紙回収の活動もその例です。

「ベルマークの活動をしながら『夫の愚痴を言って、ガス抜きしているのよ』とか、古紙回収の1ポイントは『いつも協力できずに、すみませんという気持ちなんです』という話を聞いて、なるほどなぁ……と」(岡田さん)

楽しみにしている保護者がいたり、小さなポイントを心のよりどころにしているということがわかり、結果、これらの活動は残すことを選択しました。

「PTAは生活の延長にあるもの。生活目線で活動を考え、生活のなかで意味のあるPTA活動について学ぶこととなったんです」(岡田さん)

ようやく見つかった ポイント制の落としどころ

何をするにも立ちはだかる「ポイント制」も、ひとまずそのまま続行という決断に。しかし、岡田さんが退任したあとのPTAで「素晴らしい案が出たんですよ!」とのこと。

「僕が辞めた翌年度から『ポイント制は続行。でも、役員はポイント管理をしない』ことにしたんですって。これって盲点で、その手があったか、とうなりました。

それまで役員が600世帯くらいのポイント管理をしていたんですが、それは廃止。保護者の手元に『頑張った証』のポイントは残るものの、その点数を誰も把握してない=やらなくても責められない仕組みになったんです」(岡田さん)

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