PTAを魔界から大人の原っぱへ!PTA会長1000日間で政治学者が見たもの
政治学者・岡田憲治さん「PTAの手引き」リアルエピソード編#6〜人が集う楽しいPTAとは〜
2022.06.17
政治学者:岡田 憲治
「お茶出し当番廃止」が大きな一歩に!
そうしてPTAの持つネガティブなイメージを払拭し続けながら、実際の活動へもメスを入れていきます。
「運動会で来賓にお茶を出す当番を止めました。そんなものは、箱にペットボトルを入れて『ご自由にお飲みください』で終わり! 21世紀なんだから、お茶くみなんてしませんよ」(岡田さん)
地味で小さな廃止だったけれど、意味のある大きな一歩だったと岡田さんは振り返ります。
これまでと違うことを決める、やめる、提案することに対する不安が根強くはびこるPTA組織。小さなことをひとつずつ「変えてもいいんだよ」と積み重ね、歩みを進めていったのです。
実際の現場の話をよく聞いてみると、PTA活動のはらんでいるいろいろな側面が見えてきました。スリム化のターゲットとしていたベルマークや古紙回収の活動もその例です。
「ベルマークの活動をしながら『夫の愚痴を言って、ガス抜きしているのよ』とか、古紙回収の1ポイントは『いつも協力できずに、すみませんという気持ちなんです』という話を聞いて、なるほどなぁ……と」(岡田さん)
楽しみにしている保護者がいたり、小さなポイントを心のよりどころにしているということがわかり、結果、これらの活動は残すことを選択しました。
「PTAは生活の延長にあるもの。生活目線で活動を考え、生活のなかで意味のあるPTA活動について学ぶこととなったんです」(岡田さん)
ようやく見つかった ポイント制の落としどころ
何をするにも立ちはだかる「ポイント制」も、ひとまずそのまま続行という決断に。しかし、岡田さんが退任したあとのPTAで「素晴らしい案が出たんですよ!」とのこと。
「僕が辞めた翌年度から『ポイント制は続行。でも、役員はポイント管理をしない』ことにしたんですって。これって盲点で、その手があったか、とうなりました。
それまで役員が600世帯くらいのポイント管理をしていたんですが、それは廃止。保護者の手元に『頑張った証』のポイントは残るものの、その点数を誰も把握してない=やらなくても責められない仕組みになったんです」(岡田さん)