子どもの医療用ウィッグ「31cmの長さ」「30~50人分の寄付」が必要! 「脱毛症」「小児がん治療」…髪を失った子どもへの「ヘアドネーション」とは?

寄付された髪からウィッグを作る「ヘアドネーション」 ~前編~

1体分を作るのに30~50人分の寄付が必要

──まず、ヘアドネーションについて教えてください。

渡辺貴一さん(以下、渡辺さん):ヘアドネーションとは、寄付された髪の毛を使ってウィッグをつくり、それを何らかの事情で髪の毛に悩みを抱えている人たちに、無償で提供する活動のことです。私たちの団体では、頭髪に悩みを持つ18歳以下の子どもたちへ届けています。

寄付できる髪の毛の長さを「31cm以上」と規定していますが、1体分を作るのに、おおよそ30~50人分の寄付が必要になります。

(ジャーダックホームページ参照 https://www.jhdac.org/news/article.php?id=108

オンライン取材中のジャーダック代表・渡辺貴一さん。
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──どんな子どもたちがウィッグを必要としているのですか?

渡辺さん:子どもたちが髪の毛を失う理由は、本当にさまざまです。例えば、脱毛症や無毛症、抜毛症などの場合もあれば、小児がんの治療による副作用で髪の毛が抜けてしまう場合もあります。

脱毛症は、正常な毛の生え替わりよりも多くの毛が抜けることです。代表的なものが円形脱毛症で、毛髪の成長などに関わる毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられていますが、効果的な治療法はまだ確立されていません。

また、生まれつき毛髪を持たない病気のことを無毛症、生まれつき毛髪が少ない病気のことを乏毛症(ぼうもうしょう)と呼びますが、いずれも原因はわかっていません。

さらに、小児がんを治療するための抗がん剤の副作用などでも、脱毛が起こることが珍しくありません。

これまでジャーダックでウィッグを提供してきた子どもたちは、およそ7割が脱毛症、残り3割が抜毛症や乏毛症、無毛症、外傷、抗がん剤等の副作用による脱毛です。

ウィッグが子どもたちの可能性を広げるきっかけに

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