【小学校受験】「国立・私立・公立」小学校によってこんなに違う!家庭学習の関わり方

大人気民間学童の主宰者が教える「小学校」の知られざる相違点

民間学童「こどもクリエ塾」代表:遠藤 奈央子

国立小学校のお受験人気は依然高いですが、そもそも国立小学校は、国立大学の付属となる小学校で、目的は「教員養成」にあります。

ですので、基礎学習はご家庭でお願いします、というスタンスを持つ先生も多く、基本的には家庭の負担が高くなるのが特徴です。

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教育研究を目的としている学校ではありますが、研究といっても、これから社会で問題視されることを、実験的に先んじて取り組んでいる場合もあります。例えば、今から15年前に「プロジェクト型学習」(課題解決型学習とも言われ、課題解決のために取り組む学習方法)を取り入れ、時代に先駆けた先端的な学習研究をしたり、グレーゾーンの子どもたちとの学び方を考えたりしています。

また、低学年の間は課外活動などが優先されていたのに、高学年になるとテストの点数が公開されるなど、急激に進学校としての側面が強くなるのも国立小学校の特徴です。

基礎学習能力の習得については、国立小学校の場合はあまり学校に期待してはいけないかもしれません。読み書きそろばんのような基本的学習は、家庭学習や自主学習でしっかり身につけるつもりで計画してください。

内部中学校進学の足切りも視野に入れると、全てを家庭で学ばせようとせず、学習塾などの利用も早いタイミングで計画に入れるといいでしょう。

私立小学校の場合──学校の宿題最優先でOK

国立小学校とは対極にあるのが、私立小学校です。学校によっては、例えば慶應義塾幼稚舎などはあまり宿題もなく緩やかな指導方針の先生も多いですが、一般的には学校独自の方針で宿題などの家庭学習も重視されています。

特に女子校は、かなりの分量を丁寧に家庭で取り組むことを求められます。小学校1年生の間は、学校の宿題をしっかりとやる(学校の宿題だけでもいいかもしれません)ことを最優先で計画を立てます。

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・字の書き取り

学校が求める文字の綺麗さの基準はかなり高いです。見本と同じレベルを求められます。この水準以下のものは、翌日の宿題として積み残しがあるので、毎日心を鬼にして、本当に綺麗に書けるまで何度でもやり直しをさせてください。

・塗り絵

私立小学校共通の字の書き取りプリントに、塗り絵が印刷されています。ここ最近は文字の書き取り優先で、塗り絵まで宿題になる学校は少なくなってきました。もし塗り絵の宿題が出たら、「塗り絵とは、丁寧に根気強く最後まで取り組む姿勢」を家庭に求められている、と思って取り組ませてください。

・絵日記

私立小学校は絵日記の宿題が多いのも特徴です。ひらがなを学び終えた時期から、毎日、もしくは週1~2日分の提出があります。

宿題のネタに困っている子が多いですが、学校が求めているのは特別な経験ではありません。普段の日常生活を日記として描写することです。特に、作文への取り組みを強化している私立小学校も多いです。読み書きの豊かな力を育む機会として、前向きに取り組ませてください。

・本の読み聞かせ

毎日家庭で本の読み聞かせをすることがほぼ必須で、本の読み聞かせシートに親が毎日読んだ本のタイトルを書いて学校へ提出するところもあります。学童を利用されている方は、学童と連携して、何を読んだのか記録をもらうようにするといいでしょう。

公立小学校──担任次第で千差万別

同じ小学校でも、担任の先生によってまったく違うのが公立小学校です。

宿題を出していても先生が確認しないこともあり、子どもたちの間では宿題はやらなくてもいいことになっている、というクラスもあります。一方で、毎日集中して1時間半くらいやらないと終わらないような分量を出す先生もいます。

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いずれにしても、最初の1ヵ月くらいはほとんど宿題が出ません。出ても「今日、学校で学んだことをおうちの人にお話ししましょう」という程度です。公立小学校の場合は、まずは学校の方針を待たずに、家庭の方針を優先させて自主学習計画を立て、学校の宿題がしっかり出るようになったら、計画修正をするようにしましょう。

子どもがネガティブな言動をする理由 家庭学習「やる気ボタン」を見つけるには

公立・私立・国立に関わらず、家庭学習でのよくある悩みとして「子どもがやる気をださない」ということがあります。
なんでもやる前から、
「無理!」
「絶対にできない!」
「どうせ終わらないもん」
など、ネガティブな発言を口ぐせとしてくり返してしまうのです。

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親としては、「どうして、こんな口癖が身についてしまったの? 子育てのどこが問題だったのだろうか?」と原因を探りたくなる気持ちになりがちです。

ですが、子どもがネガティブな言動を突然する理由はさまざまです。家庭や学校環境が子どもをネガティブ思考にしていることもありますし、何かのきっかけでネガティブな言動をしているお兄さん・お姉さん、アニメの主人公などがかっこよく見えてしまって、まねをしているだけなのかもしれません。

親の想像が及ばないところに原因があったりしますので、まずは深刻にとらえずに、子どものさまざまな「やる気ボタン」を見つけることに集中していきましょう。

「やる気ボタン」と「やる気ダウンボタン」

ネガティブな発言をしているときは、子どもの気持ちも前向きではありません。言葉の力で強制させたところでまったく取り組みは進まない、もしくは取り組みが進んだとしても集中できていないので、成果があがりません。

まずは、子どもの気持ちを前向きにさせること、やる気にさせるような声かけをしてください。

×「無理じゃないでしょ。まずはやりなさい!」
×「そんなこと言ってると、できることもできなくなるよ!」


などは逆効果です。むしろやる気をダウンさせることになるので注意しましょう。

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やる気ボタン① お母さんお父さん注目してます型

家庭で子どもがやる前から「どうせ無理!」と言う場合は、親に心配をしてもらいたい、親に甘えたい場合が多いです。まずは、いつも頑張っているのを見ていることをしっかりと伝えて、励ましてみましょう。

○「○○くん、いつも勉強頑張ってるね。お母さんも嬉しいよ!」
○「○○ちゃん、昨日の夜も勉強集中してたね。実は、お父さん見てたんだよ!」

やる気ボタン② 成果振り返り型

自己肯定感が低い子どもには、これまでの取り組みの成果を一緒に振り返り、子どもに自分の成長を感じさせてください。

○「○○ちゃん、頑張っているからこんな難しい問題も解けるようになったね!」
○「○○くん、あと少しでこのドリル終わるね。こんなに勉強したんだね」

やる気ボタン③ 一緒に頑張ろう型

子どもの成長にあわせて、取り組ませ勉強の量を増やしたタイミングなどは、本当に取り組む前から「無理だろう」と思い込んでいる場合です(本当に無理な場合は、取り組ませる量を少し減らしてあげてください。子どものやる気を下げないほうが大切です)。

○「○○ちゃん、今日からお勉強難しくなるけど頑張ってね。お母さんも、○○ちゃんのそばで一緒にお仕事頑張るよ!」
○「○○くん、分からない問題は、お父さんと一緒に考えようね。まずは安心して自分でやってみてごらん」


一緒に頑張ろう型のポイントは、子どもが一番難しいときや苦しいときはそばにいるよ、一緒にやろうねと伝えることです。「お母さんお父さんがそばでいつも見ているよ」ではありません。

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小学校1年生の1学期は大半が13時半過ぎには帰宅してきます。子どもが寝るまでの間、親がそばで見ていないといけないようでは家事も仕事もはかどりません。

幼児期のように初めて鉛筆を持たせ、初めてドリルをやる時などは、終始見守ってあげる必要がありますが、小学生はそこまでべったりとする必要はありません。むしろ、自分一人で自主学習に取り組ませる必要があるので、終始そばで見ていることはせず、難しい時は助けてあげるようにしましょう。

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えんどう なおこ

遠藤 奈央子

「こどもクリエ塾」代表

民間学童「こどもクリエ塾」代表。(株)ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。 一般社団法人民間学童保育協会設立代表理事。社会福祉士。 リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。 現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。 主な著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・𠮟る・見守る 親も育つ』(講談社)がある。 Twitter @endonaoko1

民間学童「こどもクリエ塾」代表。(株)ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。 一般社団法人民間学童保育協会設立代表理事。社会福祉士。 リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。 現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。 主な著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・𠮟る・見守る 親も育つ』(講談社)がある。 Twitter @endonaoko1