子どもと読みたい「お仕事漫画」5選 ゴミ清掃員・産科医・ケースワーカー…「お仕事」を学べるエンタメ漫画!〔マンガミュージアム学芸員が厳選〕

京都国際マンガミュージアム学芸員・倉持佳代子さんに聞く「お仕事漫画」 #3 人とかかわる仕事が学べる漫画5選「ハコヅメ」「健康で文化的な最低限度の生活」「ゴミ清掃員の日常」「コウノドリ」「ナースのチカラ」

京都国際マンガミュージアム学芸員:倉持 佳代子

5.ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~

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『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』©広田奈都美(秋田書店)

あらすじ
義母の介護をきっかけに、50歳にして新人訪問看護師になった幸代。訪問看護ステーションの同僚たち、利用者やその家族を描いた、命と看取りの物語。世代や立場の違うさまざまな人間のドラマが描かれている。

倉持さん:『ナースのチカラ』は、現役看護師でもある作者らしい、リアルなストーリー構成が見事な作品です。

訪問看護というのは、いろいろな事情があって病院ではなく自宅で療養したい患者さんをケアする仕事です。この作品がすごいのは、訪問看護という仕事に限らず、「人を助ける仕事」とは何かをズバリと表現しているところ。

患者と家族の意向・価値観の違いの板挟みになったり、理不尽な思いや割り切れなさを味わったりとジレンマを抱えながらも働く姿に、尊さを感じずにはいられない訪問看護という仕事。繊細さと温かなまなざしにあふれた作品になっています。

『ナースのチカラ』3巻118ページ。
『ナースのチカラ』3巻119ページ。「人を助ける仕事の核心をつくこのセリフは、心に深く響きます」(倉持さん)。

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今回、倉持さんが紹介してくれた漫画の多くは、奇しくも女性が主人公、もしくは女性目線の作品です。さまざまな分野で女性が活躍するようになった現代社会。職業に関する知識が深まるだけでなく、これから大人になるすべての子どもたちにはもちろんのこと、大人にも学びが多い内容でした。

次回4回目は、「ものをつくる仕事」をテーマにした漫画を、引き続き倉持さんに教えていただきます。お楽しみに!

取材・文/鈴木美和

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くらもち かよこ

倉持 佳代子

Kayoko Kuramochi
京都国際マンガミュージアム学芸員

1983年、埼玉県生まれ。2008年度より京都国際マンガミュージアムの研究員として入職。現在は学芸員として同館に在職。 主に少女マンガやエッセイマンガに関心を寄せ、研究を続ける。同館で展示イベントを企画する傍ら、新聞・雑誌にコラムやエッセイなどの執筆業も。 書籍『マンガって何?マンガでわかる マンガの疑問』(青幻舎)では、マンガ原作・執筆・編集を担当。

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1983年、埼玉県生まれ。2008年度より京都国際マンガミュージアムの研究員として入職。現在は学芸員として同館に在職。 主に少女マンガやエッセイマンガに関心を寄せ、研究を続ける。同館で展示イベントを企画する傍ら、新聞・雑誌にコラムやエッセイなどの執筆業も。 書籍『マンガって何?マンガでわかる マンガの疑問』(青幻舎)では、マンガ原作・執筆・編集を担当。

すずき みわ

鈴木 美和

Suzuki Miwa
ライター

フリーライター。千葉県出身。『dancyu』、『読売新聞』、『UOMO』などの雑誌や新聞、オンラインを中心に食の記事を寄稿。 出産を機に千葉県・房総に移住。2人の男児の子育てに奮闘する中で、育児の悩みや教育の大切さを実感したことから、現在は教育業界を中心に、取材や執筆活動を行っている。 地元の新鮮な食材を使って料理をするのが日々の楽しみ。

フリーライター。千葉県出身。『dancyu』、『読売新聞』、『UOMO』などの雑誌や新聞、オンラインを中心に食の記事を寄稿。 出産を機に千葉県・房総に移住。2人の男児の子育てに奮闘する中で、育児の悩みや教育の大切さを実感したことから、現在は教育業界を中心に、取材や執筆活動を行っている。 地元の新鮮な食材を使って料理をするのが日々の楽しみ。