広島発・子どもが主体的に学ぶ! 異学年探究学習×自由進度学習の想像以上の効果

【小学校教育2.0】 江田島市立三高小学校の挑戦#3 「授業外にも広がる効果」

子どもたち主導で演劇を上演しました(社会の授業)。  写真提供:三高小学校

総合的な学習の時間を活用した異学年探究学習(#1)と、一部教科での自由進度学習(#2)の実践によって、学ぶ意欲が高まり、主体的に学習に取り組むようになった三高小学校の子どもたち。

イエナプランを参考にした学校づくりが2年目を迎えた2021年度後半になると、その範囲は先生方も予想しなかった部分にまで展開していきます。

子どもたちは、探究学習や自由進度学習以外の授業でも自主性を大いに発揮し、自ら授業の内容や方法を提案したり、主導したり。さらには、授業以外の場でも積極的に振る舞う子、それを応援する子が増え、学校全体の雰囲気が変わりました。

第3回は、こうした学校内で展開されたさまざまなチャレンジの様子をうかがいます。

予想以上の力を発揮! 子どもだけで授業を展開

異学年探究学習と自由進度学習の取組により、子どもたちの学習への姿勢は大きく変化し、着実に成果をあげました。

そして、先生方も「想定以上の効果」を実感する出来事が起こります。その一つが、2021年度の3・4年生、里岡靖彦先生が担任したクラスでの、道徳の時間のことでした。

その日、先生の体調が優れず、少しつらそうにしていたことに気づいた子どもたちは、「私たちが自分で授業するから、先生は見ていて」と提案したそうです。

「びっくりしましたが、子どもたちは、道徳の進め方を理解していると思ったので、今回は任せてもいいかな、と思ったんです」(里岡先生)

子どもたちは教師用の教科書で進め方を確認した後、授業を開始。まずは教科書の内容を一人が音読し、他の子が全体に質問を投げかけます。

「○○さん、答えてください」と司会の子が指名すると、該当する子が自分の意見を発表。質問、回答内容は子どもたちが黒板に板書していきます。

こうしたやり取りをくり返しながら話し合いを続け、担任が途中で一度も口をはさむことなく、子どもたちだけでスムーズに道徳の授業を続けました。

「道徳の授業の最後では、その時間に学習した道徳的価値について、今の自分たちの生活等を振り返る場面を持つことがありますが、その場面でも進行役の子が発問を投げかけ、考えを深めていたので、大変驚きました。

担任が進める授業以上の成果があったと思いました」(里岡先生)

子どもたちだけで授業を作り上げたその様子から、主体性はもちろん、内容を理解する力や授業を進める実行力などが、着実に子どもたちに身に付いていることを、改めて確認する機会になりました。

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