
「国際バカロレア」認定校が127校に 幼稚園〜高校で「知識」だけでなく「概念」も学ぶ理由〔専門家が解説
「国際バカロレア」 #1 玉川大学大学院教授・星野あゆみ先生インタビュー
2025.04.28
「知識」だけでなく「概念」も学ぶ理由
星野先生:つまり、国際バカロレアでは知識の獲得だけを目的にはしていません。
そこをゴールにしてしまうと、特定の分野や課題でしか活かすことができないからです。そうではなくて、一つのテーマについて学ぶ中で得られた知識を、抽象的・普遍的な観点で捉え直すことで、一見全く関係ない分野や課題でも生かすことができるようになります。
国際バカロレアでは、そのような「概念学習」を重要視しているのです。

星野先生:たとえば、恐竜について学ぶとして、恐竜の名前をたくさん覚えただけでは応用が利きません。
しかし恐竜絶滅の「原因」や、恐竜絶滅によって起きた「変化」など、絶滅について概念的に深く理解することができれば、現在生きている動植物の絶滅や、生物に限らず言語や文化の絶滅などを考える際にも、その知識を生かすことができるのです。
認定校は幼稚園から高校まで
──国際バカロレアというと、留学に有利というイメージから、高校や中高一貫校を思い浮かべる人も多いと思うのですが、幼稚園や小学校でも認定校(園)があることを知りました。

星野先生:国際バカロレアは、より平和な世界を築くことに貢献する国際的な視野をもった人材の育成を目指しているのですが、その具体的なイメージとして、
①探究する人、②知識のある人、③考える人、④コミュニケーションができる人、⑤信念をもつ人、⑥心を開く人、⑦思いやりのある人、⑧挑戦する人、⑨バランスのとれた人、⑩振り返りができる人
という10の学習者像を掲げています。
こういった人間性は一朝一夕に育つものではありません。そこで、幼児期から年齢に応じた教育プログラムを実践しているのです。
3~12歳向けがPYP(Primary Years Programme)、11~16歳向けがMYP(Middle Years Programme)。
16~19歳対象で、最終試験に合格すると大学進学に活用できる国際バカロレアの資格を得ることができるのが主にDP(Diploma Programme)とCP(Career-related Programme)です。
CPは、大学進学のみを目的とせずキャリア教育や職業訓練に特化していて、最近、日本初となる認定校がでたばかりです。