不登校の子どもを追い詰める「親の不安」 2000人の子どもを見た識者に聞く「親の理解の仕方」とは

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#7‐2 認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長・西野博之さん~不登校の子どもの世界と理解の仕方~

認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長:西野 博之

運営する「フリースペースえん」にて、子どもの自由な発想に自然と寄り添い、「おもしろいねえ」と目を輝かせていた西野さん。  写真:浜田奈美
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不登校の子どもが増加すると同時に、我が子の「学校に行けない」に悩む親たちの数も増え続けています。

認定NPO法人「フリースペースたまりば」理事長の西野博之さんは、学校に居場所を見いだせない子どもたちに40年近く伴走するとともに、親たちの不安にも寄り添ってきました。

経験上、学校に行かない子どもを追いつめてしまうものの一つに、親たちの不安があると感じてきました。実際、親たちは「この子は将来どうなるのか」「昼夜が逆転していて心配」など、さまざまな不安を抱えています。

西野さんはそんな不安に対する答えを、近著『マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界』(KADOKAWA)にまとめました。学校に行けなくなった子どもの親たちに「大丈夫のタネ」を届けたい。そんな一心で手掛けたと言います。

学校に行けない子どもはどんな世界を見ているのか、親の理解の仕方を西野さんに教わります。

※2回目/全4回(#1#3#4を読む)公開日までリンク無効

西野博之(にしの・ひろゆき)PROFILE
認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク、フリースペースえんなど、各事業の総合アドバイザー。1986年より学校に行かない子どもや若者の居場所づくりを行う。文部科学省「フリースクール等に関する検討会議」委員などの公職も歴任。

「そう考えればよかったのか」が大事

不登校の問題が深刻化してしまうケースの多くは、学校に行った人生を送ってきた親たちが、学校に行かなくなった生き方がわからなくて、その不安から子どもを追いつめてしまうことから引き起こされます。

中学も高校にも行かずに、どうやって社会に出て稼いで生きていくのかと、「この子の人生、もうおしまい」などと不安になってしまう親は、少なくありません。その先の選択肢が見えないことへの不安から、親が子どもを追いつめてしまうわけです。

でも僕は40年ほどの間に、2000人近い不登校の子どもたちに寄り添ってきて、学校で義務教育を受けなくても、自分が思い描いた生き方をする子どもたちを、たくさん見てきました。

小学校や中学校に行かなくても高校に行った子もたくさんいたし、就職した子も、、高卒認定を受けて大学に行った子もいました。また、進学や就職をしなくても自分のペースで自分らしく生きている人も、たくさんいます。

それでもやはり、子ども自身を支えることと同じぐらい、不安でいっぱいの親たちを支える取り組みはますます大事になっています。親が不安なままでは、学校に行かず自宅にいる子どもに「大丈夫」とは言えませんよね。

だから親たちが抱える不安や疑問をひもとき、「なんだ、そう考えればよかったのか」と気持ちをラクにしてもらいたいと思い、この本を書きました。

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