本の1%が印象に残れば大成功 「悪口ゲーム」で子どもの読書コンプレックスをなくす
作家・書評家 印南敦史さん「読書ゲームメソッド」#2 ~読書の悪口ゲーム~
お気に入りの本を飾るのに対し、逆のアクションも提案します。
「読んではみたものの、結局は挫折(ざせつ)してしまった本は誰にでもあるものです。しかし、それは人に言いにくいことでもあります。
だからこそ、そんな現実を逆手にとって、挫折した本を置いておく《挫折本の墓場》をつくるんです」(印南さん)
置き場を決めて、そこに置いておけば、また気が向いたら手に取れるかもしれません。
「置いた人にとってそれは《墓場行きの本》でしかありませんが、でも、家族の誰かはそれを『おもしろそう』と感じるかもしれません。そうなったとしたら、その本は墓場から抜け出すことができます」(印南さん)
家族のなかで本が循環するきっかけになるのです。
「我が家の長男は28歳。ゲームのデザイナーで、都内で一人暮らしをしています。たまに自宅に帰ってきたときに、僕の不要本のなかから、気になったものを持って帰って読んでいますよ」(印南さん)
いずれのゲームでも、手作りのポイントカードを作ったりして、読書に「やりがい」を添えましょう。
「ポイントをためると、ジュースが飲めるとか、家族内で権限が増える(お手伝いが1回休める)とかの特典をつくりましょう。
大切なのは《きっかけ》です。物が目的だったとしても、読んだ本の記憶は必ず残ります。
そして、その記憶が役に立つタイミングが、将来的に間違いなく訪れます。たとえばなにかの選択を迫られたとき、かつて読んだ本の主人公の判断を思い出すとか」(印南さん)
読書をすることが「楽しい」「心地よい」、そして「やりがいがある」ようになると、読書は習慣化してきます。印南さんの提案するゲームメソッドは、本とともに生活するカラクリをつくりあげていく、とっておきの方法なのです。
次回は、ライター家族が印南さんの「読書ゲームメソッド」に挑戦! 小2・小4男子と一緒に取り組んだ約1ヵ月をレポートします!
印南敦史(いんなみ・あつし)
作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年、東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。さまざまなメディアで書評欄を担当し、読書量は年間700冊以上。2020年には、“日本で一番”を認定するサイト「日本一ネット」において「書評執筆本数日本一」に認定された。読書や文章技術、音楽に関する著書多数。
取材・文/遠藤るりこ
※印南敦史さん「読書ゲームメソッド」インタビューは全4回。第4回は2022年8月7日公開です(公開日時までリンク無効)。
#4 読書感想文を最後に残さない! 本好きになる「読書ゲーム」を家族でやってみたら…
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#3 朝読書から本の墓場?まで 夏休みに子どもを読者好きにするスゴいテクニック
ライター/編集者。ママとベビーのためのライフスタイルメディア「代官山スタイル by blossom39」編集長。東京都世田谷区で三兄弟...
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