2022.07.30

ブックマーク

男の子はなぜ電車が好きなの? 学びに生かす方法は? 専門家に聞いてみた

永遠の最強コンテンツ "電車" を子育てに役立てるコツ

鉄道フォトライター:栗原 景

電車好きを生かして駅名や地名を覚えていった生方惟月くん(写真提供:生方英了さん)

男の子ってどうしてこんなに電車が好きなの? と思う親御さんは多いはず。
車や飛行機など乗り物は他にもあるのに、なぜ電車にひかれるの?
電車のことは何でもすぐ覚えるけど、電車にばっかり夢中で大丈夫!? 
そんな疑問に、子ども向けの鉄道の本を多く手がけている鉄道フォトライター、栗原景(かげり)さんがお答えします。

「強くて」「すごくて」「大きいもの」への憧れ

赤ちゃんは、生後半年〜1歳で徐々に自我が芽生えてくると、ものの大きさや空間を認識するようになり、社会に関わりをもちはじめます。

このとき、特に男の子には、「強いもの」「すごいもの」「大きいもの」に惹かれる子が多く見られます。
そこへ現れるのが、「電車」です。

パパやママと電車に乗ったり、見たりしたときに、ガタンゴトンと大きな音をたて、プワーンと警笛を鳴らして猛スピードで走る、なんだかすごいメカ。これが、「強いもの」「すごいもの」への憧れを満たしてくれるのです。

では、なぜ電車なのでしょう? 

それはズバリ、電車は「おうちにない存在」だから。
家庭では決して所有できないもの。パパやママも車は運転できるけど、電車は運転できない。だから“すごい”。

でも近くまで見に行ったり、パパやママと一緒に乗ったりすることはできます。
そこにほどよい特別感があり、子どもたちを惹きつけるのです。

これが飛行機になってしまうと、ちょっと遠い存在になってしまうかもしれません。
「特別だけど遠すぎない」、この距離感がポイントなのです。

もちろん、​車や飛行機が好きな男の子もいますし、電車が好きな女の子もいます。そんな中で、こと電車好きな男の子については、このような理由が大きいのだろうと感じています。

人とのコミュニケーションで育まれる

もう一つ大きな理由は、周囲の人と一緒に楽しめる点です。

電車は都心でも「数分に1度しか見られない」もの。

線路のそばに電車を見に行けば、
「電車、もうすぐ来るよ」「電車来たよ!」「わあ、特急だ!」
と、大人と一緒にワクワクできます。

こうしたコミュニケーションが、子どもの心に「電車は特別なもの」「すごいもの」という気持ちを芽生えさせるのです。

せっかくここまでのめり込むのだから、この好奇心を子どもの成長に役立てたい思う親御さんも多いのではないでしょうか。

好きなものにのめり込むお子さんのサポートのコツを、いくつかご紹介したいと思います。

「もっと知りたい」ときがチャンス

子どもは3〜4歳ぐらいになると、電車について「もっと知りたい」という知識欲が生まれます。
このときがチャンスです。

ママ鉄タレントとして鉄道イベントなどで活躍している豊岡真澄さんの長男、ゆうくんの場合、
「息子が家にある鉄道の絵本や図鑑を見たいというときは、いくらでも気の済むまで読ませてあげました。すると、電車の種類や仕組みをどんどん覚えていきました。今思うと、ただ電車を見るんじゃなくて“知識を得る楽しさ“をあのとき覚えていったのではと思います」(豊岡さん)

一方、都内在住の保倉(ほくら)圭一郎さんの長男りょうくん(小4)の場合は、
「息子と貨物駅に貨車を見に行ったりするうちに、いつのまにか貨物列車が大好きになりました。長い編成でたくさんの荷物を運ぶ、力持ちで働き者って姿がかっこいいそうで、今はコンテナにも詳しくなりました」(保倉さん)

絵本や図鑑を見せたり、実際に一緒に見にいったり。こうして子どもたちは、小学校に上がる頃には大人顔負けの鉄道博士になることも珍しくありません。

このとき「学校の勉強と関係ないのにな」と思わずに、「すごいね!」「かっこいい!」と、どんどん褒めてあげてください。

「パパママよりも僕の方が知っている!」と子どもは自信を持ち、知識を増やす楽しみを覚えていきます。それがゆくゆくは幅広い学びに役立つのです。

地理や漢字、働く大人たちについて学ぶきっかけにも

例えば地理や漢字。
電車に興味をもった子どもは、電車がどこを走っているのかを知りたくなります。駅名や路線名を覚えるうちに、地理や漢字も自然と学びます。
「姨捨駅」は「おばすてえき」と読める、なんて鉄道好きの小学生は大勢いるんですよ。

埼玉県の生方英了(えりお)さんの長男、惟月(いつき)くん(7)の場合、
「保育園時代は、お風呂ポスターの日本地図を使って、息子と都道府県や駅名を当てていました。とにかく鉄道に関係のあることは、大人が知らないようなことでもちゃんとチェックしていましたね」(生方さん)

もう一つ、鉄道は色々な人が働いている点も、子どもの世界を広げるきっかけになります。

「電車は、運転士さん、車掌さん、駅員さん、保線の人など大勢の人たちが、命を注いで努力して、一つの電車を安全・正確に動かしています。そういうお仕事をしている人たちが、息子にはとてもかっこよく見えたようです」(豊岡さん)

車両基地の公開イベントなどに行けば、普段は見られない車両整備士さんなど、多くの「働くプロフェッショナルな大人たち」に会えます。「かっこいい電車やメカ」だけでなく、「かっこいい大人たち」にも憧れて、子どもは自分が大人になった姿を思い描くのかもしれません。

いつか電車好きを卒業しても……

あんなに電車が好きだったのに、小学生になってしばらく経つと電車への興味を失ってしまう子、他に興味が移る子も増えます。

保倉さんちのりょうくんは、最近は貨物列車だけでなく戦争の歴史にはまっています。戦艦や戦闘機だけでなく、三国同盟など戦争に至る歴史にまで興味をもっているそうです。貨物列車とコンテナの研究を通じて、興味をもったことを深掘りする楽しさを覚えたのかもしれません。

生方さんちの惟月くんは、最近はサッカーとポケモンにもはまっています。電車は今も好きですが、保育園と違って小学校に電車好きな仲間が少なく、学校で流行っているものに興味が向いているようです。それでも漢字や地名、駅名の知識は友だちの間でも群を抜いていて、電車への興味が役に立っています。

逆に、豊岡さんちのゆうくんは、中学校に進学したところ電車好きの同級生が多く、ますます鉄道への情熱が深まったとか。今は鉄道研究部に所属して、充実した中学生活を送っています。

もしお子さんが電車に興味をもったら、事情の許す限り、サポートしてあげてください。
たとえ、いつか他のものに興味が移ったとしても、好きなものをとことん追いかけた経験は、きっとお子さんの成長に役立つことでしょう。

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くりはら かげり

栗原 景

鉄道フォトライター

1971年東京生まれ。鉄道と旅、韓国を主なテーマとするフォトライター、ジャーナリスト。3歳で鉄道ファンになり、小学3年生の頃から各地の...

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