2021.05.26

先輩ママ堀井美香(TBSアナ)の「親子で盛り上がる読み聞かせアイデア」とは

TBSアナウンサー・堀井美香さんインタビュー第3回

著者:堀井美香

絵本に興味も持たない子どもや、読み聞かせが苦手なパパママも、堀井さんのアイデアを参考にしたい。
写真:アフロ

TBS系の番組で多くのナレーションを担当してきた堀井美香さん。アナウンサーとして第一線で活躍する一方で、私生活では一男一女の母であり、子どもたちが幼い頃には、忙しいながらも読み聞かせの時間を持ち、親子で楽しんできたといいます。そんな堀井さんに、親も子も楽しめて盛り上がる読み聞かせの秘訣をうかがってみましょう。

保育士だったお母さんから受け継いだ濃密な時間

社会人になった長女と大学生の長男が幼い頃、堀井さんは、読み聞かせで、ふたりの子どもたちと濃密な時間を過ごしていましたが、実は、それは、自身がお母さんから受け継いできたもの。

「うちの母親は保育士で保育園の園長をしていました。園では居残りの子どもも預かっていましたから、毎日、母の帰宅は夜の9時頃。それから食事をつくって後片付けをして……と、とても忙しい人でしたが、寝る前には必ず本を読んでくれたんですね。

ただ、何事にも全力投球で本当に時間がない人でしたから、読み聞かせは、1日1冊(or1回)だけと決まっていました。私の本心は〝もっと読んでほしい〟でしたが、幼心にも、母が忙しいという空気を感じ取っていたので、それ以上はせがまず、その分、すっごく集中して聞いていたことを覚えています。

時間にするとわずか5分くらいでしたが、寝る前に母と過ごす時間はとても濃密。あの時間は、親子の絆を深めてくれる貴重なものだったと思います」

そんな経験から、「時間の長短にかかわらず、親子で濃密な時間を共有できることが読み聞かせの最大のメリットなのでは」と、堀井さんは実感しています。

「母は絵本を読んでくれることもありましたが、民話を語ってくれることもありました。民話のときは秋田弁だったこともあって、ものすごく母の温もりが感じられて、幼いながら、母と密着できているという安心感がありました」

アナウンサーとして働きながら子育てをしていた堀井さんも、お母さんに負けず劣らず忙しい日々を送っていました。それでも、自分の子どもたちに本を読み聞かせる時間をちゃんとつくっていたのは、自身の幼い頃の経験が大きいのは間違いなさそうです。

「私もけっこう忙しくしていましたが、私は母と違って〝何冊でも読みますよ〟のスタンス。
でもね、読みながら寝落ちして、本が顔にかぶさったことも数え切れないほど(笑)。私は寝てしまっているのに、子どもは起きていて、夜中の1時頃まで本を見ているようなことも度々で……。

私も決して完璧ではなかったということです(笑)。ただ、私が、読み聞かせによって子どもたちと過ごす密な時間を大事にしていたことは確かです」

堀井さんは、自身の子育て時の読み聞かせでは、子どもたちを楽しませるために、さまざまな工夫をした。ちょっとしたアイデアで子どもは絵本の世界に引き寄せられるという。
ZOOM取材にて

「照明」「人形」「遊び」…読み聞かせに引きつける環境づくり 

読み聞かせによって子どもたちと濃密な時間を過ごすために、ちょっとしたアイデアで〝子どもたちが楽しめる環境〟を整えたという堀井さん。

「例えば照明。知り合いから〝キャンドルの灯りで読むといいらしい〟と聞いたことがあるんです。でも、さすがに、キャンドルは危険かなと思って、懐中電灯を灯したりとか。お布団にもぐって、小さく丸まって、懐中電灯の灯りで絵本を読むんですね。子どもはそういうのが大好きですから、すっごく喜んで聞いてくれましたよ」

別のキャラクターに物語を読ませるという演出も、子どもたちが読み聞かせを楽しむための、堀井さんの工夫。

「我が家には三国志の置物がたくさんありますが、例えば、劉備(りゅうび)の置物を持ってきて、劉備が物語を語っているような演出をするんですね。バービー人形が女子高生風の口調で読んでいるという演出も大ウケしました。
こんなふうに、ちょっとしたアイデアで、子どもは、絵本の世界にグッと引き寄せられるんです」

また、「読み聞かせ」を「遊び」にかえていくという工夫も、堀井さんならではのアイデア。

「その日に読み聞かせた絵本にあったことを、実際に子どもにやらせるんです。
例えば、『はなさかじいさん』を読んだあとは、〝花を咲かせましょう!〟と言いながら、花びらに見立てた、新聞紙を細かく切ったものを家中に撒き散らす。
ふたりの子どもと一緒に、まいては集め、まいては集めを繰り返すんですけど、一時期、我が家では、それがブームになっていました(笑)」

絵本に集中できない子どもには「オプション」をつけて

堀井さんの子どもたちは読み聞かせの時間を楽しんでいたと言いますが、もちろん、中には、読み聞かせに集中できない、楽しめないという子どもたちもいるはずです。
また、そんな我が子に手を焼いているお母さんも少なからず存在するのではないでしょうか。

「読み聞かせに興味を持ってくれないのは、たぶん、絵本におもしろさを感じていないからではないでしょうか。絵本自体に興味がないというか……。
そういう場合は、何かのオプションをつけてあげるといいのでは。

私はお布団にもぐって読み聞かせをしていましたが、それもアリですし、例えば、テントを張って、その中で読むとか、ベランダで読むとか。場所の工夫をするでもいいし、私がバービー人形や劉備に物語を読ませていたように、別のキャラクターに読ませてみるとか。

もちろん、『はなさかじいさん』を読んだあとに新聞をまくといった遊びでもいいんです。何でもいいから、絵本以外のところでプラスαのおもしろさを足してあげてみてはどうでしょう。
その結果、絵本に興味がなかった子どもも、〝あれ、絵本もおもしろいじゃん〟と感じるようになるのではないでしょうか。そうなればしめたもの(笑)」

「読むのがしんどいと感じる日は、うまいことズルして、はぐらかしながらも、ひとまず、子どもと共有する時間を持ってみては」と、先輩ママとして、堀井さんはアドバイスしてくれる。
ZOOM取材にて

親が読み聞かせに負担 気負わず、力まず、ゆるゆるで

子どもは聞きたがっているのに、親のほうが読み聞かせをすることに負担を覚えている、というのも、よくあるケース。
その場合はどうしたらいいのでしょうか。

「イヤイヤ読んでも仕方がないですからねぇ……。今は、インターネットの動画配信などでも読み聞かせがありますから、そうしたものをタイミングよく使ってみてもいいのでは。

ただ、やっぱり、必ずしもお母さんやお父さんじゃなくても、おじいちゃんでもおばあちゃんでも、お兄ちゃんでも、お姉ちゃんでも、近所の人でも先生でも……読み聞かせる人は誰でもいいんですけど、子どもにとっては、〝誰かと一緒にページをめくる〟ということが大事じゃないかと思うんですよねぇ……」

というわけで、「読み聞かせが負担」と感じる日は、「うまいことズルして、はぐらかしながらも、ひとまず、子どもと共有する時間を持ってみては」と、堀井さんはアドバイスしてくれます。

「私自身も、〝読むのがしんどい〟と思う日はありました。そんなときは、〝今日はしりとりをして寝よう!〟みたいな感じで、適当にやっていたと思います(笑)。
私は、子どもへの読み聞かせを英才教育の一貫だとは考えていませんでしたし、〝絶対に読み聞かせは欠かせない〟とか、〝1日に絶対◯冊読む〟などと決めてはいませんでした。
〝今日、読む?〟と子どもにたずねて、〝読む〟と言われれば、〝じゃあ読もうか〟という感じ。ゆる〜くやっていました(笑)」

気負わず、力まず、ゆるゆるで。これが、親として、子どもへの読み聞かせが負担にならない秘訣なのかもしれません。

取材・文/佐藤美由紀

堀井美香さんインタビューは全4回。4回目は21年5月29日8:00〜公開です
【第4回】堀井美香さんインタビュー「おすすめの幼児向け読み聞かせ絵本」とは

【第1回】堀井美香さんインタビュー「母に鍛えられた〝声に出して読む〟」絶大効果とは
【第2回】堀井美香さんインタビュー「堀井美香流・読み聞かせ術」とは

著者紹介

堀井美香 ほりいみか

ほりいみか
TBS アナウンサー●1972年3月22日生まれ、秋田県出身。法政大学法学部を卒業後、1995年にTBSに入社して以来、局アナとして第一線で活躍。これまでには多くのナレーションを担当し、ナレーションの名手としての存在感を放つ。TBSアナウンサーによる朗読会『A’LOUNG(エーラウンジ)』のプロデュースを担当するなど、朗読にも注力している。私生活では一男一女の母。子どもたちが幼い頃には、自分なりに工夫した絵本の読み聞かせを実践していた。TBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』にレギュラー出演するほか、週1回のPodcast番組『Over the sun』を配信中。近著『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)が好評発売中。