3人子育て中の人気絵本作家が明かす うちの子、この絵本3冊にどハマり
ただいま絶賛子育て中 きいてみよう! 絵本作家のえほんばこ〜よねづゆうすけさん〜
2021.05.26
素敵な絵本を生み出している絵本作家さんたちは、絵本を通して子どもたちとどのような時間を育んでいるのでしょう? その素敵な“物語”をご紹介します! 今回は、よねづゆうすけさんの登場です。
(「たのしい幼稚園」6・7月合併号(2021年4月30日発売)掲載)より
人生は選択の連続。
読む絵本も、子どもたちが「自分で決める」を
大事にしています。
お手紙交換を始めた子どもたち
我が家には8歳と5歳の息子、2歳の娘がいます。3人とも絵本が大好きですが、とくに5歳の息子は最近、文字に興味を持ち始めています。保育園でお手紙交換が流行っていて、それがきっかけとなったよう。手紙には絵も描いたりしていますね。
次男は負けず嫌いな性格で、いつもお兄ちゃんや妹と競い合ってケンカばかりして、うちではとてもやんちゃ。子どもたちを自然の多いところで育てたいと思い、長野の田舎に引っ越したので、毎日野生児のように駆け回っています。
木の上に秘密基地を作って……、といっても安全面を考え、大人の腰ぐらいの高さのところでとどめてもらっているのですが、よくそこでお兄ちゃんと隠れておやつを食べているみたいですよ(笑)。僕も子どもの頃はそういう生活に憧れていたので、うらやましいです。
そんな環境に育っているからか、子どもたちのお気に入りの絵本の1冊が『トマトさん』です。暑い夏に大きなトマトさんをみんなで川まで転がして、「じゃっぷーん」と落として涼しくしてあげるお話。自分たちも夏はビニールプールに水を張って飛び込んだりしているので、トマトさんが水に入ったときの気持ち良さがイメージできて楽しいのかもしれませんね。
よねづゆうすけさんのおすすめ絵本❶ 『トマトさん』
暑い夏の日を
涼しくしてくれる1冊です
暑い夏の日。ころころ転がって冷たい小川に飛び込んでいくミニトマトたち。でもトマトさんだけは、大きすぎて転がることができません。気の毒に思った畑の虫たちが一生懸命転がして、じゃっぶーん!
「転がすときの掛け声や、川に飛び込むときの音も楽しい。熱い夏にぴったりの一冊です」(よねづさん)
絵より工作が得意な子どもでした
僕は工作をするのが好きなおとなしい子どもでした。父が靴職人だったこともあり、子どもの頃は工作に興味があって。それで大学もデザイン科に進んだので、絵を描く仕事についたことには自分が一番驚いています。
イラストを描き始めたのは、大学に入ってからなんです。それが周囲から「見ていて物語を感じる、絵本っぽい」と言われたので、イタリアの絵本原画展に応募したところ、なんと入選してしまって。それが絵本作家を目指すことになったきっかけです。
絵本を作る魅力は、やはり小さい子たちが読んで喜んでくれて、その絵本と共に育ってくれることですね。だから我が家は、寝る前に読んでもらう絵本は、子どもたちが自分で好きな本を選ぶようにしているんです。
その中でも息子たちがよく持ってくるのが『だめよ、デイビッド』。デイビッドはいつも部屋を泥だらけにしたり、食べ物で遊んだりして叱られているのですが、それはまさに自分たちが普段やっていること。だから共感できて面白いみたいです。僕もよく「デイビッド」の部分を息子たちの名前に変えて読んだりしています(笑)。
よねづゆうすけさんのおすすめ絵本❷ 『だめよ、デイビッド!』
男の子のいる家庭は
ぜひ読んでみて!
お風呂で暴れまわったり、はだかんぼで外に飛び出したり……。エネルギーいっぱいでいつも叱られてばかりのデイビッド。でもママは、そんなデイビッドがだーい好き。
「男の子のいる親だったら、うちの子も同じことをやっている! そして子どもに同じこと言ってる! と思えて楽しいと思います」(よねづさん)
絵本は親子のコミュニケーションツール
僕自身は、絵本というのは親子の素敵なコミュニケーションツールだと思っているんです。子どもたちは、もちろん絵本の世界自体も好きなのですが、親が自分のために読んでくれる、ということも嬉しいみたいですね。だから『うんちっち』のような絵本は理由なく大好き。僕が「うんちっち」「うんちっち」と言っているのを聞いて、いつも大盛り上がりしています。親としては少々抵抗がないこともないのですが……。
そういった子どもとの時間は、僕にとってもかけがえのないもの。そこから絵本作りのインスピレーションが湧いてこないかな、と期待しているんですけど、そこは意外とないんですよね。とにかくみんなやんちゃなので、彼らについていくだけで精一杯なんです(苦笑)。
よねづゆうすけさんのおすすめ絵本❸ 『うんちっち』
親としては抵抗が
ありますが……
何を聞かれても、どんな状況になっても「うんちっち」しか言えないうさぎの子。あるときオオカミがやってきて……、さあどうなる⁉
「『うんちっち』と何度も言うので親としては抵抗があるかもしれませんが、子どもは喜ぶのでオススメです」(よねづさん)
自分で選択し決められる大人に
絵本に限らず、今日着る服からお菓子選びまで、子どもたちにはできる限り“自分で決める”ということをさせるようにしています。なぜなら子どもたちには、自分のやりたいことを見つける力を養ってほしいから。
自分のやりたいことを見つけるのって、実はすごく難しいことだと思うんです。だから多少危険なことでも、できるだけ体験させるようにしていますし、やり方が間違っていても「違う違う」と手を出さないようにもしています。
これがなかなか難しいんですけど、やはり自分で実際にやってみて、何で失敗したか、どうやったらできるかを考えないと、子どもたちの「何かをやりたい気持ち」って育たないと思いますから。
よねづゆうすけさんの新刊絵本『はんぶんこ!』
取材・文/山本奈緒子
よねづ ゆうすけ
1982年東京生まれ。東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程卒業。2005年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展に入選。以来、多くの絵本を生み出し、そのユニークなしかけ絵本は世界中の子どもたちに愛されている。 【主な著書】 『のりものつみき』講談社、『にじいろカメレオン』講談社、『たべもの だーれ?』講談社、『もぐもぐもぐ』講談社、『ぴたっ!』講談社など Website nakaniwa instagram @yusuke_yonezu Twitter @YusukeYonezu
1982年東京生まれ。東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程卒業。2005年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展に入選。以来、多くの絵本を生み出し、そのユニークなしかけ絵本は世界中の子どもたちに愛されている。 【主な著書】 『のりものつみき』講談社、『にじいろカメレオン』講談社、『たべもの だーれ?』講談社、『もぐもぐもぐ』講談社、『ぴたっ!』講談社など Website nakaniwa instagram @yusuke_yonezu Twitter @YusukeYonezu