2021.08.08

今こそ読むべき「戦争をえがいた本」ガイド

子どもと大人に伝えたい 戦争と平和

戦中の子ども時代『窓ぎわのトットちゃん』

窓ぎわのトットちゃん(単行本)黒柳徹子:著 いわさきちひろ:絵

日本の戦後最大のベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』は、2021年で初版刊行から40周年をむかえます。

世界中で翻訳され、「こんな小学校に通いたい!」「こんな先生に出会いたかった!」と多くの読者に愛されている『窓ぎわのトットちゃん』。読んだことがなくても、「トモエ学園」「電車の教室」や、「君は、ほんとうは、いい子なんだよ」といったセリフは聞いたことがある、という人が多いのでは。

でも、この作品が<戦争をえがいた本>だという事は、意外にもあまり知られていません。

◆トットちゃんと戦争のお話◆
『窓ぎわのトットちゃん』は、黒柳徹子さんが、ご自身が学んだトモエ学園を描いた自伝的物語。
「君は、ほんとうは、いい子なんだよ」と言い続けてくれた校長の小林先生、ユニークな授業、友だちとの交流など、楽しく感動的なエピソードがつづられています。

戦争の足音が聞こえてくるのは、物語の後半です。
学校からの帰り、トットちゃんは家の下車駅ではない大岡山駅で降り、キャラメルの自動販売機にお金を入れますが、キャラメルは出てきません。物資が少なくなっていたからです。

また、ある日家に帰ると、仲よしだった飼い犬のロッキーがいなくなっていました。ロッキーはシェパード。そのとき、トットちゃんはその意味がわかりませんでした。そして物語の結末は――。

戦中の子どもだったトットちゃん。その生活も、静かに描かれています。

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『秋』かこさとしが体験した戦争の悲惨な記憶

『秋』 かこさとし

かこさとし未発表作品が、ついに刊行。

倉庫に眠っていた、かこさとし未発表作品は、コロナでステイホームの期間中、加古総合研究所の鈴木万里さん(かこさとし長女)が作品整理中に見つけたものです。

この作品の最初の原稿執筆が1953年、なんと構想から実に68年、半世紀以上を経て初めて世に出るオリジナル作品です。

テーマは、かこさんが終生、憎んでいた「戦争」です。太平洋戦争のとき、高校生だったかこさんが体験した実話です。
戦争の悲惨さに怒り震えるかこさんが、いつまでも忘れないようにと子どもたちに伝えようとした作品です。平和を願うかこさんの強い思いが込められています。

子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、天国のかこさんからの贈り物です。

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6000人を救った『命のビザ 杉原千畝』

『杉原千畝 命のビザ』 文:石崎 洋司 絵:山下 和美

2020年に生誕120年をむかえた杉原千畝。2021年に開催の展覧会では、千畝が発行した「ビザの実物」も公開されるなど、いま改めて注目が高まっています。

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第2次世界大戦のさなか、杉原千畝はリトアニアの日本領事館の領事代理になりました。
ナチスによるユダヤ人迫害がひどくなる1940年の夏、日本経由で新しい土地に逃れようと、ビザを求めるユダヤ人たちが領事館に詰めかけます。

千畝は悩んだ末、日本政府の方針に反し、日本通過のビザを発給し、6000人のユダヤ人の命を救いました。きびしい戦争の時代を、信念と決断力をもち「命の大切さ」を最優先にして生きた、ひとりの日本人の物語です。

日本人が世界に誇れる日本人として、注目を集めている杉原千畝。
彼の業績を知っている人は多いと思いますが、偉業を成し遂げるまでの苦悩やそのために払った犠牲は、あまり知られていないのではないでしょうか。

どんな困難にあってもあきらめず、自分の信じた道を進んだ千畝。彼の生き方は、いまを生きる、そして未来を生きる読者をはげまし、勇気を与えてくれます。

<巻末に関連人物伝・年表つきで調べ学習に便利>
<小学上級から すべての漢字にふりがなつき>

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