2021.03.25

子どもたちへ送る応援歌 『おおきくなったら きみはなんになる?』 の読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

読み手 ーーおはなし隊隊長 宇田詔子

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

この絵本は、長年、保育遊びのアドバイザーをしている藤本ともひこさんが、子どもたちへおくる応援歌として作りました。村上康成さんが描く光り輝くような青い空に、藤本ともひこさんの文章が優しくひびきます。1ぴきのちょうがひらひらと舞うすがたに、子どもたちの明るい未来が見えるようです。

『おおきくなったら きみはなんになる?』
文:藤本ともひこ 絵:村上康成 講談社

「なりたいものは、きっと、いっぱいあって、みんなちがう。」

青い空に気持ちよく舞う、1ぴきのちょうちょをゆっくり見せてあげます。このページは導入なので、読みはじめるのもゆっくりと、そしてめくるのもいつもよりゆっくりと。「みんなちがう」の部分をやさしく言いきるよう読むと、ちがっていいんだよ……という含みを持たせることができます。

なりたいものは、きっと、いっぱいあって、みんなちがう
『おおきくなったら きみはなんになる?』より

「はなやさんは、はながだいすき。……それが、はなやさん。」
「それが、はなやさん。」 「それが、おいしゃさん。」 「それが、サッカーせんしゅ。」 「それが、せんせい。」 の部分を読むときは、「それが、」の後に1~2拍くらい置いて、はなやさん、おいしゃさん、サッカーせんしゅ、せんせいと読むと、文章の最後が引き締まります。

はなやさんは、はながだいすき。
『おおきくなったら きみはなんになる?』より

「きみはなにがすき?
 きみはなにがしたい?」

青い空に浮かぶボールを眺めるつもりで、大きな心でゆったりと、問いかけるように読みます。


「はらっぱに、ねっころがったり。……じぶんだけの、たいせつなものを、みつけることがある。」
この部分はテンポよく、いろんな場面を流れるように読み進めます。

「だれかがむりだって、いうかもしれない。でも、そんなのかんけいない。」
かんけいないと、言いきった後に少し間を置いてから、ゆっくりページをめくって、最後へとつなげていきます。

「きみがやりたいことは、きみがきめるんだ。きみがやりたいことを、きみがやるんだ。」
このページは、いちばんの応援歌のページなので、特にゆっくりと語りかけるように、そして、気持ちをこめて読みましょう。

「きっと、できる!」
ありったけのエールをこめて、少し笑顔もそえて。そして、にこやかにページをめくり、

きっと、できる!
『おおきくなったら きみはなんになる?』より

「おおきくなったら、きみはなんになる?」

羽ばたくちょうちょに、子どもたちの明るい未来と応援の気持ちもこめて、しめくくります。

読み終えたら、見返しのページもめくり、裏表紙を閉じたら、もう一度表紙を見せてあげて、最後に表と裏表紙を一枚の絵のようにつなげて、元気な男の子がちょうちょを追いかけている絵を見せてあげます。『おおきくなったら きみはなんになる?』のタイトルを、もう一度語りかけるようにゆっくり読んで、おしまいです。

旅立ちの時期にぴったりの一冊ですが、季節に関係なく読んであげてください。色がとてもきれいで絵もはっきりしていて文章も短いので、小さな子どもたちも一生懸命に聞いてくれます。
きっとその小さな頭のなかに自分のなりたいものを思いうかべていることでしょう。そして、いつか大人になって、この絵本ことを改めて思い出してくれるといいな……と思います。

●今回読んだ本

『おおきくなったら きみはなんになる?』
文:藤本ともひこ 絵:村上康成 講談社

●プラス1冊

なにが見えてくるしょう? なにがきこえてくるでしょう? 

『まっている。』
作:村上康成 講談社

「全国訪問おはなし隊」ってなあに?

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。
2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。
スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね!