2021.09.23

『まよなかのせおよぎ』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

読み手 ーーおはなし隊隊長 猪口まり子

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

第40回講談社絵本新人賞を受賞した話題作。

「まよなかのせおよぎ」……絵とタイトルからして夢なのか? ファンタジーなのか? 不思議な世界観が感じられます。静かな時の流れの中で、ふわふわした優しい気持ちにしてくれる絵本です。

『まよなかのせおよぎ』
作:近藤未奈 講談社

「きょうは ちっとも ねむれない」
……そんな時ありますよね、ふぅ。

ねむれない……
『まよなかのせおよぎ』より

「うん?」 「あれぇ?」
窓の外に、なにかを発見。
ゆっくりと間をあけて……、次の「およいでる!」の驚きが引き立つように読みます。

「ねえ、まって」 「えっほ えっほ」 「まって まって」 「ねえ、どこまで いくの?」
ここは、あわてて追いかけるように、そして問いかけるように読むといいですね。

空をおよいでる!
『まよなかのせおよぎ』より

背泳ぎで空をゆく、だれかを追いかけながら、
「あぶない! そっちに いくと ぶつかっちゃう!」
ここは、ちょっとあせった感じで……。

「あっ、くるっと まわった……」 「かべを けった……」 「また まわった! また けった!」
背泳ぎさんに魅了されていく女の子。少しずつ高揚感を高めていきます。
そして、感嘆のことば!
「わぁ~……!」

いつの間にか、女の子自身も宙に浮かんで…
「……あれ?」
驚いた様子を表現してみましょう。

「およいでるー!」
ここでは感動もMAX! ここの「およいでるー!」は、文字も大きく書かれていますので、少し大きな声で読んで感動を表現してみましょう。

そして、ちょっぴり緊張感をもって、
「おっと、あぶない きを つけなくっちゃ」 「みつからないように そーっとね」
少し声をひそめて読みます。

いっしょに背泳ぎ『まよなかのせおよぎ』より

今度は、大きな声で呼びかけます。
「おーい おきて! みんな いっしょに およがない?」

だんだんに背泳ぎを楽しんでいる女の子、そして…、優越感いっぱいに、
「ほら、できた!」

自分以外のだれかも夜空を泳いでいるのかもと、思いをはせるように、
「ひょっとしたら、どこかで だれかも」 「およいでいるのかな」

女の子が真夜中の空をゆったりと泳いでいる感じを表すように、ゆっくり読んで、じっくり絵を見せてあげてください。
ここからは、さらにゆっくりと間をとって読みます。
「あれ、 なんだか  とっても」 「ふわぁ」 「……」
背泳ぎさんに連れられていく女の子。

テキストのないページも、しっかりと絵を見せてあげてください。
やがて、女の子は自分のベッドへ…。寝言のように
「ねえ、こんどは どこに いく……?」

眠れましたね……。
繊細な描写がとても素敵な絵本ですが、大勢の子どもたちへの読み聞かせでは、遠目だとわかりにくいページがあるかもしれません。
でも、大げさな表現はいりません。女の子の表情がとても豊かに、その時々の感情や状況を物語っていますので、読み手も女の子の気持ちになって読んでみてください。
聞き手にも、真夜中の空をゆったりと背泳ぎしているような、この浮遊感を味わってもらえたらいいですね。

●今回読んだ本

『まよなかのせおよぎ』
作:近藤未奈 講談社

●プラス1冊

『トコトコバス』
作:高橋和枝 講談社

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう...