2021.02.27

おうち時間に楽しもう! ”非認知能力”を育てるアナログゲーム遊び おすすめゲーム編

『子どもと育ち研究所』主任研究員・宍戸信子さんインタビュー 第3回

寄稿家:宍戸信子

子どものペースに合ったゲームを選ぶ

手を使って遊べるようになった2~3歳くらいの小さな子にはどのようなアナログゲームがいいのでしょうか?

「最初に、年齢で選ぶというよりも、それぞれのお子さんのペースに合ったゲームを選んであげることが大切です。今回はそれぞれのおもちゃの対象参考年齢としてご紹介します。

まず、2、3歳くらいでしたら、同じ絵柄のカードを探す『テディメモリー』がおすすめです。トランプの神経衰弱と同じですが、海外では『メモリー』もしくは『メモ』と呼ばれています。ボールを持っているくまちゃん、チョコレートのくまちゃんなどなど印象的な様子のくまちゃんが描かれていますので、トランプよりもイメージがわいてめくるのが楽しいんです。お気に入りに名前をつけたり、くまちゃんの話をしたり、会話も弾むので語彙力も増えていきますよ。くまちゃんがはめこまれていた枠の片方に好きなくまちゃんを入れて、その片割れを探す『ロトゲーム(絵あわせ)』も楽しめます」

「テディメモリー」ラベンスバーガー社(ドイツ)
写真提供 木のおもちゃと輸入おもちゃと絵本のカルテット

「3歳後半~4歳くらいは力加減ができるようになってくるので、『スティッキー』という技術系のゲームがおすすめです。サイコロを振って出た色の棒の束を崩さないように、1本ずつリングから抜いていきます。青が3点、赤が2点、黄色が1点と太さによって点数が決まっているので、もう少し大きくなったらサイコロを振らずに点数計算をしながら抜いていく遊び方もできます。青はリスキーだけど点数が高い、黄色は安全だけど点数が低いということを考えながら競うのはハラハラ・ドキドキで楽しいですよ。
お箸の持ち方を教えるのが難しいのと同じで、生活の中で手の使い方や器用さがわかる場面は少ないので、子どもの手先の器用さをチェックするのにもいいと思います」
※木製スティックを使うゲームなので対象年齢以下のお子さんは保護者同伴で遊んでください

「HABA スティッキー」ハバ社(ドイツ)
写真提供 木のおもちゃと輸入おもちゃと絵本のカルテット

数がわかると遊ぶゲームの世界も広がっていきそうですね。

「数を数えられるようになったら遊んで欲しいのが、『子やぎのかくれんぼ』というゲーム。『おおかみと7匹の子やぎ』という物語をモチーフにしていて、家具の中に隠れている子やぎが何匹いるかを記憶して当てていきます。数も色も場所も記憶して、複合的に頭を使わないといけないので、ゲームが進むとかなりこんがらがっていきますよ。でも、子どもは記憶力がいいですから、大人のほうが覚えられないということも(笑)。不甲斐ない自分を受けいれながら、お子さんと一緒に真剣に取り組んでみてください」

「HABA 子やぎのかくれんぼ」ハバ社(ドイツ)
写真提供 木のおもちゃと輸入おもちゃと絵本のカルテット

勝ち負けのないゲームを取り入れてもいい

アナログゲームは年齢に関係なく遊べますね。

「そうなんです。何歳だからこれ、ということでもないんですよ。だから年齢・月齢に関係なく、お話が上手になってきた子には『すきなのどっち?』がおすすめです。遊び方は、カードにバスと車が描かれていて、『好きなのどっち?』と聞かれ、バスが好きだったら好きな理由を話すというもの。自分が話したことが正解で、勝ち負けがなく競わない。このようなものも取り入れてもいいですよね」

「えらんできめてつたえるゲーム すきなのどっち?」tobiraco(日本)

写真提供 tobiraco

ゲームをしながら、相手に伝えることが楽しめるんですね。

「同じようなもので、『てつがくおしゃべりカード』と『てつがく絵カード』というものもあります。『てつがく』と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、そんなことはありません。それぞれのカードに書かれている『問い』について会話していくゲームなのですが、子どもたちの自由な発想がとても興味深いです」

「てつがくおしゃべりカード」ほんの木(日本)
画像提供 ほんの木

「てつがく絵カード」ほんの木(日本)
画像提供 ほんの木

自分の意見を言うことや会話をすることが学べるんですね。

「遊び方編で、お子さんと遊びたいのに遊べないときには、『練習しておいて』と一人で遊んでもらう技もあるとお話しました。そんなときは『ゲーム・ワニに乗る?』がおすすめです。このゲームだとひとりで黙々と遊んでくれる子が多いですね。

「ゲーム・ワニに乗る?」ハバ社(ドイツ)

写真提供 木のおもちゃと輸入おもちゃと絵本のカルテット

負けることが悔しくて『もうやらない!』となってしまう子には、勝ち負けのない協力型の『果樹園ゲーム』がおすすめです。果樹園のフルーツをカラスに取られないよう収穫していくゲームなのですが、『からす』対『人間=プレーヤー全員』。どちらがフルーツを先に取るかを決めていくだけで、プレイヤー同士は競わないというもの。
アナログゲームは本当にたくさんあって移り変わりも激しいのですが、この『果樹園ゲーム』は長い間愛されているロングセラーです」

「HABA果樹園ゲーム」ハバ社(ドイツ)
写真提供 木のおもちゃと輸入おもちゃと絵本のカルテット

大切なのは、自分で選んで決めること

『果樹園ゲーム』は、フルーツカゴのパーツがかわいらしく、見ているだけでも楽しいですね。

「成長編で、細かいパーツを管理することもアナログゲームでは大事とお話しました。そもそも子どもは片づけが苦手ではないんです。きちんと秩序を守れる工夫をすれば、きちんと片づけてくれます。

まず、おもちゃを見えるようにしておくことです。見えないとそれは『ないもの』と同じです。見えていれば、自分で選んで遊んでくれます。そして、いつも同じ場所に置いてあげてください。そうすれば自然と同じ場所に戻すようになります。遊びながら『取り出したものはここに戻したらいい』ということを学んでいきます。
大切なのは“はじめ”と“おわり”。遊ぶものを自分で選び、おわりを自分で決める。また、”1人でする”、”最後までがんばる”、ということだけが自立のように言われることがありますが、子どもから『手伝って』とお願いしてくることも、どう手伝って欲しいかを自分で決めたことなので、立派な自立です」

子どもにもわかるように大人が整理しておくことが大切なのですね。最後に、アナログゲームに興味を持たれた方へ、メッセージをお願いします。

「今回はアナログゲームを切り口にお話しましたが、”子どもは遊びの中でしか学ばない”ということを、大人が知ることが大切だと思います。『こうして欲しい』『〇〇してやらねば』、と大人がやらせるものは、遊びではなく”課題”と”作業”です。子どもは自分の心の内側を動かすことでしか学ばないので、子どもの内側を動かすための「何か」を、私たち大人がきっかけになって手渡してあげたいですね。子どもの心が動くことを見つける楽しさを、ぜひ一緒に味わっていただけたらと思います」

“非認知能力”を伸ばすアナログゲーム遊び、親子でぜひ楽しんでみてください。

取材・文 石本真樹

寄稿家紹介

宍戸信子 ししどのぶこ

『子どもと育ち総合研究所』主任研究員。京都府生まれ。平安女学院短期大学保育科卒業。幼稚園教諭・保育士。幼稚園教諭として保育に没頭後、辻井正氏の主宰する「おもちゃライブラリー」での障害児療育活動やおもちゃによる保育活動、ヨーロッパの保育との出会いを通して、保育・幼児教育を学び直す。ピラミッドメソッド・ティーチャーとチューターの両資格獲得。2002年~2003年、オーストリアのオルフ研究所にて、「創造的な音と動き―オルフ教育」のインターナショナルコースに参加。「子ども・遊び・保育素材」「幼児期の保育・教育とは」「音・動き・造形-創造的な表現活動」などを研究・実践する。さらに現在は、保育・教育現場から依頼される様々なテーマに対しての研修や保護者や福祉の支援者などへの働きかけ、遊びを使ってのワークショップなども務める。