2022.08.01

ブックマーク

お片づけは子どもの「自立ツール」 家庭でできるお楽しみ片づけ教育

その2 片づけられる環境作りを

時政 美由紀

「子どもにとって大切なのは、お手伝いより、勉強より、まずは “片づけ”と“身支度”です」と言い切る整理収納アドバイザーのカール友波さん。

片づけと身支度が勉強より大事というその真意をお聞きすると、「お片づけ、身支度を通して、子どもに自立をしてほしいということです。片づけ、身支度ができれば、勉強やお手伝いも自然とできるようになるからです。片づけや身支度は、自分自身のこと。子どもであっても自分でできないと困りますよね。生活の基本中の基本です。だから、勉強やお手伝いよりもっと大切だということなんです」

カールさんは、『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』の著者で、お片づけプレゼンターの肩書きを持ち、企業や学校の講座、セミナーなどでも活躍中です。

片づけや身支度が子どもの自立を促すという「片づけ教育」について詳しくお聞きしました。
全7回にわたって紹介していきます。今回はその第2回です。
第1回は、こちら
※特に、新1年生から低学年の子どもを対象にしています。

夏休み突入!

夏休みがスタートしました!

子どもが家で過ごす時間が増えますが、家の中が子どものモノで散らかったり、後片づけができていないとイライラ……なんてことになりがちです。

親子ともども、快適に夏休みを過ごすためにどうすればいいか、カール友波さんにお聞きしました。

「家が子どものモノで散らかったり、子どもが後片づけできない原因を探ることが大切です。主な原因は“片づけの仕組みができていない”ということがあります。片づけられる仕組みができていれば、自然と片づけられるようになる、というわけです。散らかりがちな子どものモノを中心に、片づけられる仕組み作りについて紹介しましょう」

“紙もの”は立てる!

教科書やノート、ドリルなどは、主に学習机の備え付けのブックエンドや本棚などが収納場所になっていると思いますが、学習机の備え付けのブックエンドは意外に使いにくく、たくさん立てるとズレて支えきれないことも。

また、立ててあるならまだしも、机の上の平積みになっていることも多いのではないでしょうか。

そんな小学校低学年の子どもに、特におすすめの収納方法があるとカールさんは言います。

「前開きのA4のファイルスタンドがおすすめです。まだ不器用な小学校低学年でも、難なく出し入れができます。毎日出したり入れたりするので、プラスチック製で滑りがよく、少々のことでは壊れません。また、ファイルスタンドなら、学習机の上に限らず置き場所の自由度も高いですし、数を増やして増設も可能です」

本が倒れず、出し入れしやすく機能的。

ファイルボックスなら、100円ショップなどで気軽に買えるのもいいところですよね。

「買う場合は、半透明で中身が見えるものがいいですね。すき間が空いているタイプ(下写真)は、強度が低く割れたり、すき間から入れているモノが出てきたりするので、すき間がないものを選んでください」

平積みになっている教科書やノート、ドリルなどは“立てて収納する”、という仕組みができます。これなら小学校低学年でも片づけられるでしょう。

すき間が空いていないものがおすすめ。

本のサイズがまちまちならファイルボックス

小さい子どもの“紙もの”で収納に困るのが、例えば、電車の形をした絵本、横長サイズのピアノの楽譜、小さいサイズのしかけ絵本など、高さや幅などサイズがまちまちなもの。本棚に収納しにくいことがあります。

「サイズがまちまちで本棚などに収納しにくい場合は、A4のファイルボックスが活躍します。プリント類などもまとめやすいですよ」

子どもにはプラスティック製、紙製は保管向き。

紙ものの片づけのポイントは、「立てまくる」ことだとカールさんは言います。

「プリント類など、紙そのものは立たないので、ファイルボックスに入れる。それだけでもずいぶん片づいていきます。とにかく、ここさえ探せば絶対にある、ということになれば、『家中探したのにどこにもない!』ということにはなりませんから」

学校や塾からのプリントの片づけは?

「自分のモノは自分で片づけるという以外に、家族で共有するモノも片づけの仕組みを作る必要があります。例えば、学校や塾からの連絡のプリントなどは、ワイシャツ用の吊り下げタイプの収納がおすすめです」

「〇〇はピンク、〇〇は緑」と決めて。

こちらも100円ショップで買えるワイシャツ用の吊り下げタイプの収納。いくつかポケットのあるものです。

「いちばん上のポケットは誰々とか、入れるクリアファイルを家族で色分けしてもいいです。もしくは、学校関係は〇色、習い事は〇色などというように色分けしてもいいですね。とりあえずここに入れておいてくれたら、お母さんお父さんが確認する、という仕組みを作っておけば、『プリント見せて!』といちいち子どもに催促することもありません」

整理待ちセットで時間を有効活用

日々きちんと片づけて生活したいものですが、子どもたちも、大人も、毎日忙しく過ごしています。そこでカールさんがおすすめしたい仕組みがあると言います。

「例えば、アイロンと小さいアイロン台、アイロン用ハンディスプレー、アイロンかけしたいハンカチなどをセットにした“アイロン待ちセット”を作っています。ハンカチ1枚をアイロンがけするのは効率が悪いので、時間ができたときにある程度まとめてアイロンがけするというセットです」

つまり、とりあえず入れておいて、時間があるときにアクションを起こせるセットを作ると効率がいいということなのです。

「子どもの1学期分のテスト、図画工作の作品など、時間があるときに整理ができるように“整理待ちセット”を作るといいですよ。忙しい人はまとまった時間が取れませんし、ついつい後回しになってしまうので、夏休みは子どもと一緒に片づけ、整理するチャンスなんです」

カールさんはこうもアドバイスします。

「テストやプリントなど、きっちり整理していく方法もありますが、それでは整理整頓で疲れてしまいます。ざっくり“ここに入れておけば大丈夫”という定位置を決めて、後は時間がある時に整理すればいいんです」

片づけの時間を決める

子どもと片づける場合は時間を決めるのがコツ。だらだら片づけでは子どものやる気をそいでしまいます。

「時間がありそうな週末、月末など、だいたいの時期を決めて、『10分だけやろうね』『片づけた後はおやつを食べよう』など、時間をはっきり伝えるのと、多少のごほうびも必要です。また、小さい子どもは最初から自分だけではできません。お母さんお父さんが一緒になってやってあげることが必要です」

そして、そのうち少しずつ1人でできることが増えていき、自分でできるようになるというわけです。

早い時期に習慣づけておけば、大人になってから苦労することもないし、小さい頃からやれば、苦にならずに習慣化できるというわけです。

片づけの基準は家族で決める

「例えば、“1年着なかった洋服は捨てる”というような片づけのルールがありますが、必ずしもそれに従う必要はありません。片づけのルールはそれぞれの家族で決めればいいんです」

カールさんのお知り合いでも、子どものテストをあえて高く積んで、「これだけやったよ!」という達成感を子どもに味わわせ、あえてテストは捨てない、というご家族もあるということです。

「片づけの基本は、定位置を決めて、決めたら定期的にその部分を整理することです。片づけの仕組みを作って、まずは子どもと一緒に片づける、そして徐々に子どもだけでできるようになることを目指しましょう」

夏休みの思い出作りは、なにも海や山に出かけることばかりではありません。子どもと一緒に片づけの習慣がつくように一緒に片づけをすること。いい思い出になることは間違いありませんね。

カール友波(かーる となみ) プロフィール

お片づけプレゼンター
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」  
深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。
整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。
著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。
https://www.karl-3.jp/

写真:カール友波 構成:時政美由紀

ときまさ みゆき

時政 美由紀

構成・取材

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代...

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