2021.06.30

「早生まれ」のハンディ 身体的・精神的な差を乗り越えた「好循環」とは?

ある女の子が順調に小学校生活をスタートできたワケを伝授

講談社こども教室

子育てに正解はありません。100組の親子がいれば、100組の子育てがあります。
たくさんの子どもたちと向き合い多くの経験を重ねて来た「講談社こども教室」の講師たちが「子育てと学びのヒント」をお伝えします。今回のテーマ「早生まれ」に登場するのは1月生まれのAさん。講師は池山尚子さんです。

※登場する人物は仮名です。プライバシーに配慮し、一部を修正しています。
「講談社こども教室」は0歳から未就学児対象の「幼児知育コース」、小学生を対象とした「国語・算数コース」、0歳からの「英語・英会話コース」を運営する知育教室です。

身体的にも精神的にも大きな差

「講談社こども教室」 入学準備発展クラス レッスン風景(使用教材 数積み木)


日本の小学校に1年生として入学するのは、4月2日時点で満6歳の子です。つまり、6歳になったばかりの子と、もうすぐ7歳になる子が同級生になる可能性があります。大人になってからの1歳差はさほど気になるものではないでしょうが、乳幼児~小学校低学年にとっての1歳差は、身体的にも精神的にも大きな差になるといえるかもしれません。

親の立場で考えると、我が子が、1月、2月、3月生まれのいわゆる「早生まれ」の場合、小学校に入学して、いきなりほぼ1歳違いの子たちと肩を並べて、問題なく勉強したり運動したり、給食を食べたりできるだろうか、自分の思いをきちんと言葉にして伝えることができるだろうか、などと心配になるのは当然です。

私(池山尚子講師)が25年間講師として生徒の指導にあたっている「講談社こども教室」に問い合わせてくださるお父様・お母様の中にも、我が子が早生まれで、新生活の順調なスタートを切ることができるかを心配される方が少なからずいらっしゃいます。

早生まれをハンディにせず小学校生活をスタートさせたAさんの例をお伝えします。Aさんは、現在小学校3年生になり、元気に通室を続けています。

Aさんは、保育園の4歳児クラス(年中)の終わり頃に入会しました。1月生まれで、一人っ子、保育園に通っていました。入会の動機は、Aさんの通う保育園では文字や数などの指導がないこと、
1月生まれで、身体が小さく、人見知り。何事にも消極的だということで、お母様は、Aさんが自分に自信を持って、人前で元気に発言できるようになってほしい、と望んでおられました。

Aさんは、幼児クラスの「入学準備応用クラス」に入会しました。レッスンは、毎月3~4回、同じ曜日と時間に設けられており、クラスのメンバーも同じ顔触れです。

1回のレッスン時間は60分で、概念、数、図形、記憶、思考の力を伸ばすように工夫された内容になっています。学年に応じたねらいが設定されていて、年少で「入学準備基礎クラス」年中で「入学準備応用クラス」、年長で「入学準備発展クラス」に継続して通室すると、小学校低学年の学習に必要とされる力が無理なく身につくようになっています(小学生対象には、「国語・算数クラス」もある)。

名前を言うのが精一杯の子 ユーモアのセンスを発揮

5人のクラスメートは、2歳、3歳から教室に通い、教室にも講師にも慣れ、恥ずかしがることなく自分を出しています。

教室では、レッスンの初めにスピーチを行います。
子どもたちは、その日のテーマに沿って、一人ひとり自分の思いを発表します。初めの頃は、Aさんは、自分の名前を言うのが精一杯。小さな声でぽつりぽつり話します。

教室の生徒たちは、自分たちも同じように、人前で話すことが恥ずかしかった時に、周囲の仲間や講師に励まされたり、見守られたりして成長してきたという経験がありますので、そんなAさんの話を気長に、急かすことなく聞いていました。

その雰囲気に慣れたころ、もともとユーモアのセンスがあったのでしょう、Aさんがクスリと笑えるような話をするようになってきました。クラスメートと垣根が取れたと感じた出来事でした。と同時に、他の子どもたちが物事に取り組む様子を見て、同じようにやろうという姿が見られるようになりました。

ただ、残念ながら、長く積み上げてきた子どもたちのようには結果が出せないものですから、家に帰ってから、悔し涙を流し、繰り返し復習をしている、とお母様からの報告がありました。

不満足な結果でも投げ出さずに繰り返す努力家に

1年ほど経った頃には、Aさんは、クラスメートと大きな声で話し、ゲラゲラと笑い合うほどに打ち解けていきました。
どんな課題も嫌がらずに取り組むのですが、相変わらず、なかなか本人の満足のいくような結果にならないことが多々ありました。それでも、投げ出さず、繰り返し行うことにより、最終的には、目標を達成していくようになりました。

こうして、Aさんは、少し難しいように見える課題に対しても、臆することなく挑戦し続け、クラスメートに追いつくという経験を重ねていきました。周囲のクラスメートも、Aさんが達成したことを、Aさんと一緒に喜び、それが、さらにAさんのやる気を引き出しました。

その結果、Aさんにとっては、繰り返すこと(努力をすること)が当たり前のことになりました。小学校の学習や運動も、教室の課題と同じように、努力して、確実に自分のものとしている様子です。

2年生の1学期の終業式に、Aさんは、小学校の全校生徒の前で、「1学期に頑張ったことと2学期に頑張りたいこと」というスピーチをする2年生代表に選ばれました。堂々とした発表だったそうです。

小学生対象「国語・算数クラス」学習風景

実力より少し難しい課題を克服するための周囲の態度

出された課題にすぐに答えが出せて、簡単に次に進める子どももいますが、そうでない子どももたくさんいます。特に、早生まれの子どもにとっては、1歳近くの年齢の差がハンディになることは否めません。

Aさんのように、努力をすれば目標に到達できるという成功体験が、やる気と根気を生み出すのです。この経験こそが幼児期には必要です。

実力より少し難しい課題を与えられた時、周囲の温かい励ましと見守る態度があれば、子どもは、目標に向かって歩み続けます。失敗しても負けない心が育ちます。達成した時の喜びを共有する友だちや大人がいれば、必ずその達成感をまた味わいたいと思い、努力をし続けます。

早生まれのAさんが入学時にハンディを感じず、順調に小学校生活をスタートできたのは、
・幼児期に、周囲の温かい目に見守られ、努力することを身につけたこと
・達成感を味わったこと
・それらがさらにやる気につながる

という好循環を生み出せたからだと言えるでしょう。

文・池山尚子
講談社こども教室」講師歴25年。教室で出会った親子の心に寄り添い、楽しいレッスンを心掛けている。元気な子、個性的な子の指導を得意とする

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