2022.01.05

子どもごはんの悩み 大人になって生活習慣病で困らないタンパク質の食習慣

人気料理研究家・浜内千波の「子どもを育てるごはんレッスン!」(第3回 たんぱく質編)

料理研究家・栄養士:浜内 千波

幼児期の食事は、食生活の基礎を作るとても重要な期間です。けれど、好き嫌いがあったり、食べる量に個人差があったりと大変な時期でもあります。

また、子どもの肥満も心配。ほうっておくと大人になって生活習慣病になるリスクが高くなる可能性も指摘されています。

幼児期に必要な栄養素とそのレシピ、苦手なものへの対応、そして大人になっても生活習慣病にならないための方法などを料理研究家の浜内千波さんに6回に渡って伝授していただきます。

第3回目のレシピは幼児期の丈夫な体や脳、骨の成長、免疫力のアップなどの欠かせないたんぱく質メインのメニューの紹介です。

元気な体を作る素になるたんぱく質

たんぱく質は筋肉や内臓や皮膚、血液など体を作る細胞の主成分で、身長が伸び、日々体重が増える幼児期にはたんぱく質は欠かせない栄養素のひとつです。

体の機能を調整する神経伝達物質やホルモン、酵素などの成分にもなり、生命維持には欠かせません。さらには体を動かすためのエネルギー源にもなるため、運動量が多ければ、多いほど必要になります。

たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されていますが、そのうちの9種類は体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。これを「必須アミノ酸」と言い、それ以外の11種類を「非必須アミノ酸」と言います。

たんぱく質には動物性と植物性がありますが、動物性のたんぱく質は牛・豚・鶏肉、さばなどに豊富に含まれ、植物性では豆腐や納豆などの大豆製品に多く含まれています。また、動物性たんぱく質の多くに必須アミノ酸が含まれていますが、一部の植物性たんぱく質は不足しているものもあります。

たんぱく質の不足は脳に影響が…

「幼児期は特に肉や魚、大豆製品など良質なたんぱく質の摂取が大事ですね。食材も違えば一緒に摂れる他の栄養も変わってきますし、たんぱく質の種類によっても吸収速度がそれぞれ違うので、ひとつの食材からたんぱく質を摂取するのではなく、動物性たんぱく質:植物性たんぱく質=1:1の割合を目安にいろいろな食材から、いただくのがいいですね」(浜内千波さん)

では、たんぱく質が不足すると、どんなことが起こるのでしょうか?

「第1回目にもお話したように脳細胞をポケットと考えたときにたんぱく質が不足すると、ポケットが大きくなりませんから、有効活用ができないんですね。また集中力の低下も招きます。脳の約40%はたんぱく質でできているので、質のよいたんぱく質を摂ることは脳の活性化にもつながります」

骨の成長にもたんぱく質は欠かせない

たんぱく質の不足は脳以外にも支障をきたします。免疫力が低下し、ウイルスに対する抵抗力が弱くなったり、基礎代謝力が低下して成長の妨げになります。一方、過剰摂取は肥満の原因にもなり、内臓などに負担がかかります。

さらには骨の成長にも影響があります。カルシウムは骨を丈夫にすることはよく知られていますが、たんぱく質は骨を伸ばす重要な役割を担っています。たんぱく質もカルシウム同様、骨の成長には欠かせない栄養素なのです。

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』によると、男児、女児ともに3~5歳までの1日のたんぱく質推奨量は25gです。たんぱく質は一度に多く吸収できないので、3食に分け、またおやつも利用してこまめに摂ることが特に幼児期には大事です」(浜内さん)

切り方や固さを変えて食べやすく

たんぱく質は主菜になるものが多く、特に動物性のたんぱく質である肉と魚、いずれかが毎日の食卓にのぼる家庭も多いでしょう。ただ、幼児期には同じたんぱく質でも自分の好きな肉だったら食べ、魚は食べないなどがありがちです。

「そんなときには、切り方や固さなどを変えてみましょう。子どもの食べやすい大きさに切ります。薄切り肉や切り身魚は加熱しすぎると固くなりすぎてしまうので、きちんとかみ切れ、素材のおいしさを感じられるように工夫しましょう」(浜内さん)

また、温度もおいしさを決めるポイントのひとつ。

「たとえば、お肉も加熱しすぎも固くなりますが、冷たくなるとやはり固くなってしまいます。そんなときはチンするなど再加熱するといいでしょう。幼児期は特に食べるペースに個人差があります。また、日によって食が進む日とそうでない日もありますが、こうした行動もゴールがあることと思ってのんびり構えましょう」(浜内さん)

海と畑のカレー

【材料】(2~3人分) 
※分量は大人の分量。幼児の場合は大人の半量~多くても2/3程度。

にんじん…1/3本(50g)
たまねぎ…中1個(150g)
トマト…1個(150g)
枝豆(冷凍)…100g(豆)
大豆(水煮)…100g
さば缶…1缶(190g)

A
ヨーグルト(プレーン)…大さじ2
塩…小さじ1弱
カレー粉…小さじ2

桜えび…大さじ1
温かいもち麦ごはん…500g

作り方

1 枝豆は解凍し、豆を取り出す。にんじんとたまねぎはみじん切り、トマトは1㎝角に切る。

栄養と彩りをバランスよく。

2 フライパンを中火で温め、さば缶の汁を約大さじ1入れ、1のにんじんとたまねぎを入れてしっかり炒め、ふたをし、しんなりするまで蒸し炒めする。

さばの缶汁を使って材料を炒めるのでサラダ油は不要。

3 2のフライパンにさば缶の身と残りの缶汁、枝豆、大豆、1のトマトのみじん切りを入れてAで調味し、約5分煮る。

さば缶で動物性たんぱく質をプラス。

4 もち麦ごはんに桜えびを混ぜ合わせ、茶碗に入れ、お茶碗を器の中央に当て、ひっくり返す。周りに3のルウを盛る。

枝豆と大豆、桜えびで彩りもきれいに。

取材・文:須藤桃子 撮影:松本祥孝

はまうち ちなみ

浜内 千波

料理研究家・栄養士

栄養士。大学卒業後、証券会社を経て岡松料理研究所へ入所。ファミリークッキングスクールを開校し、料理教室を主宰すると共に、食ビジネス全般...