2021.03.22

『おうち性教育』で分かった! 性教育はタブーでなく親から子への愛情

寄稿家:筒井裕子

写真:アフロ

巷でよく聞く子どもへの性教育。
なんとなく抵抗感があるという性教育初心者、3児の母ライターが手にとったのは入門として話題の本『おうち性教育はじめます』。いい意味で性教育って「思ってたのと違う」かも? 早速詳しくレビュー!

そもそも性教育に免疫がない親世代

先日小1の息子が、学校の図書室で絵本を借りてきました。妹たちもそれをいつも楽しみにしていて。息子曰く、今回は犬の絵がかわいかったから、という理由で表紙だけ見て選んだようで、それを寝る前に読み聞かせることに。3人の期待に応えるように、張り切って読み始めたわけなんですけどね、途中から、ん……これってもしや!? 

そう、その絵本は紛れもない性教育の本だったのです。

目の前には2歳、4歳、6歳のまだ幼い子どもたち。なんでこんな本が図書室にあるわけ?と、その時は心の中で小学校を責めました。けれど時既に遅し。性に踏み込んだ話の部分は言葉を濁したり、足早に読み進めたり飛ばしたり。

結局、最後までごまかしながら読んだおかげで(?)、変な質問もなく、子どもたちはただただ、ポカーン。たいして面白くない本だね、という結果でその場を乗り切れたわけです。

ただもちろん、性被害から子どもを守る為に、という大切な絵本のテーマに関して何一つ伝わらないという結果でした。

急だったとはいえ、自分自身、ここまで性教育に対して抵抗があったとは……。早期から教えていくのが望ましいことくらいは何となく聞いたことありますけど、やっぱりね、正直恥ずかしいんですよ。

それに、幼い子どもにわざわざ知識を与えて、何かメリットあるんですかね? 性への目覚めを早めてしまうだけなのでは? 変に興味を持たれると困りますよね。。。

そもそも、自分自身が性のお話に触れるのはタブーとされて育ってきて、表立って言う事ではない、というのが常識。幼い子供の前で性教育を語るのはルール違反に等しいのです。自分もそうだったように、いずれ時がくれば自然と理解していくものだと信じたい。

日本の性教育は遅れているとよく言われますけど、おそらくその通り。実際、子育て進行形の平凡な親の実態がコレです。

そんな我が家のプチ事件で浮き彫りになった性教育との向き合い方問題。そろそろ重い腰を上げるべき時期なのか?

性教育をスタートする適齢期、実は3歳からが望ましい!

そこで、手にとったのが話題のこの本。『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』

『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(著:フクチマミ、村瀬幸浩 KADOKAWA刊)

とんでもなく性教育初心者としては覚悟してましたけど、早速、冒頭から撃沈でした。性教育は、幼児期、具体的に3歳頃からの下地教育がとても大事だと。そろそろ、どころの話ではなかったんですよ。我が家の長男はまもなく7歳……。少々の焦りとともに一気読みしました。

率直な感想は、拍子抜けするくらい素直に受け入れられる性のお話。性教育の先生と悩める親たちが登場するコミカルなマンガ形式で、とても読みやすいのです。

といっても、扱っている内容は男女の身体の違いや、性行為、マスターベーション、避妊等、ここに書くことさえ躊躇してしまうような踏み込んだ話もしっかり網羅されています。

「お母さんから生まれてきたのにお父さんに似てるのはなんで?」みたいな、子どもからのド直球すぎる質問ってありますよね。こんな性関連での困ったあるあるシチュエーションで親が取るべき対応法を具体的な言葉で書いてくれているのが特に面白く、ありがたかった! マンガに出てくる親たちの悩みがどれも共感の嵐で、自分のことに置き換えて想像しやすかったのです。

幼児期の愛情の伝え方が、将来的に性被害から子どもを守るキーに!?

さて、話を戻しますが、3歳の幼い子ども相手に教える性教育とは、いったい何なのでしょう。まず気になるのはそこです。そこを理解しないとなかなか我が子に性教育をスタートさせる気にはなかなかなれないですよね。本書でも冒頭で触れられています。

まず性教育というのは、日々の何気ない子どもへの接し方が大きく関係しているんです。日頃からの子どもへの愛情の伝え方も性教育の一環なんですね。子どもに触れるタッチング、言葉に耳を傾けるリスニングなど、日々子どもに丁寧に愛情深く接する姿勢が重要だと。そんな親子は、相談も性の話もできる関係になっていくという。

ここまでは特別これといって新しい発見もないように思いますけど、なんでも相談できる仲って、思春期を迎えた時にはかなり重要ですよね? また愛情を感じて育った子供は自己肯定感も育まれ、それは人にも優しくできることに繋がることに。寂しさにつけ込んでくる性被害からも守ることができると。

ここまで聞いて、なるほどー! 日々の良好な親子関係が将来的に性被害の被害者にも加害者にもさせない重要な根幹をなしているんですね。改めて、親子のコミュニケーションの大切さを痛感します。

性教育、深い!!!!

意識的に教えていくべき口、胸、性器、お尻のプライベートパーツ

また、日々デリケートに扱うべきプライベートパーツと呼ばれるこの4箇所。
ここはたとえ親子間だとしても絶対に故意に触ったり見ようとしたりしてはいけないと……。大変! かわいさゆえにチューしたり、お尻触ったりなんて日常茶飯事でした。

これは親からの愛情表現のひとつだと信じていたのに。「自分だけのものだから大切に扱わなきゃいけないよ」これが正解なんですねぇ。3歳から可愛いお尻を触れないなんてショック(笑)。

でもプライベートパーツへの侵入を愛情表現だと軽く扱っていると、友達、最悪の場合、性犯罪者が相手でも、好意のひとつと捉え断れない子になってしまう、またはその逆で加害者にもなり得ると。そう言われると納得、なんて恐ろしいこと! 

最近4歳になる娘が、うんち、お尻ブーム真っ只中でして。公共の場で連呼したり、家でお尻をペロっと見せて笑いをとろうとしたり。日頃からプライベートパーツの大切さを言い聞かせていたら、こういうシーンにも効果ありそうですよね。 

もしもの時のために日頃から伝える「NO・GO・TELL」

また、親の目が行き届かない場所で子どもを性被害から守るために、子ども自らが危険な状況を判断して避けられるようになるのも大切なこと。

そのためには、近づいてきた人物に対して、怖い、不安、腹が立つ、痛い、悔しい、そんな思いをしたらNO(はっきりと拒否)、GO(逃げる)、そしてTELL(信頼した大人に話す)! 

たとえ相手が顔見知りだとしても、自分がされたくないこと、不快なことをされたなら、遠慮なく嫌だ!と言っていいのだと。NOとはっきり言えることが防犯にも繋がり、NOと言える自分自身や、意見が違う相手を、尊重できる人間に育っていくのだと教えてくれています。

性教育は、自己肯定できる人間を育てるということ

どうです? これら全て3歳から教えていける、れっきとした性教育なんです。ほんの入り口を知るだけでも、イメージが少し変わってきませんか。

日々の子育てとこんなにも深い関係があったなんて! これなら幼い我が子相手でもスタートできる、むしろスタートすべきだと思えます。

子どもにしっかり愛情を伝え、一人の人間として尊重する。それが性教育に大きく関わってくる。こう考えると、性教育とは子育てのもっとも重要な部分、いや、人間育てのような壮大なプロジェクトのように思えるのは言い過ぎでしょうか。

そもそも生命の誕生に大きく関わってくるお話ですし、生きていく上で最重要の一つだということは言うまでもないです。こう考えると、いやらしいこと、タブーなこと、恥ずかしいこと、そんな特別視する考えはとても未熟だと思えます。

親が性の話をひた隠しにするから、子どももネガティブに捉え、誰にも相談できずに性的トラブルに巻き込まれてしまう。また、いずれ自分の身体の変化、性への目覚めが来た時に、自己肯定ができずに悩む。となったらなんだか切ないですよね。

性について知る、自分の身体について知る、そうすることで自分を受け入れることができるなら、親がむやみにストップをかけてはならないなと。言わば人間として知る権利のひとつなのかも、と思うのです。

著者も性教育という部門はこれからの世の中を生きていく人格を育てるのに必須の教養、知性だと言っています。性のお話は、もっと表舞台で明るい話題として取り上げられるべきものだと、初心者ながら思ったわけです。

歪んだ性の感覚を持つ前に、しっかり正しい性の知識を!

今やインターネットが普及する超情報社会。自分たちが子どもの頃より何倍も性についての情報が入ってきやすい環境に生きる今の子どもたちが、昔の私たちと同じように自然に身を任せて性の知識を得ていったとしたら。

本書には、世にあふれる性の情報は「妄想」であり「ファンタジー」だと書かれています。ゆがんだ性の感覚を持つことになるんですね。正しい知識を持たない状態で性行為への好奇心が膨らむことが危険だと。すごく説得力ありますよね。

幼児期から少しずつ正しい知識を与えてあげるのは、むしろ親の愛だったんですね。

冒頭でお話した、長男が借りてきた本。

『いいタッチわるいタッチ』(だいじょうぶの絵本)
(著:安藤由紀 復刊ドットコム刊)
子ども自身が“自分を守るために大切なこと" を学べる絵本。

『いいタッチわるいタッチ』というかわいい犬の表紙の絵本なんですけど、本書『おうち性教育』を読んだ後に改めて読み返してみたら、なんて優しく的確に子供に伝わりやすい言い回しで大切なことが書かれている本なんだろうと思えました。

あたふた読み聞かせた自分が情けない。そう思えたのもこの本のおかげですね。まさに、十分な性教育を受けてこなかった私たち大人世代が読んで学ぶべき本です。

ぜひ、本書で性教育への苦手意識をなくしてみてください。個人的には、その後この絵本を子どもに読み聞かせてみるのもオススメです!

寄稿家紹介

筒井裕子 つついゆうこ

つついゆうこ ViVi、FRaUなどの女性誌出身ライター。小二、年中、2歳の3児の子育てに奮闘中。