夢の音楽家になれ仕事一色だった人生を変えた結婚&出産

その後、関西フィルハーモニー管弦楽団との共演や情報番組のテーマ曲を演奏するなど、順風満帆な音楽家人生を歩む松尾さん。音楽家として活動するなかで、仕事に対する意識が変わったのは結婚をしたタイミングだったと語ります。

「結婚するタイミングで、“夫婦の時間”を大切にしたいと思うようになりました。お仕事に関しても、自分だけの主観的な意見ではなく、夫婦で考えて向き合うようになったと思います。

ありがたいことに子宝に恵まれたときは、気持ち的には育児への準備は万端でしたね。31歳とやや晩婚でしたし、充分に自分のことをやってきた年齢でもありましたので。『子育てをしっかりしたい』という気持ちが強かったため、事務所と相談しながら、子どもが小さいうちは無理をせずに働かせてもらっています。現在は、子育てを軸に仕事などそれ以外のことを足していく感じですね」

仕事よりも家庭に比重を置くことに決めたという松尾さんですが、そこに至るまでにはご自身の幼少期と比べて葛藤した時期もあったといいます。

「周りの友人たちに会うと、出産によるキャリアの中断というのが自然と会話のテーマになってきます。出産してすぐにフルで仕事に復帰しようと思っても、なかなか実現はできないんですよね。働くのをセーブしたり、在宅ワークに切り替えたりという友人もいて、みんな苦労しています。思い描いていたキャリアと子育ての両立ができている人はなかなかいないかな。

私は自分の母が専業主婦でほとんどの時間を子育てに捧げてくれていたので、子どもにそうしてあげたいという想いもありつつ、仕事をしたいという気持ちもあって。以前はモヤモヤすることもありましたが、『仕事をしている分、一緒にいてあげられない……』とマイナスに考えるより、『ポジティブにとらえよう。そういうお母さんだから見せられる姿もあるはず』とちょっとずつ思えるようになりました」

松尾さんがワーキングママという選択肢を前向きに考えることができるようになったのには、ご主人とご家族の協力が不可欠だったといいます。

「夫婦ではよく会話をするように心がけています。ルールとして決めたわけではないですが、『最近、状況はどう?』とお互いに声をかけ合うのが自然と習慣になっていますね。意思疎通がとれないとすれ違いにつながると思うし、夫婦だから言葉にしなくてもわかりあえる、なんてことは絶対にない。なので、コミュニケーションをとる時間はとても大事なんです。彼は仕事人間ですけど、子どもが生まれてからは『家庭面で無理がないように協力し合おう』と言ってくれています」

松尾さんは、子育てを見越してご主人のご両親と二世帯住宅への引っ越しを決意。ワーキングママだと子どもに寂しい思いをさせてしまうこともあるので、両親のほかにも祖父母など周りに気にかけてくれる大人がいてくれることが心強いと話します。そのために家族間でのコミュニケーションをとても大事にしているそうで、その結果、現在(21年7月)3歳を迎えた娘さんはとても社交的に成長されたと言います。次回は、ご自身が実際にされている育児と仕事の両立について伺います。

「義父母がいてくれると、なにかあるときに預かってくれたり、遊んでくれたりするので、心強いですね」。  写真:小林岳夫

取材・文/柳未央(シーアール)


※松尾依里佳さんインタビューは全3回。次は21年8月5日8:00〜公開です(公開日時までリンク無効)。
【第3回】「一日中歌って語り育てた娘は2歳でヴァイオリンが宝物」

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まつお えりか

松尾 依里佳

まつおえりか ヴァイオリニスト、タレント。大阪府出身。1984年1月14日生まれ。4歳よりヴァイオリンを始め、これまでに工藤千博氏に師...

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