2021.01.18

「3歳の男の子。集中力を付けさせたいです」子育て相談 モンテッソーリで考えよう!

第5回

著者:田中 昌子

子育て中は、日々、悩みや困りごとがありますね。そこで、「モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所」所長で、たくさんのお母さま、お父さまの相談にのってこられた田中昌子先生にお話をお伺いしました。ちょっとした工夫で、子どもたちに大きな変化が起こるモンテッソーリの考え方は、目からうろこが落ちることがいっぱいです。子育て中の人、必読です!

※この記事は、講談社絵本通信掲載の企画を再構成したものです。

集中力を付けさせる方法はありますか?

3歳11ヵ月の男の子です。いつも落ち着きがなく、集中力がありません。何かを始めてもすぐに飽きて投げ出し、最後までできた試しがなく、食事中もよそ見ばかりして、いくら注意しても食事に集中できません。将棋の藤井聡太四段はモンテッソーリ教育を受けて集中力を育てたとありましたが、何をさせればあのような集中力がつくのでしょうか?

藤井聡太四段をきっかけに、モンテッソーリ教育が注目を集めるようになりました。藤井四段は、幼少期にハートバッグという手作りの編み込みバッグ作りに夢中だったと新聞で報じられ、ネット上には、ハートバッグの作り方がアップされたりしています。「うちの子も作れました!」と続々報告も寄せられましたが、残念ながら同じものを100個作らせても、集中力がつくわけではありません。

集中は、モンテッソーリ自身も「すべての教育の鍵がここにある」と述べているほど重要なことです。そして集中を促すためには、さまざまな配慮が必要だということを研究から発見しています。

まず必要なのは、子どものために整えられた環境です。子どもが日頃どれほど不自由な暮らしをしているのかを理解するために、私たちが巨人の国に突然連れていかれた状況を想像してみましょう。
身の回りにある何もかもが大きすぎて、手が届かなかったり、重くて動かせなかったり、いちいち助けを呼んでやってもらわなければならないとしたら、どうでしょうか。集中どころか、やってみたいという気持ちも失せてしまいますし、自分の無力さがみじめですね。

また巨人たちは、美しく魅力的な品物を使っているのに、自分にはみすぼらしい安物しか与えられなかったら、とても悲しいですし、注意深く大切に扱おうとは思わないでしょう。

ですからモンテッソーリ教育では、すべてのものが子どもサイズであることはもちろん、自分で移動できるように軽く、子どもが扱いやすいものを吟味して、子どもが生活する環境に準備するのです。明るい色で統一するのは、汚れやシミにすぐに気づけるようにするとともに、「私を使って!」と子どもに「もの」が呼びかけるようにするためでもあります。さらにガラスや陶器といった本物を使うことで、子どもは真剣に集中してそれらを扱おうとするようになります。

やってみたくなる明るい色の環境

低年齢でも本物を(フラワーアレンジメント)

モンテッソーリ自身がデザインした椅子

子どもの敏感期に合った適切な活動をする

次に必要なことは、敏感期に合った適切な活動です。敏感期というのは、環境の特定の要素に対して、特別に敏感な感受性を発揮する、ある限られた時期のことです。

モンテッソーリは子どもを観察することで、子どもにはさまざまな敏感期があることを発見しました。第2回では秩序感についてお伝えしましたが、ご相談の3歳11か月の子どもでしたら、感覚の敏感期(特に感覚を洗練させること)と運動の敏感期(獲得した動きを調整すること)です。

特に家事には興味を持って取り組めることがたくさんありますから、料理、掃除、洗濯などができるような活動を準備して、第4回でお伝えしたような提示をしてあげるといいでしょう。

繰り返し包丁で切る 3歳

田中昌子先生監修のロングセラー。豊富なイラストで、どういった準備が必要か、どのように動きを見せればよいのかが、細かく解説してあり参考になる。

『親子で楽しんで、驚くほど身につく! こどもせいかつ百科』  監修:田中昌子   講談社

子どもがやりたいと思い、自分で始めることがもっとも大切

そして何より大切なのは自由選択です。ご相談の中に「何をさせれば」とありましたが、そもそもここが違っています。

子どものために何かしてあげたいと熱心な人ほど、良かれと思ってあれこれさせてしまうことがあります。でも、大人が強制的にさせるのではなく、子どもが自分自身でやりたいと思い、自分で始めることがもっとも大切です。子どもは自ら選んだことだからこそ、全身全霊をかけて取り組めるのです。

モンテッソーリ教育では、いつも子どもが出発点です。大人がやらせたいことではなく、子どもが何をやりたいのかをよく観察して準備しましょう。自分の成長に何が必要なのかは、子ども自身が一番よく知っているのです。

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