「3歳4ヵ月です。お箸がうまく持てません」子育て相談 モンテッソーリで考えよう!

第15回

モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長:田中 昌子

子育て中は、日々、悩みや困りごとがありますね。そこで、「モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所」所長で、たくさんのお母さま、お父さまの相談にのってこられた田中昌子先生にお話をお伺いしました。ちょっとした工夫で、子どもたちに大きな変化が起こるモンテッソーリの考え方は、目からうろこが落ちることがいっぱいです。子育て中の人、必読です!

※この記事は、講談社絵本通信掲載の企画を再構成したものです。

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(イメージ写真/photoAC)

お箸がうまく持てません

3歳4ヵ月の男の子です。最近、幼稚園に通うようになり、お弁当が始まったため、お箸を使いたがるのですが、グーで持ったり、バッテンになったりして、まだうまく持てません。お箸は何歳から持てるようになるのでしょうか? 
恥ずかしながら、実は私も持ち方がおかしいので、上手に教える自信がありませんし、練習のしかたもわかりません。
持ち方をきちんとするために、指を入れるリングなどがついたしつけ箸やトレーニング箸を使ってもいいでしょうか? そういったお箸ならすぐにつかめるようになると聞きましたが、普通のお箸に移行するときに苦労するということもあるようで、迷っています。
モンテッソーリ教育ではこういったものを使うことについて、どのように考えていますか?

お箸と鉛筆の持ち方については、3歳以降のお子さんをお持ちの方から多くのご質問をいただきます。
鉛筆については、第10回で筆記具を持って書くに至るまで、たくさんの準備があるということをお伝えしましたが、お箸についても同じです。
お箸と鉛筆の持ち方は、ほぼ共通していますが、お箸の方が2本を別々に動かすため、子どもにとっては難しいものです。

「箸の上げ下ろし」という慣用句があるほど、昔は、どの家庭でも口うるさく言われました。しかし、最近は、質問者さんのように大人でもきちんと持てない、教える自信がないという人が増えているようです。
でも、お箸は日本の文化であり、また食という生きることにもつながる大切なものですから、できれば上手にお子さんに伝えてあげましょう。
お箸をいつ頃から使えるかというのは、年齢よりも手の準備ができているかがポイントです。
以下の2つをチェックしてみて下さい。

1 親指・人差し指・中指の3本がしっかりしていること
大人用の洗濯ばさみや、少し固めの竿ばさみがしっかりと楽に開閉できるかどうか、挟んだり外したりができるかどうか、実際にさせてみましょう。
指の力が弱いと挟めなかったり、引っ張ってはずしてしまったりします。

2 親指・人差し指・中指の3本が分化して動くこと
お箸を正しく持つためには、薬指と小指を曲げた状態で、他の3本指を伸ばせることが必要です。
まず、チョキがしっかりできて、グーとチョキを素早く交互にできるかどうか試してみて下さい。
それができたら、チョキの状態から親指も伸ばしてみて下さい。

以上ができれば、お箸の練習を開始することが可能です。
2歳半からできる子もいれば4歳でも無理という子もいますので、年齢はあまり目安になりません。

お箸を持つための前準備

もし、できない場合には、お箸の練習をさせてもうまくできないか、時間がかかって嫌になることが多いので、まずは手の準備をしましょう。
これまでずっとお伝えしてきたように、モンテッソーリ教育では、手を使うことが人格の形成につながると考えていますので、ごく幼い時から手を使うお仕事をたくさん準備します。引っ張る、つまむ、入れるといったことは1歳児のお仕事として豊富なバリエーションがありますし、3本指を使うものであれば、どのようなものでもかまいません。家事の中にたくさん見つけることができるでしょう。

お箸に直接つながるのは、トングやピンセットでの空け移し、洗濯ばさみや竿ばさみを使うお仕事です。また、つまみのあるパズルや、豆や小さいものをつまんで落とす、といったことも効果的です。
こうしたことで手の準備が十分に整ってからお箸を持たせれば、あまり苦労せずにきちんと持てるようになります。

竿ばさみを開く 1歳2ヵ月
洗濯バサミを開く 1歳8ヵ月
大きい洗濯ばさみも開ける 2歳6ヵ月

親子でリズミカルに動かす

お箸の練習や使い方については『親子で楽しんで、驚くほどよく身につく! こどもせいかつ百科』p24~25ページにものっています。3本指を自在に動かせるようになるだけではなく、それを支える手首もしっかりしていなければなりません。そのためには、お箸はいきなり2本持たせず、まず1本を持って上下に動かす練習をしておきましょう。

1本ずつ持ったら「1、2、3,4」と数えながら、親子で一緒にリズミカルに動かすと、あっという間に終わります。10までを2回、つまり20回ずつ朝晩やっていると、かなり手首がしっかりしてきますし、動かすことが上手になります。
振り幅が大きくなるまでぜひ取り組んでみて下さい。

振り幅が大きくなったら、初めて2本目をその下に入れます。お箸は下の箸を動かさないで、上の箸だけを動かすことで、先端が閉じて細かい物でもつまめるようになるのです。
最初はぼん天(ポンポンボール)など、つまみやすいもので練習しておくといいでしょう。

箸で、ぼん天(ポンポンボール)をつまんで、分ける
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