「保護者の性教育」「性教育の絵本」 思春期保健相談士の厳選4冊
助産師・思春期保健相談士の田中まゆ氏に聞く「子どもの性の困った!」#2〜性教育のおすすめ絵本〜
2022.04.21
助産師・思春期保健相談士:田中 まゆ
ネット書店を検索するだけで大量の「性教育関連本」がヒットし、切り口も、絵本、図版、海外の知見など実にさまざま。書店にも性教育のコーナーができたり、ニーズの高まりが分かります。
しかし、選択肢が多い分、どれを選んだらいいか悩んでしまう人もいることでしょう。
助産師で思春期保健相談士の田中まゆさんに、子どもに読み聞かせできる絵本やパパママが性教育の知識を得られる書籍を紹介していただきました。
※全3回の2回目(#1を読む)
「性教育は恥ずかしくて無理!」なら家に絵本を置くだけでいい
子どもへの性教育の必要性を感じていながらも、「性について話すのは恥ずかしい」と、ついためらってしまうパパママの気持ちもわかります。どうしたらいいのでしょうか。
「私は親御さんが家庭で性教育をするのはいいことだと思いますが、絶対にやらなければならないものではないと考えています。
『自分の口から伝えるのは恥ずかしくて無理』という親御さんの場合、性教育に関する絵本を家に置いて子どもが自由に読めるようにしておき、子どもが自分自身で正しい知識にたどり着くのでもいいと思っています。
性教育で大切なのは、性をタブー視しないことです。家に性教育の絵本を置くのは、性をタブー視していないと暗に伝えていると言えます。子どもが何か困ったことがあったときに、親に相談できる環境が整えられるのではないでしょうか」(田中さん)
親も知識を得るためのおすすめ性教育本4冊
保護者が性教育の新しい知識を得るためのおすすめ書籍2冊と、家に置いておき、子どもが自由に読んだり、親子で読み聞かせする際におすすめの性教育の絵本2冊を田中さんに紹介してもらいました。
1:『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』
「まず1冊目は、親御さんが今の性教育を知るためにおすすめしたい『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』です。
性教育の本の中でも代表的な一冊で、子どもにどう性教育をすればいいのかが漫画で描かれているので、とても読みやすいです。あらゆる内容が網羅されており、性教育の認識が変わると思っています」(田中さん)
2:『みがまえなくても大丈夫!性教育は、こわくない』
次に紹介するのは、田中さんと産婦人科医の山分ネルソン先生との対談を収録した『みがまえなくても大丈夫!性教育は、こわくない』です。幼児期からの性教育が必要な理由や伝え方のポイントをわかりやすく知ることができます。
「親御さんの中には、『性教育をいつからどうやって始めたらいいのか』と悩まれる方もいます。しかし、考えすぎるあまり、踏み出すタイミングが掴めなくなってしまうことも。
『身構えずに、まずは一歩踏み出してほしい』というのが、本書でもっとも伝えたい部分です」(田中さん)
続いては、子どもと読み聞かせる絵本を2冊挙げてもらいました。
3:『だいじ だいじ どーこだ?』
「3冊目は、産婦人科医の遠見才希子先生の絵本『だいじ だいじ どーこだ?』です。『自分の体は自分だけの大切なもの』という性教育の原点を子どもに伝えられ、プライベートゾーンや同意について学ぶことができます。
とても簡単な言葉で描かれているので少し言葉が分かりだした1歳頃からでも繰り返し使えるでしょう。セックスの描写はないので、性教育の絵本を初めて手に取る人も抵抗なく読めると思いますよ」(田中さん)
4:『おちんちんのえほん』
「4冊目の絵本は、『おちんちんのえほん』です。特別男の子向けというほどでもなく、男の子と女の子の体の違いやプライベートゾーン、防犯、出産など性教育のテーマが一通り網羅されています。
セックスに関する直接的な描写はありませんが、妊娠についても描かれています。この絵本を読み聞かせるだけでも、親御さんも性教育の知識を得られますし、3歳頃から読んであげたら良いと思いますよ」(田中さん)