2021.10.16

なんで雨が降るの? 子どもの素朴な「天気の疑問」にどう答える?

気象予報士・増田雅昭さん「子どもに伝える お天気の不思議」#2

雨が降るメカニズムが分かると、雨の日が少し楽しみになるかも。
写真:アフロ

ときに大人を悩ます、子ども素朴な疑問。あなたはお子さんに「なんで雨が降るの?」と聞かれたら、何と答えますか? 

小さい頃は「お空が泣いているんだよ」でも素敵ですが、大きくなってきたらできるだけ科学的に答えてあげたいですよね。

生活に密接しているけど、詳しいメカニズムは知らない人も多い「天気」。子どもからの素朴な疑問に答えられるよう、気象予報士の増田雅昭さんに教えてもらいます。

増田さんはTBSテレビ・ラジオ等で活躍中で、子ども向けのお天気出前授業や実験イベントなども行っているお天気の専門家。

第2回目は、雨が降るメカニズムや子どもへの伝え方について、わかりやすく教えてもらいました。(全4回の2回目/#1#3#4を読む)

雲ができて、雨が降るメカニズムって?

雨は雲から降ってきますよね。では、雲はどのようにできるのでしょうか。
まずは親が雨が降るメカニズムを知ることから始めましょう。

記事の最後に、年長さんから小学校低学年くらいの子どもを想定した、雨が降る理由の説明をしますから、そこまでついてきてくださいね。

空気は目に見えない水分、つまり水蒸気をたくさん含んでいます。その水蒸気は冷やされると目に見える水に変わります。

たとえば冬の結露は、窓付近の空気中の水蒸気が外の冷気で冷やされて、水滴になって窓にくっついたものです。夏に、冷たい飲み物を入れたグラスの表面に水滴がつくのも同じ仕組みです。

さて、地球を包んでいる空気(大気)の温度は、基本的に上空に行けば行くほど下がります。ですから水蒸気を含んだ空気が上に昇っていき、上空で冷やされると、水蒸気が目に見える水滴に変わります。さらに高いところは気温がかなり低くなって氷点下になるので、水滴は氷の粒になります。こうしてできた水滴や氷の粒の集まりが雲なのです。

水蒸気を含んだ空気が上昇気流で運ばれ、上空で冷やされて水滴になる。この水滴の集まりが雲の正体。

そして水滴や氷の粒がどんどん増えて分厚い雲になると、下から雲を押し上げていた上昇気流が支えきれなくなり、落ちるしかなくなって、雨や雪として降ってきます。

ちなみに日本では、真夏以外、上空は氷点下になっていることが多いので雲は氷の粒でできています。だから落ち始めは雪なのですが、地上に届くまでに溶けて雨になります。

雲ができやすいのはどんなとき?

では、どんなときに雲ができやすいのでしょうか? 空気が上空に持ち上げられるのは、次のような場合です。

1.風と風がぶつかって、行き場がなくなると上に行く。
2.空気は暖かくなるほど軽くなるので、温度が上がると上に行く。
3.風が吹いて空気が山などにぶつかり、行き場がなくなると上に行く。
4.「前線」付近で上に行く。

4の「前線」とは、「目に見えない空気の壁」と言われ、冷たい空気(寒気)と暖かい空気(暖気)がぶつかる場所のこと。温暖前線や寒冷前線などの言葉を、天気予報で聞いたことがあるでしょう。

寒気と暖気は仲が悪く、ぶつかっても混ざらずに上に逃げるので、上昇気流が起こります。

寒気と暖気はぶつかっても混ざらずに暖気が上に逃げるので、上昇気流が起こる。

このようにして、何らかの理由で空気が上空に昇ると、その空気に含まれていた水蒸気が冷やされることによって雲ができます。

雨雲はどうして黒いのか?

雲ができても、必ず雨が降るとは限りません。明るく白っぽい雲と、重く垂れ込めた黒っぽい雲では、後者のほうが降りやすいのは知っていますよね?

雲が黒っぽく見えるのは、雲が厚くなって陰ができているから。

例えば1枚の白い紙を太陽にかざすと、光が透けて白く見えるでしょう。
でも紙を100枚重ねて太陽にかざせば、光を通さずに陰になって黒っぽく見えますよね。

それと一緒で、水滴が増えて雲が分厚くなると、太陽の光が通らなくなって黒っぽく見えるのです。

それだけ水滴があるわけなので、こうなると、「そろそろ降るな」というわけです。

雲が黒っぽく見えたら、もうすぐ雨の降るサイン。
写真:アフロ

雨が降る仕組みを子どもに説明するには

では、年長さんから小学校低学年くらいの子どもを想定して、雨が降る仕組みを説明してみましょう。

「雨は雲から降ってくるよね。だからまず雲のでき方から説明するよ。空気には、目には見えないけど水の粒がいっぱい入っているんだ。それを水蒸気というよ。

寒い日の朝に、窓に結露っていう水滴がつくことがあるよね。これは家の空気の中にある目に見えない水蒸気が、外の寒さで冷やされて、目に見える水滴になって窓にくっついたものなんだ。空気は冷やされると水滴が出てくるんだよ。

それでね、空の上は、この地上よりとても寒いんだ。だから地上の空気が空に昇っていくと冷やされて、水滴がどんどん生まれて、それが集まると雲になるんだよ。そして雲が大きくなると、浮かんでいられなくなって水滴が落ちてきちゃう。これが雨なんだよ」

年齢によってはまだ理解は難しいかもしれませんが、「空気が空に昇っていって雲ができて雨として降りてくる」というサイクルはなんとなくわかってもらえるのではないでしょうか。

生活体験と気象現象を結びつけてみて

さらに、お子さんの生活体験と結びつけて補足してあげると、より理解が深まり、興味が広がるでしょう。

たとえば、「地上の空気が空に昇っていく」という部分は、「空気は暖まると上に昇っていくよ。だから暖房の暖かい空気は部屋の上のほうに溜まるんだよ」と伝えると、「今度、エアコンをつけたら確かめてみよう」と興味が広がるかもしれません。

また、霧(きり)が出たときには、「霧と雲は同じもの」ということも、ぜひ教えてあげてください。水蒸気が目に見える状態になって、空にあれば雲、地上にあれば霧です。山登りをして「霧が出てきた」と思ったら、実は雲の中に入っている、ということも多いんですよ。

取材・文/片桐はな

ますだ まさあき

増田 雅昭

ますだまさあき 気象予報士。株式会社ウェザーマップ所属。TBSテレビやラジオ等に気象キャスターとして出演中。企業へのオーダーメイド予報...