本当に気になる育児の悩み「ママにべったりでなかなか離れてくれない。このままで大丈夫?」

子育てお悩みランキング12を多角的に検証! 第1回 高祖常子先生/瀧靖之先生

げんき編集部

本当に気になる子育ての悩み
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げんきの子育てQ&A記事PV数ランキングトップ12を多角的に検証!

WEBげんきで過去に掲載した「子育てQ&A」のPV数トップ12にランキングした“ママ・パパが本当に気になっているお悩み”に、専門家2名が改めて詳細に回答します。

悩みの多い育児の中でも、“本当に気になっている悩み”12に絞り、それぞれを多角的に詳細に検証していくシリーズ連載です。
今回のお悩み

「ママにべったりでなかなか離れてくれない。このままで大丈夫?」
子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生と、脳科学者で、東北大学加齢医学研究所 教授の瀧 靖之先生がお応えします。

まずは、子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生の回答からご紹介します。
高祖常子先生

ママにべったりするのは不安なとき

最初にお伝えしたいのは、無理に離しては絶対ダメ、ということです。ママにべったりする理由は、不安だから。おそらくべったりするのが気になるシーンは、ほかの人がいるシーン。例えば、子育て広場や、友達や親戚の子どもと遊ばせようとするシーンなどが多いのではないでしょうか。

それも、24時間べったりしているわけではなく、おうちの中では結構自由にやっているのに、そういう場所に行くと急に「抱っこ、抱っこ」となってしまうとしたら、その理由はやはり不安だからだと思います。

もちろん、これには個人差があって、新しい環境で、「初めての場所だ、うれしい」とすぐに溶け込んでしまう子も入れば、「ここはどんな場所なんだろう」と慎重になったり、「ここは本当に安全な場所なのだろうか」と不安になったりする子もいるはずです。
初めての場所では「ここは安全な場所なんだろうか」と子どもも不安

同じ場所に通ってママが一緒に遊ぶ

ですからそんなときに、無理に離してはいけません。少しでも安心したいからママにくっついているので、離されたら余計に不安になってしまいます。そんなときは、「なにかしらこの子は今不安に思っているんだな」と受け止めて、くっつかせておきましょう。

抱っこしてあげて、安心したら、降りていろいろ探索にいくこともあります。でもそれも、ママ・パパがちゃんと見ていてくれるかな? と振り返りながら少しずつです。そんなときに、ママ・パパが「大丈夫だよ」と笑顔で見てくれていると、それが子どもの背中を押してくれます。

また、週に何度か「子育て広場」などに通っているうちに、少しずつ慣れて、ママから離れて遊ぶようになる子もいます。ママから他の子に話しかけたり、「このおもちゃなんだろうね。遊んでみようよ」と声をかけて一緒に遊んでいれば、「ここは安全な場所なんだ」「このおもちゃで遊んでいいんだ」と理解して、自然にお友達にも興味を持つようになりますよ
「安全な場所だ」と理解できれば周辺の子どもにも興味が湧いてくる

子どもの行為は、「どういうときにそうなるのか」を観察を

人は安心できてはじめて、ほかの刺激を求めるもの。そこではじめて、ちょっと冒険に出る力が湧いてくるのです。

もちろん、何かほかに理由があるお子さんもいるかもしれません。ですから、そういう状態が気になるときは、ぜひ、「どういうときにそうなるのか」よく見てあげてください。行動をよくよく見ていると、なんとなく理由が伝わってくるものです。

それから、子育て広場などに連れて行くときは、なるべく同じ場所に行くなど、ある程度ルーティーンにしてあげるのがおすすめです。大人だって、毎朝のルーティーンとか、なんとなく同じ習慣をすると落ち着くところがありますよね。

乳幼児の場合は特に、同じことを繰り返しているほうが安心します。絵本も、飽きるくらい同じ絵本を読んでほしいと言ってきませんか? 遊び場も、毎日違う場所に行くよりも、同じ場所で、くるお友達も同じようなメンバーのほうが安心するはずです。

「パパをいやがってママにべったり」のバージョンの場合は

「パパ嫌っ子」の対処法とは?
あと、ママにべったりで、パパが抱っこすると必ず泣いてしまうお子さんもいますよね。残念ながらそれはたぶん、パパとの関わりが少なくて、安心できる場所だと認識していないからです。そういったときはやっぱりパパとの時間を増やしていくこと大切です。ママにお気に入りの遊びを教えてもらうなどして、子どもの楽しく遊べる時間を増やしていきましょう。

大人同士でもそうですが、「この人は安心できる人なんだ」という信頼を勝ち得ていくということです。

でも、そうやって日頃遊んでいるパパでも、「眠くなるとママでなければダメ」といったケースもありますよね。これはもう動物的な本能というか、人間は寝ると非常に無防備になるため、本当に安心できる場所でしか寝られないわけです。それで、どっちが安心かというと、ママのほうが安心だということです。

ただ、例えばママが仕事を再開するなどで、ママも疲れてしまって、「ママじゃないと眠れない」と、困ることもあると思います。入眠儀式と言いますが、寝るときの段取り(例えばお風呂に入ったら、布団のところに行って、絵本を読んで眠るなど)をそろえることも大事です。パパもぜひ同じ流れでやってみましょう。
ママが外出して、パパが寝かしつけする日を作ろう

成功体験を重ねてパパに自信を

寝るときにママがいない日をつくるのもおすすめです。ママがいるとどうしても「ママー!」となってしまうので、多少は泣いてしまうかもしれませんが、いなければパパがどうにかします。それが泣き疲れたからであっても、最終的には寝るわけです。

まずは、そうやってパパが「俺でもどうにかなった」という成功体験を重ねることが大切です。人生にはさまざまなことが起こりえますよね。ママの親が急に病気になって、しばらくサポートしなければいけないとか……。そんなときにも、パパに安心してバトンタッチできる状況をあらかじめ作っておいたほうがいい。だからパパにも普段から練習しておいてもらいましょう。

たとえなにか特別なことが起こらないとしても、ママも(パパも)、月に1~2回、2時間でもいいからスケジュールを調整して、一人の時間を作るのがおすすめです。ママは、たとえ子どもがお昼寝していても、「ずいぶん寝ているけど息しているかな?」とか、つねにお子さんに向かってアンテナを張っているからです。

だから、物理的に子どもと離れ、リラックスする時間をちゃんととる必要があるのです。そのためにもぜひ、パパだけでも育児を担当できるようにしておきましょう。
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