本当に気になる子育ての悩み「子どもが泣くとイライラしてつい怒ってしまう」

子育てお悩みランキング12を多角的に検証! 第7回 瀧靖之先生/高祖常子先生

ライター:笹間 聖子

本当に気になる子育ての悩み
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げんきの子育てお悩みランキングトップ12を多角的に検証!

WEBげんきで過去に掲載した「子育てQ&A」のPV数トップ12にランキングした“ママ・パパが本当に気になっているお悩み”に、専門家2名が改めて詳細に回答します。

悩みの多い育児の中でも、“本当に気になっている悩み”12に絞り、それぞれを多角的に詳細に検証していくシリーズ連載です。
今回のお悩み

「子どもが泣くとイライラしてつい怒ってしまう」
脳科学者で、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生と、子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生がお応えします。

まずは、脳科学者の瀧靖之先生の回答からご紹介します。
瀧靖之先生

子どもが小さな時期にイライラするのは当然のこと

子育ては子どもが小さければ小さいほど、親にとってはつらい時期ではないでしょうか。ぐっすり眠れないし、さまざまな制約がある中で、子どもはすぐに泣いてしまう……。

どんなに神様みたいな心を持っている保護者でも、こんな状態で全くイライラしない方は、ほとんどいないのではないかと思います。
ママ・パパは毎日大変!
幸せだけど追い詰められていて、追い詰められているけど幸せ。どこのご家庭も子どもが小さいうちは、きっとそんな状況ではないでしょうか。

イライラするのはごく普通のことで、ママやパパが「自分はダメな人間だ」と卑下する必要は全くありません。

つい怒ってしまったとしても、それはある程度は仕方がないことだと受け止めましょう。
怒っている以外の日常に、愛情をたっぷり注いで
それよりも大切なことがあります。それは、怒っている以外の時間に無償の愛をたっぷりと注いであげることです。

普段からできるだけギュッと抱いて、温もりを感じさせて愛情と信頼を育むことが、子どもの脳と心身の発達に大きく関わってくるからです。

親の愛情は、脳の発達の大切な土台

人間の脳の「見る」「聞く」「温もりを感じる」センサーのような部分は、生まれてすぐから発達します。

生後半年~2歳くらいになると言語に関わる領域が伸びていき、3歳ごろからは運動に関わる領域が伸びます。さらに「前頭前野」と呼ばれる社会性に関わる領域も伸びていきます。

このように著しく発達が続いていく時期において、愛情は全ての土台になるのです。これは、多くの医学、心理学等の研究から分かってきたことです。
生まれてすぐから、子どもの脳は猛スピードで発達していく
怒ってしまうことは仕方ないのですが、手を出したり、虐待につながりかねないくらい怒鳴ってしまうと、脳や心身の発達に影響が出る危険性があるとさまざまな研究から言われています。その点はちょっと注意が必要かもしれません。

まずは、イライラして怒ったあとに、できるだけ早くギュッと抱いてあげることが大切だと思います。

褒めてやさしく育てるのか、厳しくしつけて育てるのか?

子育ては褒めてやさしく育てるのか、厳しくしつけて育てるのか、どちらがいいと思われますか? いつの世にも言われている永遠の課題ですよね。

これについて面白い研究があります。結果として分かったのは、「どちらも大事」だということです。
がんばった成果が出たら、愛情を込めて褒める
例えば、何かに一生懸命取り組んで成果が出たときには褒めてあげる。しっかり愛情をかけて、やさしく包んであげることが大切です。

一方で噓をついたり、物を隠したりと社会的なルールに違反したときはきちんと怒って、厳しく伝えてあげることも大切なのです。

つまり、子どもの行動や態度に合わせて適切に対応することが、子どもの自己肯定感を高める上で重要だと分かってきているのです。

最も注意すべきは、無視やネグレクト

反対にどういう育て方が一番子どもに良くないかと言いますと、「褒めもせず、怒りもせず」という態度です。これが最も子どもの自己肯定感を下げる原因になってしまいます。

虐待の研究においても、一番良くないのはネグレクトだと言われています。なぜなら人間は、社会で生きていく中でコミュニケーションが成立していると安心する生き物だからです。

お互いに共感し合い、怒るときは怒るけれど、それでも気持ちを理解し合いながら生きることが重要なのです。そのため無視をしたり、突き放すことは一番良くありません。
無視や放置が最も自己肯定感を下げてしまう原因に
続いては、子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生の回答をご紹介します。
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