本当に気になる子育ての悩み「泣いたり叫んだり、感情の起伏が激しい子どもにはどう対応するべき?」

子育てお悩みランキング12を多角的に検証! 第9回 井澗知美/高祖常子

ライター:笹間 聖子

本当に気になる子育ての悩み
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げんきの子育てお悩みランキングトップ12を多角的に検証!

WEBげんきで過去に掲載した「子育てQ&A」のPV数トップ12にランキングした“ママ・パパが本当に気になっているお悩み”に、専門家2名が改めて詳細に回答します。

悩みの多い育児の中でも、”本当に気になっている悩み”を12に絞り、それぞれを多角的に詳細に検証していくシリーズ連載です。
今回のお悩み

「泣いたり叫んだり、感情の起伏が激しい子どもにはどう対応するべき?」
大正大学心理社会学部臨床心理学科教授で、公認心理士・臨床心理士の井澗知美先生と、子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生がお答えします。

まずは、大正大学心理社会学部臨床心理学科教授で、公認心理士・臨床心理士の井澗知美先生の回答からご紹介します。
井澗知美先生

スーパーに寝転がる前と後の「親の行動」を変える

当たり前の話ですが、感情の起伏が激しい子もいれば、おとなしい子もいます。それは気質の違いです。親はその子の気質にあった対応をしていきましょう。

例えば、「スーパーで欲しいものを買ってもらえずに、床に転がって泣き叫ぶ」ということであれば、その行動の「前」か「後」を変えます。

「前」を変えるなら、そもそもスーパーに連れていかないことです。毎回そうなるんだったら、もうスーパーには行かない。行かないのが無理なら、買うものを決めておいてさっさと出るとか、週末に家族に子どもを見てもらって、一人で買い物に行くのもいいかもしれません。

「子どもをスーパーに連れていく」という親の行動がなければ、「子どもがスーパーで寝転がる」という行動は絶対に起こりませんから。
スーパーや買い物は週末に一人で、またはさっと出る
次に、「後」を変える方法ですが、これはシンプルに「買わない」と決めることです。もう寝転がっても何をしても、絶対に買わない。

なぜなら寝転がる行動が続くということは、「スーパーで寝転がれば欲しいものが手に入る」という成功を子どもが学んでいるからです。

「駄々をこねれば好きなおやつが買ってもらえる」と知ってしまったから、その行動が続いているのかもしれません。「駄々をこねたら買う」というパターンを作らないようにしましょう。

「褒めて終わる」作戦を立てておこう

その一方で、ちゃんとできたときに褒めてあげましょう。例えば、寝転がらないで歩き始めたら、「落ち着いて歩いてえらいね」と声をかけてあげたり、「じゃあ今日は帰りにジュース飲もうね」などと言ってジュースを買ってあげるのもいいですね。

買うことを拒否しっぱなしで子どもの存在を無視していたらかわいそうですし、それではネグレクトに近い態度になりかねません。

スーパーの床に寝転がる行動だけは取り合わない、注目しないという形にするのです。
子どもとのやりとりの最後は「褒めて終わる」ように
スーパーに行く前から、「どうやって褒めて終わろうかな」と作戦を立ててから連れていくのもいいでしょう。

子どもの気質はなかなか変えられないので、感情の起伏の激しいお子さんの親御さんはあらかじめ行動を予想して対応を変えてあげましょう。

そうすれば成長と共に、だんだんと落ち着いてくるはずです。もしそれでも落ち着く様子がなければ、小児科医など専門家に相談されてみてください。

その子なりの「落ち着く方法」を探して

その子の気分が変わるスイッチをみつけよう
また普段から、「泣き叫ぶ引き金はなんなのか」を見極めておくのも大切ですね。すると、事前に対応の準備がしやすくなります。

原因は子どもによっていろいろありますが、音や光に反応したり、台風や急激な気圧差で気持ちがアップダウンしやすくなるお子さんもいます。気分が変わる方法も、子どもによっていろいろです。好きな歌を歌うとか、大好きなキャラクター動画を見せるとか、ぜひそのお子さんなりの方法を探してみてください。

言葉が発達すると、自分の感情を伝えられる

幼稚園や保育園など集団生活に入って人との関わりが生まれたときに、怒りやすくなり、叩いたり嚙んだりする子もいます。

これは感情の起伏が激しいというよりも、言葉の問題の可能性もあるかもしれません。同じ幼児でもそういった行動をしない子もいますよね。それはおそらく言葉が発達しているからなのです。

言葉は非常に大切なものです。言葉で「嫌だからやめて」「こっちに来て」など、人に自分の感情を伝えられるようになると叩いたり嚙んだりする必要がなくなります。
人との関わりが生まれたときに泣いたり怒ったりしやすくなるなら、言葉の問題かも
また、言葉が発達してくると、自分自身の気持ちを整理して落ち着けることができます。

「本当は鉄棒をやりたかったけれど、今はお友達がやっているから僕は次まで待とう」というふうに、自分に言い聞かせられるのも、言葉があるからです。大人でも、「今日は眠いから仕事に行きたくない。でも行かないと明日が大変だからここは頑張ろう」とか、自分に言い聞かせることがありますよね。

叩いたり嚙んだりしてしまう子どもは、そういった言葉の発達が少しゆっくりしているのかもしれません。

感情的になるパートナーはちょっとお散歩へ

また、ご相談に来られる方のなかには「子どもの感情が爆発するのに伴って、パートナーも感情が爆発してしまう」という方もいらっしゃいます。

お子さんは、「パパ(ママ)みたいになりたくない。感情を爆発させるのはやめよう」と収まる場合もありますし、一緒にエスカレートして爆発するお子さんもいらっしゃいます。自分がせっかくがんばって対応しようとしているのに、パートナーに騒がれるとつらいですよね。

そういうときは、少し離れていてもらうのがおすすめです。癇癪(かんしゃく)を起こすパパ(ママ)には、ちょっと散歩などに行ってもらいましょう。
一緒に爆発してしまうパパ(ママ)は、ちょっと距離をとって
大人でも人によっては、予期しないことが苦手な方もいらっしゃいます。その場合は、子どもがこれからどうなるか予想を伝えてあげれば大丈夫かもしれません。

どうなるか分かっていても感情が爆発してしまうというタイプの方には、やはりいったん離れていただきましょう。見なければ怒らなくて済みますから。そのほうが親子両方にとって良好な関係が築けますよ。
感情的なパートナーは少し離れてもらいましょう
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