本当に気になる子育ての悩み「二人目が生まれて、上の子が寂しい想いをしないか不安です」

子育てお悩みランキング12を多角的に検証! 第6回 井潤知美先生/高祖常子先生

ライター:笹間 聖子

本当に気になる子育ての悩み
すべての画像を見る(全12枚)

げんきの子育てお悩みランキングトップ12を多角的に検証!

WEBげんきで過去に掲載した「子育てQ&A」のPV数トップ12にランキングした“ママ・パパが本当に気になっているお悩み”に、専門家2名が改めて詳細に回答します。

悩みの多い育児の中でも、“本当に気になっている悩み”12に絞り、それぞれを多角的に詳細に検証していくシリーズ連載です。
今回のお悩み

「二人目が生まれて、上の子が寂しい想いをしないか不安です」
大正大学 心理社会学部 臨床心理学科教授で、公認心理士・臨床心理士の井潤知美先生と、子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生がお応えします。

まずは、公認心理士・臨床心理士の井潤知美先生の回答からご紹介します。
井潤知美先生

そもそも人生は思いどおりにならないもの

私は3人姉妹の長女なんですが、なんでも「お姉ちゃんなんだから」と言われて育ちました。今になれば笑い話ですが、それが嫌で一度家出したくらいです。近所の公園に(笑)。

ところが誰にも気づいてもらえなくて、夕方になったらお腹が空いて帰りました。だから正確には家出ではないんですけど、私の中では家出だったんです!

「お姉ちゃんもいろいろ我慢しているわよね。助かってるよ」と、声をかけてくれたことが心に残っています。「あ、私、お姉ちゃんなんだ」と、ストンとわかったというか……。
上の子は、「お姉ちゃん、お兄ちゃんなんだから」と言われて日々我慢しているかも
ここで1つお伝えしたいのは、「人生ってはっきり言って思いどおりにならない」ということです。

きっと上のお子さんも、そうやって下の子どもが生まれて寂しかったり、「お姉ちゃんでしょ」と言われてちょっと理不尽な想いをすることで、人として育っていくのではないでしょうか。

挫折を味わって、立ち直る体験が大切

だって、小さいときからちょっとずつ挫折しておかないと、何不自由なく育てられ、何の挫折もしないまま一生を終えられると思いますか? 残念ながらきっとそんなことはないでしょう。

思いどおりにならないこと、悔しいこと、できないこと。むしろそういうものが人生にはほどほどに必要です。考えてもみてください。そうやって心配しているママ・パパだって、きっとたくさん失敗してきていますよね。
幼いころから挫折を知ることも大切

子どもが感じる愛情は「量」ではなく「質」

もし上のお子さんがそのことでしょっちゅう怒ったり、泣いたりしているのであれば、1日5分でも特別な時間を作ってあげましょう。

子どもが感じる愛情って、「量」ではなく「質」なんです。下の子が小さいと難しいとは思いますが、毎日5分、それも難しければ週に2回でもいいので、「今から5分はお姉ちゃんのスペシャルタイムね」みたいに言って、そのときはその子の好きな遊びをしてはいかがでしょうか。

それだけでも上のお子さんは、心がかなり満たされると思います。ぜひ、上のお子さんが「ママ・パパが自分だけを見てくれている」と感じられる時間を作ってあげてください。
1日5分、上のお子さんとの“スペシャルタイム”を

いつもの御礼に、二人きりのおでかけも

上のお子さんと下のお子さんの年齢が離れていると、上のお子さんに面倒を見てもらう場合も結構あると思います。

そういった場合は普段から、「ありがとう」「助かった」などの声がけをきちんとして、ときどきはやはり、「いつも見てくれてすごく助かるから、今週末は二人でどこか行く?」といった、スペシャルタイムを用意してあげましょう。

下のお子さんはパパかおじいちゃんおばあちゃん、一時保育に預けて、その子とママ、またはパパだけの特別な時間を作ってあげるのです。
二人きりのおでかけもおすすめ
私がプチ家出をしたときに母から声をかけられたように、子どもにしてみれば、「ちゃんと親が自分が我慢していることを知っている」「それを評価してくれている」と感じられることがとても重要です。

なぜなら、ママ・パパは上のお子さんをとても評価していても、意外ときちんと伝えないものだから。それなのに、できていないときだけ注意したりしていませんか?「お姉ちゃんなのに」と……。

そうやって、できていないときだけ言われるから、子どもは余計寂しくなってしまうんです。でもきっと、ご両親も心の中ではすごく助かっていますよね。上のお子さんを認めている部分があるはずです。

そこを、「さすがお姉ちゃんだな」と言語化しないと子どもには伝わりません。意識して言語化して、たまにはご褒美をあげて、認めてあげることを心がけましょう。
次のページへ 子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生の回答
38 件